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山村事変
雷鳴
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犬神と和泉の連携攻撃をなんとか躱しながら逃げた蒼は山頂へと辿り着いたが、着ていたスーツはボロボロになっており、その姿からも疲労は目に見えて分かった。
「こんなところに来て一体どうするつもりですか。周りには、なにもありません。障害物のない状況であれば私が有利なのは誰でもわかる事でしょうに。」
「さあ、なにか考えがあるかもよ。」
確かに蒼の罠である可能性は和泉も考慮していた。
頭脳戦に定評がある蒼だ。迂闊に近寄っていい相手ではない。
だからといってこのまま見過ごすわけにもいかないし、この状況が既に蒼の手の中かもしれない。
和泉は罠の可能性を考えて、動けないでいた。
「どうした、そんなに俺が怖いのか?なんなら刀も収めてやるよ。」
蒼はそういうと、刀を鞘に戻した。
「挑発のつもりですか。そういう動作は逆に怪しいですよ。」
わからない。この状況どう考えても私が押している筈だ。
それなのに何故あんなに余裕なんだ。
すべてが罠のような気がして追い詰めているのはこちらの筈なのに逆に追い詰められた気持ちになる。
ダメだ!これがそもそも奴の策略だったらどうする。
このまま隙を見て逃げ切る気ではないだろうか。
自分を信じろ!押してるのは私だ、今ここで襲えば確実に殺せる。
「来ないならこっちから行くぞ。」
和泉が考えている隙に蒼がこちらに迫ってくる。
しまった!奴の狙いはこれか。私の一瞬の隙をついて倒す作戦か。
和泉はすぐに全身に霊力を纏い防御の態勢をとった。
間に合った!犬神も蒼の背後にいる。このまま護りきれば犬神が喰い殺して終わりだ。
次の瞬間、蒼が犬神の方を向き鞘に入れたままの刀の柄に手を添えている。
あれは抜刀の構えだ。馬鹿め、私に背を向けている。それでは隙だらけだ。
和泉が攻撃しようとした次の瞬間、‘’ドォン!!‘’という轟音が鳴り響き私の体には未だかつて味わったことのない衝撃が襲い掛かる。意識が飛んでいく。
私の目に最後に映ったのは犬神を切る蒼の姿だった。
犬神と和泉を倒した蒼は満身創痍の様子で遠くを眺めながら呟いた。
「手伝って欲しいとは言ったがこれはやりすぎだろ。あいつ俺ごと殺す気かよ。」
一方、神社では鹿島沙織が蒼が居る山の方角を眺めていた。
「立花さんもなかなかやりますね。まさかあれで無傷とは。」
鹿島沙織は昼間、蒼に手伝いをお願いされていたのでずっと機会を伺っていた。
鹿島沙織の信仰する神は「武甕槌(タケミカヅチ)」能力は雷を操ることが出来る。
この力を使い私は3人目掛けて雷を落とした。
蒼を巻き込まないようにしようと思えば出来たが、力を試す意味でも巻き込んだ。
結果は無傷だ。
恐らく蒼は、私がどんな能力を使うか分かった上で協力を頼んだのだろう。
そうでないと一目散に山頂に行く理由も、雷を受けて無傷なことにも説明がつかない。
最初から調べ上げたうえで来ていたという訳か。
本当に面白い人だ。
「こんなところに来て一体どうするつもりですか。周りには、なにもありません。障害物のない状況であれば私が有利なのは誰でもわかる事でしょうに。」
「さあ、なにか考えがあるかもよ。」
確かに蒼の罠である可能性は和泉も考慮していた。
頭脳戦に定評がある蒼だ。迂闊に近寄っていい相手ではない。
だからといってこのまま見過ごすわけにもいかないし、この状況が既に蒼の手の中かもしれない。
和泉は罠の可能性を考えて、動けないでいた。
「どうした、そんなに俺が怖いのか?なんなら刀も収めてやるよ。」
蒼はそういうと、刀を鞘に戻した。
「挑発のつもりですか。そういう動作は逆に怪しいですよ。」
わからない。この状況どう考えても私が押している筈だ。
それなのに何故あんなに余裕なんだ。
すべてが罠のような気がして追い詰めているのはこちらの筈なのに逆に追い詰められた気持ちになる。
ダメだ!これがそもそも奴の策略だったらどうする。
このまま隙を見て逃げ切る気ではないだろうか。
自分を信じろ!押してるのは私だ、今ここで襲えば確実に殺せる。
「来ないならこっちから行くぞ。」
和泉が考えている隙に蒼がこちらに迫ってくる。
しまった!奴の狙いはこれか。私の一瞬の隙をついて倒す作戦か。
和泉はすぐに全身に霊力を纏い防御の態勢をとった。
間に合った!犬神も蒼の背後にいる。このまま護りきれば犬神が喰い殺して終わりだ。
次の瞬間、蒼が犬神の方を向き鞘に入れたままの刀の柄に手を添えている。
あれは抜刀の構えだ。馬鹿め、私に背を向けている。それでは隙だらけだ。
和泉が攻撃しようとした次の瞬間、‘’ドォン!!‘’という轟音が鳴り響き私の体には未だかつて味わったことのない衝撃が襲い掛かる。意識が飛んでいく。
私の目に最後に映ったのは犬神を切る蒼の姿だった。
犬神と和泉を倒した蒼は満身創痍の様子で遠くを眺めながら呟いた。
「手伝って欲しいとは言ったがこれはやりすぎだろ。あいつ俺ごと殺す気かよ。」
一方、神社では鹿島沙織が蒼が居る山の方角を眺めていた。
「立花さんもなかなかやりますね。まさかあれで無傷とは。」
鹿島沙織は昼間、蒼に手伝いをお願いされていたのでずっと機会を伺っていた。
鹿島沙織の信仰する神は「武甕槌(タケミカヅチ)」能力は雷を操ることが出来る。
この力を使い私は3人目掛けて雷を落とした。
蒼を巻き込まないようにしようと思えば出来たが、力を試す意味でも巻き込んだ。
結果は無傷だ。
恐らく蒼は、私がどんな能力を使うか分かった上で協力を頼んだのだろう。
そうでないと一目散に山頂に行く理由も、雷を受けて無傷なことにも説明がつかない。
最初から調べ上げたうえで来ていたという訳か。
本当に面白い人だ。
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