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番外編 その後
44 忘却 ※シリル視点
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執務机で書類を見てサインをしている主オスカーを見ながら、シリルはいろいろと報告をしていた。本日のオスカーは朝から会議に出て、各部署からの報告を受けて、現在シリルの報告を受けながら手元ではまったく内容の違う書類を捌いている。もうすでに本日の仕事は終わりそうな段階だが、現在やっと昼食時である。相変わらずオスカーは処理能力が化け物レベルである。
「――報告は以上です」
「分かった」
オスカーがレティツィアと結婚して、早一年。オスカーの結婚前と違うことの一つに、本日はもう仕事がないよ、という時にわざわざ仕事を探すことがなくなったことが上げらえる。どんなに仕事はないと言っても、仕事を持ってこいが口癖だったのに。お陰で、シリルは愛妻と過ごす時間が増えて嬉しい限りである。
「そういえば、ロイ兄弟から報告書が上がってきていますが、お読みになりますか?」
「報告書? 誰の?」
「……ディーノですよ。プーマ王国の元第二王子です」
現在、元第二王子はアシュワールドでも政治犯や重罪を犯した者のみが入れられる監獄に入っている。アシュワールドにある湾の海の中央にある小島に監獄はある。小島の周りにはサメがウヨウヨしており、監獄に一度入ったら出られないと有名であった。たとえサメがいなくとも、頑丈な柵と壁があって、逃げることは不可能である。その監獄に入るものは、全員終身刑という決まりがある。
元第二王子の罪名は国王暗殺未遂である。未遂であろうと、王の殺害を試みたのだから、普通であれば、即死刑である。他にも、王の暗殺未遂時に企てていた王の婚約者誘拐未遂も含まれているが、どちらにしても、死刑以外はありえない。
しかし、オスカーが王になったばかりのころ、腐敗した兄王の王政を粛清する時に、政治犯や重罪を犯しているものが続出し、いちいち死刑にしていては埒が明かぬと作られたのが、小島の監獄だった。元は、今は剥奪されてお取り潰しとなったロイ侯爵家の城を利用しているのだが、その監獄長であるロイ兄弟が好きに改造したことで、トラップだらけの危険な城になってしまっている。シリルは絶対に足を踏み入れたくはない。
「ああ、不要だ。そもそも、あの報告書、俺が読むようなものでもないだろう」
「まあ、そうなのですが、元第二王子のことは気にされているかと思いまして」
報告書という名の『ロイ兄弟刑罰日記』である。
ロイ兄弟は、ロイ侯爵家の長男と次男で双子の兄弟であった。侯爵が平民の女性に生ませた兄弟で、正妻に子ができなかったため、赤ん坊の時に侯爵家に引き取られた。しかし、正妻は兄弟を虐待した。しかも、二人なのに、どちらにもアランという名を付けた。そして、数年後、正妻に子ができると、二人は虐待という言葉では優しすぎる、拷問のような苦痛を日々受けるようになった。そんな日々が、幼児から成人するまで続いた。
ロイ兄弟の転機は、先王の崩御である。ロイ侯爵は私腹を肥やすだけでなく、売国といえるような罪を犯しており、オスカーによって粛清され、爵位は剥奪、罰せられることになった。そこで初めてロイ兄弟が発見され、助け出された。誰もこの家に双子がいるなど、知らなかったのである。助け出された兄弟は、体中に無数の拷問の痕があった。
助けられたことに恩義を感じたロイ兄弟は、オスカーを崇拝した。しかも重罪の人物が多くて処理が追いついていないオスカーに、刑罰は任せてくれとロイ兄弟は直談判した。家で虐待されていても、読み書きは不憫に思った使用人が教えてくれていたようで、報告書も書けそうだということが分かり、ロイ兄弟は希望通り監獄長となったのである。
ロイ兄弟に任されるのは、死刑を含む刑が確定した重罪かつ終身刑の罪人ばかり。刑務と刑罰の内容はロイ兄弟に一任されている。それの報告書が国の法務事務官の元に届くのだが、王に関わる人物だからとシリルに報告書が回ってきたのである。
「別に気にならない。ロイ兄弟の好きにやらせてやれ。ただし、レティツィアの耳には入れるなよ。第二王子の名も口にするな」
「承知しました」
シリルは興味のなさそうなオスカーの代わりに、少しだけ報告書を開いてみた。
