僕は伝説の神獣らしい

マグロ

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第一章

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朝、目を覚ますと隣にはもうカインはいなかった。

だけど、まだ少し温もりが残っていることから僕が起きる少し前にベッドを出たことが分かった。

ファサッ

ボーッと布団の中で上を見ながら、まだ眠いなー。と思っているとテントの入り口から人が入って来る気配がした。

頭だけ持ち上げてそっちを見るとカインが2人分の朝食を持って来たところだった。

「ルルおはよう。神獣は神素と月の光があれば食事はいらないって聞いたんだが果物をくれたりするから果物は食べたりするんだろ?クパの実っていう果物を持って来たんだが食べるか?」

そうカインが聞いて来たので目が輝いた。

「えっ!?果物!?僕、クパの実っていうのは食べたことない!!食べるー!!」

ガバッと布団の中から体を起こし、目をキラキラさせ興奮で頬が真っ赤になりながら満面の笑みを見せる。

それを間近で見てしまったカインは顔がカァーッと赤くなるのを真横を向いて落ち着かせた。

「?カイン?」

首をコテンと横にしながら上目遣いで見て来るルルをこれ以上、ベッドの上にいながら煽らないでくれ。と内心ドキドキと痛む胸を押さえたのだった。

「コホンッ!じゃあ、ルル椅子に座ってくれ」

何とかうるさい心臓を落ち着かせ、ルルに声をかけた。

ルルはウキウキと飛び跳ねるようにピョーンっとベッドから出た。
目の前に置かれた皿をキラキラした目で見る。

真っ赤なツヤツヤとした果物がクシ型に切られ数個乗っていた。

「すごーい。綺麗な色」

「これは俺達には定番の果物だ。甘くて果汁が凄いからよく遠征に出た時は水分替わりに持って出る」

それを聞いてフォークを貰い、一口食べる。
ルルは大きな目をこれでもかと見開いた。

あっ…甘い!!そしてカインが言った通り、果汁が口の中いっぱいに広がり、口から出そうになり慌てて口を引き締めた。

「カッカイン!!すっごくすっごく美味しい!!」

興奮しながら美味しいと報告してくれるルルにカインは持って来てよかったと思いながらフッと笑い、そうか。とだけ言ってルルの頭を撫でた。

それから自分の朝食を食べる。

カインはパンに野菜のスープ。
分厚いベーコン2枚にサラダを食べた。

自分用にと持って来ていたクパの実もルルにあげ、全部平らげ満足そうに目を瞑って頬に両手を添え、余韻にしたっているルルを見てまた帰ったら買って来ようと思うのだった。




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