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「そして、ここは食堂です。三食ここで食べることになります」
「外食などは?」
「外で任務がある場合か休暇を除いて、待機している団員は基本ここで食べます。まあ、休暇中でも結局ここで済ます奴らも多いですけどね」
「なるほどね」
後ろからファルク様とアベル様のやり取りを見守っている。
時折ファルク様の存在が気になって、ついついと盗み見した。彼の横顔が元気そうで、安堵を感じる。
そして、そんな落ち着きがない私の隣には旦那様がいる。
内部ではない人がいるからなのか、いらっしゃる団員の方々からの視線を感じる。
慣れているはずなのに、何故か今回はものすごく居心地悪かった。
「旦那様も、いつもここで昼食を?」
「……ああ」
私たちの間に交わされた会話はそれで終わった。
アベル様が施設の説明をしたあと、それについて彼に問う。彼がそれに短く応えて、そして終わる。
まるで、彼と結婚した直後の会話だ。その逆戻りは更に私を落ち込ませる。
もしかすると、飽きられた、のだろうか。許可をしてくれたとはいえ、最初はあまりよく思っていないみたいだから。もしそうだとすると、我が儘なんて言わずに、誘われた時点で屋敷に戻ればよかったのに。
空気が吸い辛くて、胸が苦しい。
いつもよりも苦しい。
彼への想いを自覚してからこうだ。
体を固まらせる緊張も、日々膨張する不安も、首を絞める恐怖も。彼の隣にいるだけで私は苛まれる。
時折、知らないままでいれば、そう思ってしまう。あの塊を形を成さないまま、友情や親愛などのような布で覆いかぶせたらどれ程よかったのか。
そうすれば、こんなに苦しまずに済む。
罪悪感なんて抱えず、彼の隣で笑えるのに。
「奥様」
カレンの声で、深く潜った意識が浮上した。
気が付けば、私はカレンと二人だけ食堂の席に座る。
「あれ、皆様は……」
「今皆さんは浴室を見に行くところです。あの、男女別々ですので……」
「あ、なるほど」
そんな話、全く聞き覚えがなかった。
また、やってしまった。この、思わず考え込む癖を直すのが本当に難しい。お姉様はいい事だとよく褒めてくれたけど、これはさすがに駄目だ。
中々変わらない自分に呆れて、思わずため息を吐いた。
「奥様、疲れていますか? ここに着いてから立ちっぱなしなんですもんね」
「そう、だね。一度座ると疲れが一気に来た、という感じかな」
訓練所に、団員の寮、武器庫に厩舎まで。どちらも訪れることのない場所で、とても新鮮だった。
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「この席は懐かしいなぁ。今奥様の護衛をしているから、あの昼食の風景を見る機会あまりなかったんですね」
「懐かしい?」
首を傾げれば、カレンが悪戯っぽくニヤッと笑う。
その笑顔はアベル様のそれととても似ているから、身構えてしまう。
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