『今日のディーノの刑務作業は、僕たちのペットの餌やりと飼育部屋の掃除。最近ペットに慣れてきたのか、泣きながらではあったけれどディーノが暴れなくなったため、ペットたちも楽しそうだった。掃除も上手になってきて、日々成長している。たまにはアメも与えてやるべきだろう。ディーノがこよなく愛するレティツィア王妃がどんな幸せな生活をしているか教えてあげた。気が狂ったように叫んでいたけれど、あれは喜んでいるのだと思う』
シリルはウッと眉を寄せた。それはアメというのか? 飴と鞭ではなく、鞭と鞭ではないのか? しかも、ペットというのはアレだろう。虐待されていた時に頻繁に閉じ込められていたという洞窟。そこで遊び相手だったという『ヘビ、ムカデ、カエル』といったようなもの。
複数日の報告書のアメの内容の中には、プーマ王国の現在の王太子の活躍というものもある。自分がなると思っていた王太子という身分に他のものがなったこととその活躍など、普通聞きたくないだろう。これのどこがアメなんだ。
他にも、五日に一回行われる苦痛を伴う刑罰、三日に一回の仕事である自分で食べるものは自分で作りましょうという方針の元に行われる畑作業の労働などもある。
いまだ元第二王子はレティツィアを諦めていない様子で、レティツィアを奪った男オスカーに対する恨みつらみを唱えているらしい。反省の色はなく、同情の余地はまったくない。そもそも、オスカーに行動を先読みされ誘い出されたからといって、やらなきゃいいのに、予想通りオスカーの暗殺とレティツィアの誘拐を実行に移すから現在捕まっているのである。自業自得である。
とはいえ、シリルは報告書をそっと閉じた。精神衛生上、良くない。
法務事務官は、よくもまあ、こんな報告書を毎度読めるものである。あの監獄には元第二王子以外にも服役中の者はいる。その人数分、丁寧に報告書は書かれているという。まあ、報告書というより日記にしか見えないが。法務事務官は「気分が良くない気がするのは最初だけですよ。慣れれば、なんてことありません。ロイ兄弟は色々と罪人毎に試行錯誤していて、楽しそうな日記……報告書に仕上がっていて、よく思いつくなあ、と感心します」と言っていた。シリルは慣れたくない。あの法務事務官は思考が麻痺している。仕事のし過ぎだろうか。
ロイ兄弟が監獄長をやっているものだから、この監獄は一瞬で死ねる死刑より過酷と噂されている。とはいえ、全員終身刑だから、生きて外の世界に出ることは許されない。死ぬまでロイ兄弟による苦痛を受け続けることになる。
すでにオスカーさえ元第二王子に興味はなく、過去の人物と捉えている。こうやって人は忘れ去られていくのだ。そしてシリルも、ほとんど元第二王子に興味はない。
「――報告は以上です」
「分かった」
オスカーがレティツィアと結婚して、早一年。オスカーの結婚前と違うことの一つに、本日はもう仕事がないよ、という時にわざわざ仕事を探すことがなくなったことが上げらえる。どんなに仕事はないと言っても、仕事を持ってこいが口癖だったのに。お陰で、シリルは愛妻と過ごす時間が増えて嬉しい限りである。
「そういえば、ロイ兄弟から報告書が上がってきていますが、お読みになりますか?」
「報告書? 誰の?」
「……ディーノですよ。プーマ王国の元第二王子です」
現在、元第二王子はアシュワールドでも政治犯や重罪を犯した者のみが入れられる監獄に入っている。アシュワールドにある湾の海の中央にある小島に監獄はある。小島の周りにはサメがウヨウヨしており、監獄に一度入ったら出られないと有名であった。たとえサメがいなくとも、頑丈な柵と壁があって、逃げることは不可能である。その監獄に入るものは、全員終身刑という決まりがある。
元第二王子の罪名は国王暗殺未遂である。未遂であろうと、王の殺害を試みたのだから、普通であれば、即死刑である。他にも、王の暗殺未遂時に企てていた王の婚約者誘拐未遂も含まれているが、どちらにしても、死刑以外はありえない。
しかし、オスカーが王になったばかりのころ、腐敗した兄王の王政を粛清する時に、政治犯や重罪を犯しているものが続出し、いちいち死刑にしていては埒が明かぬと作られたのが、小島の監獄だった。元は、今は剥奪されてお取り潰しとなったロイ侯爵家の城を利用しているのだが、その監獄長であるロイ兄弟が好きに改造したことで、トラップだらけの危険な城になってしまっている。シリルは絶対に足を踏み入れたくはない。
「ああ、不要だ。そもそも、あの報告書、俺が読むようなものでもないだろう」
「まあ、そうなのですが、元第二王子のことは気にされているかと思いまして」
報告書という名の『ロイ兄弟刑罰日記』である。
