僕は伝説の神獣らしい

第一章

53

フッとカインの前に姿を現す。

「カイン！」

と目の前にいる何故か驚いた顔をしたカインにギュッと抱き着く。

「ルル…」

何故か顔を真っ赤にして放心状態のカインを首を傾げ、見つめていたらジークが驚いた声を出した。

「ルル！何て格好を…！」

と言われ、ジークを発見！
あ！ジークだ！と手を降って気付いた。

うわー！沢山、人がいる！！
みんな一様に顔を真っ赤にし驚いた顔でこっちを見ていた。

周りを見回していたら一番、高いところに座り他の人達よりもキラキラした服を着てこっちを見ている人と目が合った。

その人はハッとした顔をして椅子から立ち上がり高いところから降りて僕の目の前まで来て片膝を付いた。

「ペガサス様、お初にお目に掛かります。私はこのメイア王国の国王　エンゼイル・カミオ・メイアと申します。あなたにお会いできて大変嬉しく思います」

「国王様…。初めまして、ルルと申します」

人間さんの挨拶がよく分からないから僕は短めにしか返せなかった。

「ルル様とお呼びしても…？」

と優しい笑顔で聞かれる。

「はい。いいですよ」

と笑顔で答えると更にキラキラした顔で頷かれた。

「私の事はイルとお呼びください。ルル様は国王よりもっとも高貴なお方なので誰に対しても敬語は入りません」

「分かった。なら国王様も普通に話して？神獣達も僕の事をルル様と呼ぶけど敬語で話したりしないし慣れてないんだ」

とちょっと困ったように笑う。

すると国王様…もといイルも分かったと答えた所でカインに腕を引かれた。

「ルル…！羽を閉まえ」

と言われたので素直に閉まう。
閉まったらカインが自分に掛けていたマントを脱ぎ、肩から掛けられた。

「どうしたの？」

と聞くとカインは、はぁ～。と長いため息をつき聞いて来た。

「ルル。その格好はなんだ」

「え？昔、虎の神獣が大事な場に人間さんが着て行く服だって言って持って来た服を引っ張り出して着て来たんだよ。だって、今、大事な場所なんでしょ？」

「ルル。俺がちゃんと言わなかったのが悪かった。確かに大事な場所なんだが、その服は女性用だ。舞踏会とか何かをお祝いする場に着て行く服なんだ。ルルはかなり似合っている、いや、むしろルルの為の服なんじゃないかと思うくらい最高な仕上がりなんだがこの場で来てくる服にはちょっと…」

と真っ赤な顔でモゴモゴと答えた。
だが、そんな事を気にしている暇はない。

女性用…？
僕は特に気にしたことはないけど確かに僕はオスだからここに来て来る服には場違いだったかも…！！

やっと周りの驚いていた反応の理由が分かり、恥ずかしくなって来る。
顔が真っ赤になって来るのが更に恥ずかしくて、カインに抱きつき顔を見られないようにする。

「カイン～。恥ずかしい。どうしよう」

とグリグリとカインの胸に頭を擦りつけた。