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23,考え事は増えるばかり。
しおりを挟む気持ち良さそうに眠るアルバートの頬をプニプニと触りながら、レイは思案していた。使節団が来ると分かった時から考えることだらけだ。
まずはこの足。こんな足でどうするのか。杖をついていて良いものか、分からない。
「臣下の間でもそれは協議に出ていますよ、王妃様」
考えていたことを見透かしたように、ローレンの声が聞こえる。ていうか毎度毎度、いつの間にか側にいるのは凄いと思う。
「そうなの?」
「どうせなら王妃様は欠席させて他の側室を、という話も出たんですけどね」
「まぁ出るだろうね~」
そのくらい想像の範囲内だ。そしてそれをリヴィウスが蹴ったであろうことも。
「今回はアルバート様のお披露目も兼ね揃えておりますし、陛下が拒否されました。つい先日に側室だったアンジェリカが貴方の命を狙ったばかりですし。それがアルバート様に向いてもおかしくはなかったという陛下の言葉に反対する者はおりませんでした」
「…そう」
国交問題が多く、リヴィウスの側室は多い。アンジェリカを筆頭にレイを虐めていたのは側室の一部であり、名前と顔しか知らない側室は他にもいる。
「そういえば、陛下が喜んでおられましたよ」
「なにが?」
「教育係から王妃様の熱心さをお聞きになったそうで。逃げる気はないようだ、と」
「こんな足でどうやって逃げろと?」
クスクス笑うレイに、ローレンが黙り込む。
「うそうそ。何でもない。それで、この足はどうするんだろうね」
「足の難病にかかったことになさるそうです」
「へぇ。まぁ、それが一番無難かな」
「ですね」
足首さえ隠せば言い切れるだろうし。そもそも使節団の人と俺が話すことなどあるのかは知らないけれど。
「そういえば、薬は?」
「用意しています。…本当に飲むのですね?」
「当たり前。リヴィウスが側室っていう提案を蹴っちゃったなら仕方ないでしょ?」
「陛下は貴方をそれほどに愛しているのですよ。大方は自分の妃だということを皆に見せたいだけだと思いますが」
「束縛の激しいリヴィウスにも困ったものだね」
「それには激しく同意致します」
と、そんな会話をしていたところで部屋の扉が開く。
「レイ」
「陛下」
「ここにいたのか。探したぞ」
「申し訳ございません。何かご用でも…」
「いや、新しい政策の資料がひと段落ついたからな。お前に会いたくなった」
「陛下…」
頬を撫でられ、唇にキスされる。この時、必死に歯を食い縛る。それが不服だったのか、リヴィウスは唇を離した。
「口、開けろ」
「嫌ですよ。開けたらキスだけで終わらないでしょう」
それこそ執拗に舌をねじ込まれ、いつの間にか服を脱がされ。何故か持っている滑油で後ろを解される。
「嫌なのか」
「アルが寝ています」
「気にしなければ良い。むしろ弟か妹を作ってやれるのだ」
「俺に息子の前で致す趣味はありません」
「…強情だな」
ようやく諦めたのか、今度は抱きしめてくる。嬉しいよ、嬉しいんだけどね。愛されているとも思うんだけど。
良い加減ちょっと、加減というものを憶えてくれませんかね?
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