ロイ兄弟は、ロイ侯爵家の長男と次男で双子の兄弟であった。侯爵が平民の女性に生ませた兄弟で、正妻に子ができなかったため、赤ん坊の時に侯爵家に引き取られた。しかし、正妻は兄弟を虐待した。しかも、二人なのに、どちらにもアランという名を付けた。そして、数年後、正妻に子ができると、二人は虐待という言葉では優しすぎる、拷問のような苦痛を日々受けるようになった。そんな日々が、幼児から成人するまで続いた。
ロイ兄弟の転機は、先王の崩御である。ロイ侯爵は私腹を肥やすだけでなく、売国といえるような罪を犯しており、オスカーによって粛清され、爵位は剥奪、罰せられることになった。そこで初めてロイ兄弟が発見され、助け出された。誰もこの家に双子がいるなど、知らなかったのである。助け出された兄弟は、体中に無数の拷問の痕があった。
助けられたことに恩義を感じたロイ兄弟は、オスカーを崇拝した。しかも重罪の人物が多くて処理が追いついていないオスカーに、刑罰は任せてくれとロイ兄弟は直談判した。家で虐待されていても、読み書きは不憫に思った使用人が教えてくれていたようで、報告書も書けそうだということが分かり、ロイ兄弟は希望通り監獄長となったのである。
ロイ兄弟に任されるのは、死刑を含む刑が確定した重罪かつ終身刑の罪人ばかり。刑務と刑罰の内容はロイ兄弟に一任されている。それの報告書が国の法務事務官の元に届くのだが、王に関わる人物だからとシリルに報告書が回ってきたのである。
「別に気にならない。ロイ兄弟の好きにやらせてやれ。ただし、レティツィアの耳には入れるなよ。第二王子の名も口にするな」
「承知しました」
シリルは興味のなさそうなオスカーの代わりに、少しだけ報告書を開いてみた。
『今日のディーノの刑務作業は、僕たちのペットの餌やりと飼育部屋の掃除。最近ペットに慣れてきたのか、泣きながらではあったけれどディーノが暴れなくなったため、ペットたちも楽しそうだった。掃除も上手になってきて、日々成長している。たまにはアメも与えてやるべきだろう。ディーノがこよなく愛するレティツィア王妃がどんな幸せな生活をしているか教えてあげた。気が狂ったように叫んでいたけれど、あれは喜んでいるのだと思う』
シリルはウッと眉を寄せた。それはアメというのか? 飴と鞭ではなく、鞭と鞭ではないのか? しかも、ペットというのはアレだろう。虐待されていた時に頻繁に閉じ込められていたという洞窟。そこで遊び相手だったという『ヘビ、ムカデ、カエル』といったようなもの。
複数日の報告書のアメの内容の中には、プーマ王国の現在の王太子の活躍というものもある。自分がなると思っていた王太子という身分に他のものがなったこととその活躍など、普通聞きたくないだろう。これのどこがアメなんだ。
他にも、五日に一回行われる苦痛を伴う刑罰、三日に一回の仕事である自分で食べるものは自分で作りましょうという方針の元に行われる畑作業の労働などもある。
いまだ元第二王子はレティツィアを諦めていない様子で、レティツィアを奪った男オスカーに対する恨みつらみを唱えているらしい。反省の色はなく、同情の余地はまったくない。そもそも、オスカーに行動を先読みされ誘い出されたからといって、やらなきゃいいのに、予想通りオスカーの暗殺とレティツィアの誘拐を実行に移すから現在捕まっているのである。自業自得である。
とはいえ、シリルは報告書をそっと閉じた。精神衛生上、良くない。
法務事務官は、よくもまあ、こんな報告書を毎度読めるものである。あの監獄には元第二王子以外にも服役中の者はいる。その人数分、丁寧に報告書は書かれているという。まあ、報告書というより日記にしか見えないが。法務事務官は「気分が良くない気がするのは最初だけですよ。慣れれば、なんてことありません。ロイ兄弟は色々と罪人毎に試行錯誤していて、楽しそうな日記……報告書に仕上がっていて、よく思いつくなあ、と感心します」と言っていた。シリルは慣れたくない。あの法務事務官は思考が麻痺している。仕事のし過ぎだろうか。
ロイ兄弟が監獄長をやっているものだから、この監獄は一瞬で死ねる死刑より過酷と噂されている。とはいえ、全員終身刑だから、生きて外の世界に出ることは許されない。死ぬまでロイ兄弟による苦痛を受け続けることになる。
すでにオスカーさえ元第二王子に興味はなく、過去の人物と捉えている。こうやって人は忘れ去られていくのだ。そしてシリルも、ほとんど元第二王子に興味はない。
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