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神域の飛竜編

シューロン菩薩との問答

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エリクは、蒼翔光から聞いた言葉を思い出しました。

「飛竜を召喚するには、ある程度の空間魔法のレベルが必要だよ。でも、お前の今の力では、飛竜を召喚するのは難しいかもしれん。だから、空間の原理である『空(シューニャ)』を理解しなければならん。」

「そして、この神域のどこかに、「シューロン」という菩薩がいて、それを授けてくれるそうだ。伝説によると、かつての大魔道士リアム・ブラッドフォードに空間魔法を授けたのも、このシューロンだったと言われとる。」

エリクは、神域において至高の存在とされるシューロンの居場所を知るため、エンシェント・ブレスに問いかけた。

エンシェント・ブレスは、深い溜息をついてから答えました。

「シューロンは神域の中でも最も奥深い場所に住んでいます。その場所には、通常の手段では辿り着くことができません。しかし、あなた方には旅の途中で出会うことができる、神域の案内人がいるでしょう。彼らに導かれることで、シューロンの住む場所に辿り着くことができるでしょう」

エリクは頷きながら、感謝の言葉を述べました。

「ありがとうございます。神域の案内人を探して、早速シューロンに会いに行きたいと思います」

エンシェント・ブレスは微笑みながら、エリクに手を振って見送りました。エリクは胸に燃える冒険の熱を抱き、神域を目指す旅を続けることにしました。

旅の途中、エリクは神域の案内人を探し求め、危険な試練に立ち向かいました。時には、魔物の群れに襲われ、魔法の力を駆使して身を守りながら、時には迷路のような複雑な道を進んでいく中で、神域の案内人に遭遇することができました。

案内人は、神域の奥深い場所を知り尽くしているため、エリクたちが出会う困難をも軽々とかいくような存在でした。彼らが導く道は、時には険しい山岳地帯を越え、時には静かな森の中を進むこともありました。しかし、エリクは、神域の案内人とともに進むことで、自分たちだけではたどり着けない場所にたどり着くことができました。

そして、ついにエリクたちは、シューロンの住む場所にたどり着きました。そこには、神域の中でも最も美しい庭園が広がっていました。その中央には、シューロンが住む宮殿がそびえ立っていました。エリクたちは、庭園を横切り、宮殿の扉を開けて中に入りました。

宮殿の中には、美しい調度品や花々が飾られ、豪華な雰囲気が漂っていました。そして、シューロンはそこに座って、エリクたちを迎えました。

「ようこそ、旅人よ。私は、シューロンと申します。あなたが私に会いに来た理由は何ですか?」と、シューロンは優しい口調で尋ねました。

シューロンは物静そうな老魔術師であり、細身の身体に長い白髪を持っている。彼の目は深く、静かな内面を反映している。常に白いローブを着用し、真っ白な髭を生やしている。彼は落ち着いた雰囲気を持ち、常に深い思索にふけっているように見える。ただし、彼が話すときは、その知識と経験によって生まれる深い洞察力を備えた穏やかな声で話す。

エリクは、神域を訪れた目的と、自分が飛竜を召喚するために必要な魔法を探していることを説明しました。

シューロンは、エリクたちをしばらく見つめた後、微笑みました。「飛竜を召喚するために必要な魔法は、あなたの手の届かない場所に隠されているものです。しかし、私があなたに手助けすることができます。ただし、その前に、私があなたに課す試練があります。それを乗り越えた時、あなたに必要な魔法を教えることができます」

シューロンの説法を聞くために、エリクは心を静め、身体を正し、魂を開放した。シューロンは、縁起の法則について説明し始めました。

「縁起とは、あらゆるものが他のものと相互に関係を持ち、互いに影響しあって存在するという法則です。この法則により、すべての現象が生じるのです。そして、その根源は空、つまりシューニャにあります。」

シューロンは、エリクにシューニャの真理を教えるために、魔法を使いました。エリクは、目の前で輝く光景に圧倒されました。それは、あらゆる色彩が混じり合った、絶え間ない流れる空間でした。そして、その空間は、エリク自身も含まれていることに気づきました。

「この空間は、すべてのものが含まれ、すべてのものが空となるところです。シューニャは、あらゆる現象の根源であり、それがすべてのものを包み込んでいるということを悟ることが、真の自由への鍵です。」

エリクは、シューロンの説法に深く感銘を受けました。彼は、自分の存在がシューニャに溶け込む感覚を味わい、あらゆるものとのつながりを感じました。そして、彼は自分が受けたこの試練を通じて、自己を知り、自己の限界を超えることができることを悟りました。

シューロンは次の試練として、「人間の心が不生不滅であることを証明せよ」という質問を出しました。エリクは、「心も縁起によって成立し、縁起するものが更に生起することがないことから、不生であると言えます。そして、不生であることから、その反対の不滅が成立するということになります」と答えました。

シューロンはエリクの答えを聞いて、うなずいた。

「縁起を通して考えると、心もまた他の物事と同じように、過去の因縁から現在の条件が揃うことで生じ、そして未来に向かって変化し続けるものと考えることができます。そして、そのように生じた心は、その条件が整わなくなった時には自然に消滅してしまうでしょう。つまり、生まれたり死んだりする存在ではなく、常に存在しているものでもない、ということですね。」

シューロンはエリクに微笑みかけた。

「素晴らしい答えです。あなたの知恵と理解力に感銘を受けました。」
シューロンは次なる質問を投げかけた。「この世界の空間とは何か?」と。

エリクはこう答えた。「空間と物質は不二の存在である。物質が空間であり、空間が物質であると捉えられる。そして、この空間と物質の関係に、心も密接に結びついているのです。」

エリクの回答は、心が空間を支配する力を持っているということを示唆しています。それはまるで、魔法が空間を操るかのようなものです。
シューロンは、エリクの答えに満足した様子でうなずきました。

「その通りだ。心と空間は不二の関係にある」と言いました。そして、彼は続けて言いました。「では、最後の試練だ。私に何か質問してみよう。私はできる限り答えてみせよう」

エリクはしばらく考えた後、「私には人生についての疑問があります。何が幸せをもたらすのでしょうか?」と質問しました。

シューロンは微笑みながら、次のように答えました。

「幸せは、内面の安定と充足感から生まれるものだ。自分自身を知り、自分の本当の欲求を理解することが重要だ。そして、他者に尽くし、喜びを分かち合うことも幸せにつながる。ただし、幸せは目的ではなく、旅の途中で出会うものだ。自分自身と向き合い、善行を積むことが大切だ」

エリクは、シューロンの答えに深く感銘を受けた。彼はシューロンから多くを学び、その教えを胸に、新たな旅に出る決意をしたのでした。

シューロンは厳しい表情でエリクを見つめた。「あなたは空魔法の原理を十分悟った。ここまで悟れたのは過去に数名いたのみです」と告げると、深いため息をついた。

エリクは蒼翔光や伝説の大魔術師リアムがその数名に含まれるのではないかと思いめぐらせた。彼らは魔法界において偉大な人物であり、その名前は語り継がれていた。

シューロンはエリクの考えを読み取ったかのように、微笑んで言った。「君の想像が正しい。彼らもまた、あなたと同じように空魔法の奥義を悟った者たちであった」と語りかけた。

シューロンは言葉を続けた。「魔法は哲学的な原理だけでなく、真言も重要だ。だからこそ、修行を怠らずに続けるように」

エリクは深く頭を下げ、シューロンの場を後にして、イヴとエリオットが待つクライン山脈を目指した。
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