莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千

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異世界召喚

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 いきなり、召喚などと言われて、紅音の頭が混乱していると、

「え、嘘?ココって、異世ラブの世界??本当に!?じゃあ、私ヒロイン!?」

 右隣にいた女の子が何やらブツブツ言い始めた。

「ね、ねぇ、あなた、大丈夫?」

 とりあえず、女の子に声をかけると、

「え?・・・・は?」

 女の子は一瞬呆けた顔をしたがすぐに、嫌悪感を感じる表情をした。

「は?なんで、もう一人召喚されているのよ。召喚は一人の筈でしょ。オバさんがしゃしゃり出てこないでよ」
「え、えぇぇ???」

 女の子のいきなり敵意剥き出しの視線に思わず慄く紅音。
 確かに、彼女からしたら私は歳上だけど面と向かってオバさん呼びは流石に傷つく。
 明らかに邪魔だと言わんばかり睨んでくる女の子に驚いていると、

「静粛に」

 シン・・・・。

 豪華な椅子に座った王様っぽいおじさん、の隣に立っていた若そうな男性が声をかけると、周りでざわついていた人達が一瞬で静かになった。
 大分若そうに見えるが、見た目とポジション的に宰相か、大臣っぽい・・・・?。

「ランスロット様だぁ!!」
「はい?らんす?」

 隣の女の子は何故かテンションが高くなっている。
 知り合い、というよりも一方的に知っている様子だった。
 そんな事を考えていると、豪華な椅子に座っていたおじさんと宰相っぽい男性が近いて来た。
 そしたら囲んでいた鎧を身に付けた人、豪華な格好をした人。そして、ローブ軍団がざっと左右に分かれる。
 あまりに綺麗に分かれたモノだから、思わず、アレを想像してしまった。
 海を割ったあの有名な、

「え?モーゼ・・・?」
「うむ?我が名を知っているのか?」
「え、あ、いえ」

 遂に口をついて出てしまった呟きに、慌てて口を閉ざすが、幸いにも相手方は気にしていない様子だった。

「いかにも、我はこのアルメディアス王国を治める王。モーゼ・ラロルドルフ・ジョゼフ・アルメディアス4世である」
「私は、ランスロット・リオン。アルメディアス王国宰相です」
「あ、どうも、私は、」

 相手が名乗れば社会的条件反射で自分の名前を名乗ろうとしたその時、

 ドン!!

「うえ!?」
「私、姫川 柚莉愛って言います!!あ、コッチだと柚莉愛 姫川ですよね?でも、柚莉愛って呼んでください!!国王様!!ランスロット様!!」

 突然、右隣にいた女の子に割り込まれ、横に弾き飛ばされた。
 なんとか、踏み止まって倒れる事はなかったけど、いきなり押された事にただただ驚いた。

「これは、どうも、ユリア様」

 宰相さんが恭しく女の子に頭を下げる。
 宰相さんが顔を上げると、宰相さんと私の視線がかち合った。

「其方の貴女も宜しければ是非お名前を」
「あ、はい。私は、たかな、」

 ランスロットに促され紅音は自分の名前を名乗ろうとした瞬間、

(名乗っちゃダメ)
「!、??」

 頭の中で声が響いた。

「ぇ・・・・・」

 名乗っちゃダメと言う声に、紅音は、

「わ、私の名前は・・・・・たけ、竹中 ゆかり、あ、・・・・紫 竹中、です」

 少々しどろもどろになりながらも咄嗟に父の旧姓と母の名前を出した。

「そうですか、『ユカリ カケナカ』様、ですね」
「ッ、」

 宰相さんが私の偽名を口にした瞬間、何やら背中にゾクッとした悪寒を感じた。

 この人の目、なんだか辞めた会社で私をイビってきた先輩の目に似ている。
 言葉は丁寧だけど、目で相手を見下す所を探るそんな目をしている。
 正直、関わりを持ちたく無いタイプだ。

