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もう子供じゃない
しおりを挟む気が付いたらその人は俺の隣にいて、気が付いたら高校生になり、気が付いたら三年生になり、気が付いたら十八歳になった今日この頃。
今日も、周りの精神面でのガキがぎゃあぎゃあとうるさい。
「なぁ、今日こそ合コン来いよ~!」
「…嫌だって言ってんじゃん。なんで俺なんだよ」
高校生になってから、自慢じゃないけど告白された回数は数え切れない。中学の時も顔がいいからだとか、大人っぽいだとかで周りが騒いでいたのは知ってるが…高校ではそんなの比じゃないくらい、俺は女子からモテている。
(まぁ、好意を伝えられて悪い気はしないけどさぁ…)
どっちにしろ、お断りさせていただくが。
「そういえば達也さぁ、また告白断ったんだって?今度は二組の桜ちゃん」
「…あー、そんなのもいたっけな」
そう言い放った時、周りにいた数名の男子が頭をバコバコと叩いてくる。
「ちょ、痛いって。なに?」
「なに?じゃねーよ、なにじゃ!お前、どっちにしろ誰とも付き合う気ないなら、そういう気とか持たせんなよ!」
「…そういう、気…?」
「あー、ムリムリ。こいつ、昔から天然タラシだから」
一番離れて座っていた男がケタケタと笑いながら言う。
「…海斗、俺は別に天然タラシじゃない」
海斗毎、佐藤 海斗は幼稚園の頃からの親友兼くされ縁。
「いやいや、十分そうだって」
「どこがだよ」
「だから、例えばさぁ。お前のこといいなって言ってる子、分かってて優しくしたり?」
海斗の視線の先を辿ると、少し前に下駄箱で俺のことをいいなと言っているところをたまたま聞いてしまった女の子だ。確か、昨日告白してきた。
「あれは…係の仕事で大変そうだったから、手伝ってあげただけだろ。別に気なんか持たせてない」
「そーいうのは放っておくのが一番なんだよ。で?今日こそは合コン行けんの?お前が居たら女子もかわいい子揃うんだけど」
「行かない」
「えー、なんで…」
「付き合ってる人いるから」
その一言で、教室中の女子が振り向く。
「わ!な、なにっ…!」
「うっそ、達也くん付き合ってる人いんの!?」
「ま、まぁ、一応…」
「いつから!?誰!?」
「誰って…」
返答に困りかけた時、教室に居た担任の藤堂 煌が透き通った声で俺の名前を呼ぶ。
「榎本、今いいか?」
「あ、はいっ!」
「ちょっと、委員会で聞きたいことがあるんだが。今から職員室行くから、ついて来てくれ」
「はーいっ!」
「…達也」
海斗が、指二本を揃えて、机を打つ。
「あ…うん、ありがと」
昔、小学校の時に作った合図だ。指二本を揃えて机を打つのは、後は任せろの合図。ついでにジュースも奢れとのこと。
「じゃ、ちょっと行ってくる」
「あ、達也くんっ!もー…佐藤くんは?達也くんの恋人、誰か知ってる?」
「…さぁ。年齢くらいしか聞いたことないな」
「えー、いくつ?同い年?それとも年下?」
「十歳上」
海斗が言い放ち、教室が静まるのを確認してから、担任の後を追った。
「それで?なに、どうしたの。助けてくれるなんて」
「勘違いすんな、お前が余計なこと言わないかヒヤヒヤしてたんだ」
数学準備室に入るのはこれで何度目だろうか。
「でもまぁ…嬉しかったよ、煌ちゃん」
「学校では先生と呼びなさい」
「はいはい、せーんせ」
目の前にいるのはうちの学年の数学教師兼俺の幼馴染で恋人の藤堂 煌。色々あって、告白して晴れて恋人同士になったはいいものの。
(なーんか、一線引かれてる感じがするんだよなぁ…)
「…なんだ?言いたいことがあるならハッキリ言え」
「…んーん、別に」
「あっそ。じゃ、もう帰っていいぞ」
「えっ」
「なんだよ」
「…べっつにー」
今日、学年で一番かわいいとか言われている子に告白された。そして、それを聞いているはずだ。なのに何も言ってこない。
(この人、本当に俺のこと好きなのか…?)
「だから、何なんだよさっきから」
「…俺、今日告白されたんだけど」
「あぁ、そうらしいな」
「そうらしいなって……他に何か言うこととかないの?」
「…お前はさ。俺が何か言えば満足なの?」
「そういうわけじゃないけどっ…!」
「ならいいじゃねーか。…ほら、俺は次、授業あんだよ。さっさと出てけ」
ぺいぺいと追い出され、なんとなく無性に腹がたつ。
「もーいい、じゃあねっ!」
「おー」
十八歳、もう未成年だけど子供じゃなくなった歳。
(でも……煌ちゃんにとっては、俺はいつまでもガキのままか…)
煌は、元々うちの兄さんが好きだったらしい。だけど兄さんはそういう気は全くないのを知っていたからか、何も伝えなかったそうだ。そこに俺が突撃して、なんとか付き合うことになったのだが。
(…いまだに、好きって言ってもらったこと一度もないもんなぁ…キスもしないし、手を繋ぐだけって…中学生か!)
歳の差十歳、教師で幼馴染。そして、好きになってもらえてるかどうかさえもあやふやな関係。
「…どーするかなぁ…」
別に、手を出してほしいわけじゃ…いやまぁ、出してほしいんだけど。ただ、まずは俺のことを好きって言ってほしい。無理矢理言わせるんじゃなくて、本心で。
(難しいなぁ………あ、ジュース)
目の前の自販機で苺みるくを買って、教室へ入ろうとすると…移動教室でとっくに鍵が閉まっていたので、サボることにした。
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