僕は伝説の神獣らしい

マグロ

文字の大きさ
54 / 55
第一章

54

しおりを挟む
するとカインはポンポンと僕の頭を撫でてくれた。

「ルル大丈夫だ。俺のマントをそのまま着ててくれるか?」

と聞かれたので速攻で頷いた。

するとイルが話しかけて来た。

「ルル様。問題ない。ここにいる者達はみんなルル様の事を恥ずかしい人だなんて思ってないよ。むしろルル様の高貴な姿が見れて嬉しいはずだ。そうだろう?」

とイルが周りの人達に問い掛けた。
すると、周りの人達もうんうん。と頷いていた。

カインの胸元に顔を隠していたが、ソッと片目だけを覗かせ周りを見た。

みんなどこかホケーッとした顔をしていたがしっかり頷いてるのを見てホッとした。

すると僕の体に回っているカインの腕にグッと力が入った。
上を見ると眉間にシワが寄っている。

「カイン?」

と聞いて下から腕を伸ばし眉間を撫でた。

するとカインはいつもの優しい顔で僕を見た。

また僕の頭をポンポンと撫でてからイルに向き直った。

「私の説明不足によりペガサス様の行動で周りを驚かせ、遅れを取ってしまい申し訳ございません」

「よいよい。では改めてご挨拶を。ルル様、ここにいる者達は国を動かすにあたって重要な者達だけが集まっている。もしかするとたまに会うこともあるかも知れないので挨拶をさせて欲しい」

「分かった。よろしくお願いします」

それから筆頭貴族、国の重鎮、宰相、総司令官と挨拶をした。

総司令官のナディエル・ロイナー、と挨拶した人は、僕と目が合った瞬間、両膝をつき泣き崩れたからみんなギョッとした。

でも、宰相と呼ばれた人がうんうんと頷きながら背中をポンポンしてて、挨拶を促し、やっとのこと名前を言えた感じだった。

僕もビックリしたけどカインが、あれは嬉し泣きだ。と教えてくれたから嫌な気はしなかった。

そしてここからが本題。

「ルル様。国の保護を受けると許可して頂けたと聞いたんだが、話を勧めてもいいか?」

とイルが聞いて来たので頷く。

「うん!僕はカインの側にいられるなら、それでいいよ」

「ありがとう。では、今後、カインひいてはルル様の許可なくルル様に会うことは禁ずる。その前にも国に申告をし、どのような要件でいつ面会をしたいか詳しく書き私の前に持って来ること。いいな?」

「「「はい!」」」

と話がまとまった。

そしてイルが僕を見た。

「ルル様、私は…いや、この国はあなたを守りたい。もちろんカインも。だからしばらく周りが騒がしくなる。だが、ルル様はお気になさらず。ルル様の害になるような者は私とカインで打ち砕く。絶対にあなたの前までは辿り着かないように力を尽そう。だから今まで通りに暮らしてもらいたい」

なんだか昔、神獣が契約者のしていたチェスという遊びの話を思い出した。
僕、ラスボスみたいだな。と思いながら言った。

「ありがとう。でも、そこまで気を張らなくていいからね。僕も僕なりに馴染めるように頑張るから」

「ルル様が信用して貰えるように尽力を尽くすと誓う」

イルがそう言った時、周りの人達が一斉に頭を下げて来た。

僕も一応ペコリと頭を下げて、カインがまだイルと話をする事があると言うので先に森へ帰された。

森へ着いて、しばらくしてカイムがちょうど通りがかったので服を脱ぐお手伝いをお願いした。

「似合ってるからそのまま着とけばいいのにー。もったいないわ」

と言われたので、女性用らしいよ。と教えてあげた。

「知ってるわよー!あたしこうゆうの好きだから」

「じゃあ、僕にも教えてよ!恥ずかしい思いしたんだからね」

「なーに言ってんのよ。ルル様は似合ってるから何を着ても恥ずかしいなんてないわ。あたしが着てるのを想像してご覧なさい。あたしはすっごくすーっごく着たいのにサイズが無くて破れるし無理に着た所で、それを見た他の神獣達が泡拭いて倒れちゃうんだから。嘆かわしいわー」

と片手を頬に添え、シュンとしてしまった。

これ以上は何も言えないと思い、森へ着いた時に高い崖にある果物を取って来たのを思い出し、お礼にと渡す。

キャー!!嬉しーい!!とドスンドスンと飛び回り、ゆっくり食べたいから静かなとこに行くわねー。ウホホー。と笑いながら帰って行った。

切り替えの速さに苦笑いをしながら手を振ったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【本編完結】死に戻りに疲れた美貌の傾国王子、生存ルートを模索する

とうこ
BL
その美しさで知られた母に似て美貌の第三王子ツェーレンは、王弟に嫁いだ隣国で不貞を疑われ哀れ極刑に……と思ったら逆行!? しかもまだ夫選びの前。訳が分からないが、同じ道は絶対に御免だ。 「隣国以外でお願いします!」 死を回避する為に選んだ先々でもバラエティ豊かにkillされ続け、巻き戻り続けるツェーレン。これが最後と十二回目の夫となったのは、有名特殊な一族の三男、天才魔術師アレスター。 彼は婚姻を拒絶するが、ツェーレンが呪いを受けていると言い解呪を約束する。 いじられ体質の情けない末っ子天才魔術師×素直前向きな呪われ美形王子。 転移日本人を祖に持つグレイシア三兄弟、三男アレスターの物語。 小説家になろう様にも掲載しております。  ※本編完結。ぼちぼち番外編を投稿していきます。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

俺の居場所を探して

夜野
BL
 小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。 そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。 そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、 このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。 シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。 遅筆なので不定期に投稿します。 初投稿です。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

【本編完結済】神子は二度、姿を現す

江多之折
BL
【本編は完結していますが、外伝執筆が楽しいので当面の間は連載中にします※不定期掲載】 ファンタジー世界で成人し、就職しに王城を訪れたところ異世界に転移した少年が転移先の世界で神子となり、壮絶な日々の末、自ら命を絶った前世を思い出した主人公。 死んでも戻りたかった元の世界には戻ることなく異世界で生まれ変わっていた事に絶望したが 神子が亡くなった後に取り残された王子の苦しみを知り、向き合う事を決めた。 戻れなかった事を恨み、死んだことを後悔し、傷付いた王子を助けたいと願う少年の葛藤。 王子様×元神子が転生した侍従の過去の苦しみに向き合い、悩みながら乗り越えるための物語。 ※小説家になろうに掲載していた作品を改修して投稿しています。 描写はキスまでの全年齢BL

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

僕、天使に転生したようです!

神代天音
BL
 トラックに轢かれそうだった猫……ではなく鳥を助けたら、転生をしていたアンジュ。新しい家族は最低で、世話は最低限。そんなある日、自分が売られることを知って……。  天使のような羽を持って生まれてしまったアンジュが、周りのみんなに愛されるお話です。

処理中です...