「ユリア様。ユカリ様。どうか、我が国をお救い下さい」

 すると、宰相さんがいきなり私と女の子、ユリアの前に膝を付いた。

「は、え!?」
「はい、もちろんです!!ランスロット様!!」
「はぁ!?」

 宰相さんの突然の国を救ってくださいと言う言葉に、混乱していると何故かユリアが満面の笑顔で即答した。

「ちょ、ちょっと待って!!内容も解らないのに即答しないで」
「は?オバさんには関係無いでしょ?首突っ込んでこないでよ!!」
「ッ、いいから、少し落ち着きなさい!!」

 ウザそうに私を睨むユリアを私は少し強めに叱る。

「ッッ、」

 ユリアは私に叱られた事に少し大人しくなったけど、恨めしそうに私を睨んでいる。

「すみません。ひとまず、状況説明をお願いしてもよろしいでしょうか。私は今の状況をまだ把握出来れていないので」

 私は、宰相さんの目をしっかりと見てそう言った。

 関わり合いたくは無いが、今の状況確認が最優先だ。

「そうですね。失礼しました」

 ランスロットは紅音の言葉を聞いて最もだと、頷き立ち上がる。

「ユリア様とユカリ様。お二方は、我が王国の宮廷魔導師20人に及ぶ大魔法召喚によって異世界からこのアルメディアス王国へ召喚されました」
「召喚?」
「ハイハイ!!この世界を脅やかす魔王を倒す為に私が必要なんですよね?」
「・・・・・・・・・・・、その通りでございます。ユリア様」

 真面目に事情を説明するランスロットにまたユリアが満面の笑みで割り込む。

 ん?一瞬、宰相さん、微妙に雰囲気変わった?気のせい?

「って、魔王!?」
「はい。召喚は、刻の女神アディーダ。時空の神パルアドルフ。そして、ギフトの女神ルカリスの三神によって異世界から聖なる力を秘めた者が選ばれ、この世界、ルディーメイヴィスに呼び出す秘術で御座います」
「わ、私はごく普通の一般人で、武道も武器もましてや、魔法も使えませんけど・・・」

 私はつい最近までごく普通の家庭よりも若干極貧な生活をしていた極々普通の一般人だし、見た所ユリアも普通の高校生くらいに見える。

「ギフトの女神ルカリスの加護によりスキルが贈られているはずじゃ」
「スキル?」
「この世界の者なら誰しも持っている、才能のような事じゃ。宝玉を此処へ」
「ハッ!!」

 国王様の声に豪華台に乗せらた水晶玉の様なオブジェが運ばれて来た。

「キタキタキタ!!」
「いや、落ち着いて」

 オーロラを閉じ込めた様な不思議な色をした水晶玉のオブジェを見てユリアがまた興奮し出す。

「そちらは既に知っている様子だな。コレは心眼の神レイガンの瞳と言われる宝玉。これによりその者スキルを見ることが出来る。まずは、」
「ハイハイハーイ!!私、私からやります!!」

 テンションが上がったユリアが国王の言葉を遮り、水晶玉に触れようと手を伸ばす。
 その手を私は慌て止める。

「だ、だから、国王様の御前よ!?落ち着きなさい!!」
「な、何よ!!オバさんは黙っててよ、オバさんなんて、なんの需要があるのよ」
「いや、知らないよ!?」

 いくら理由があって召喚されたとは言え、あまりに無礼な態度をとると侮辱罪になりかね無い。良くて牢屋。最悪処刑台??
 それは絶対嫌!!!

「ッ、少しはお淑やかにしないと、流石に宰相、ランスロット様に呆れられるわよ」
「ゥッ・・・・」

 私がユリアにそう耳打ちすると、ユリアは大人しくなった。

「・・・・・話を進めてもよろしいでしょうか?」
「・・・・・はい。お待たせしました」
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