Blue Star: Echoes

れみっしゅ

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Echo.05:声のない朗読会

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が、聞こえない世界に生まれて、私はずっと「沈黙」を生きてきた。

でも、それは“静けさ”と同じではない。

耳から入る音はないけれど、
目から、肌から、心から届く音があることを、私は知っている。

そして私は、その音を「物語」と呼んでいる。



ある春の午後。
学校の図書室で、ひっそりと行われた“朗読会”。

読む人の声を、私は聞けない。
でも、手話通訳の先生が、隣で美しく訳してくれる。

でもその日、私の心を動かしたのは――声でも、言葉でもなかった。

朗読者の後ろにあった、一枚の絵。

それは、青い星のような、小さな花。
光を纏ったような、優しい輪郭の絵。

終わったあと、私は図書館の先生に聞いた(手話で)。

「この花、名前はありますか?」

先生は少し驚いた顔をして、微笑んで答えた。

「ブルースター。夢を託す花よ。
誰かの想いが込められたとき、言葉がなくても届くんだって」

“言葉がなくても、届く”。

その言葉が、私の胸にまっすぐに届いた。



私は「詩葉(うたは)」という名前をもらったけど、
実際に声に出して“うたう”ことはできない。

それでも、私はいつも「うた」を探していた。

空に浮かぶ雲。
風に揺れるカーテン。
お母さんの髪の匂い。

そのどれもが、私にとっての“うた”だった。

そして今、新しく知った“うた”がある。
ブルースターという名の、言葉のいらないメッセージ。



その週末、私は一人で絵を描いた。
色鉛筆で、空と花を描いた。

青い空に、花が浮かんでいる。
花びらは、まるで星が語りかけてくるような形をしていた。

私はその絵に、何も書かなかった。
でも、お母さんはそれを見て、泣いた。

あとで手話で聞いた。

「うたは、誰かに気持ちを伝えたくなったの?」

私は頷いた。

「ブルースターって、花の名前なんだよ」

と、指文字で教えると、お母さんは微笑んで言った。

「じゃあ、その花は、うたはの“声”だね」



次の朗読会で、私は自分の絵を先生に渡した。
「みんなに見せてもいいですか?」と聞かれ、私は恥ずかしそうに頷いた。

絵が掲示されたとき、友達が何人も感想を書いてくれた。

「やさしい気持ちになった」
「なんだか、あったかい」
「星の花、見てみたい」

私は、声に出せなくても――
ちゃんと、届いてるんだって、初めて知った。



夜。
窓を開けて、空を見上げた。

言葉のない空は、
でも、まるで私に語りかけているようだった。

“響き”は、音じゃない。
“声”は、喉からだけじゃない。

それを教えてくれたのは、
あの、青い星のような花――ブルースター。

私はそっと、胸の前で手を組んで、伝えた。

「ありがとう」と。

言葉ではなく、心の手話で。
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