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複合魔法
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いきなり極上の獲物を前に突然乱入して来た敵に、ゴブリンの群れは、禍々しいほどの殺気と憎悪の視線をシェナに向ける。
「『うわぁ、めちゃくちゃ怒ってる』」
「当たり前だろ」
他人事のように呟く記憶の中のシェナに思わずツッコむユージーン。
だが、シェナは臆する事無く、真っ直ぐ、怒れるゴブリン達を見据える。
「『でも、垂涎もののご馳走を目の前にして悪いんだけど、そこのドラゴンをアナタ達に食べさせる訳にはいかないのよ』」
次の瞬間、シェナの纏う雰囲気が変わった。
「『強い魔力を持つ魔物を食べる事は身体的、能力的強さに直結する。そして、アナタ達がそれを本能で欲している事も承知の上よ。
だけど、アナタ達がそこのドラゴンを食べて混合魔獣『キメラ』になったら、大変な事になるのよ』」
「ッッ」
混合魔獣『キメラ』
レベルが強すぎる他種族の魔物を捕食や何らかの形で取り込んだ魔獣は、魔力の強い拒絶反応を引き起こし、突然変異で凶暴化し混合魔獣『キメラ』に変貌する事がある。
キメラになった魔獣の多くは自我を無くして暴走し、凶暴性と危険性が高くなる。
故にキメラは国で第1級危険魔獣の一種に指定され、多くのキメラは討伐対象にされている。
「『キメラになって暴走すれば他の種族を見境なく襲い喰らい尽し、やがて、それはただの食欲では無くなる。
血肉を欲し、魔力を欲し、殺戮に欲を満たしたがる。その脅威は私達の街にまで及びかね無い。そうなると、本当に、迷惑で厄介なのよ』」
アギャギャ!!
アギャギャ!!
シェナの言葉に反論し返す様に奇声を上げるゴブリン達。
緊張感が張り詰め重々しい雰囲気。
ゴブリン達は地団駄を踏むように激しく足踏みをし、いつでもシェナに飛び付けるように臨戦態勢をとる。
「『・・・・もう、あんな光景、見たく無いの』」
怒れるゴブリン達には届かない、小さくか細く呟くシェナの声がユージーンの耳に微かに届いた。
それは、今までのシェナから聞いた事が無い程、弱々しい声だった。
「・・・・・」
「『だから、そこのドラゴンをアナタ達に食べさせる訳にはいかないよ』」
だがすぐにシェナはすぐに自身の拳を構えた。
「『円形結界魔法、展開』」
シェナを中心にドーム型の結界が広がる。
「ッッ!?」
ギギギギ!?
ギギ!?
「『幻影魔法、分身、ジェミニ』」
目の前の景色が揺らめいたと思ったら、眼前にもう一人のシェナの後ろ姿が立っていた。
「『悪いけど、時間稼ぎ、よろしく』」
「『了解』」
シェナが目の前の分身のシェナに声をかけ、分身のシェナの隣に立つ。
「『光よ、水よ』」
「『闇よ、火よ』」
分身のシェナの右手に光の玉が左手に水の玉が現れた。
ユージーンの視点のシェナの右手に闇の玉が、左手に火の玉が現れた。
「「『『淡く煌めく陽炎、水泡に消える幻。逃げ惑い反発するは光の粒、惑わせる色彩の影』』」」
二人のシェナの古代魔法詠唱を唱える声が重なる。
「「『『姿を映す水泡。影と光の操り人。姿惑わす幻影の鼓動。
迷わせろ、欺け、合わせ鏡の水霧』』」」
二人のシェナが手に持つ光、水、闇、火の玉を同時に放った。
アギャギャ!?
ギャギャ!!
「「『『幻影魔法、水鏡幻影(ミラージュ・ファントム)』』」」
4色の玉が打つかり、交わり、白い霧が爆発する。
白い霧は瞬く間に、ドーム型の結界の中で充満した。
「ッッ!?」
アギャギャ!?!?
アギャギャ!!!
ギギギギ!?
突然現れた霧にゴブリン達が騒めき、警戒する。
自身の手まで白く霞む程の濃霧で周りが見えず、すぐに声を上げ、仲間と連結を取ろうとする。
すると、分身のシェナが霧の中へ飛び込んで行く。
「な、何を!?」
分身のシェナは本物のシェナと同じ服装。
頭に青いターバン、両手にグローブ。肩に肩掛けの鞄。
つまり、武器を持っていない。良くて両手に装備しているグローブくらいだ。
そんな、装備で怒り狂うゴブリンの群れに飛び込むのは自殺行為だった。
だが、次の瞬間、
ギャアー!!
ギャ!!
ギ、ギャアー!!
聞こえたのは金切り声のゴブリン達の悲鳴だった。
「なにが、起こっているんだ?」
ただ見ている事しか出来ないユージーンは困惑する。
「簡単に言うと、霧の幻影魔法を作ってゴブリン達に自分達の姿をした私に騙し討ちされている」
「・・・・、簡単に言っているが、君は、複合魔法を一人でやったのか?」
複数の魔法を合わせる複合魔法は一人じゃ、成り立たない。
シェナは結界魔法に分身の幻影魔法と霧を生み出す魔法と敵を欺く幻影魔法。
しかも、分身の幻影魔法には意思を持たせて、自立させている。
上位魔法を同時に発動させたシェナに驚愕するユージーン。
「もう一人の私が居るから一人じゃ無いでしょ」
「いや、普通は無理だぞ」
然も、分身を当たり前と言う風に言うシェナにユージーンは戸惑う。
「分身の幻影魔法に術者本人の意識を持たせる事も大変な事なんだぞ?なのに、分身に意識を持たせ、その上、分身と幻影魔法の複合魔法を発動させるなんて、」
「だって、私一人じゃ、この魔法は出来なかったから」
「いや、そうでは無くて・・・・」
あたかも当たり前だろ、と呆れるシェナにユージーンは頭を抱えたくなる。
本当に今の状況に頭が混乱しそうだ。
魔法が同時に発動出来るのは単発魔法を二つまでが通常。
だが、単発魔法の複数の発動で生み出される複合魔法は上位魔法の分類に入る。
ユージーンも3種までの魔法なら同時に発動は出来るがコントロールが効きにくくなり、失敗する確率が高くなり、あまりやろうとはしない。
だが、シェナはこの景色を見るだけでも、結界、分身の幻影。更に分身と共に別々の単発魔法を発動。更に高度な複合魔法である幻影魔法を発動させ、それを成功させている。
異常なまでの魔法のコントロール。
彼女がハーフエルフだからなのか。
だが、もし、彼女が由緒正しい家柄で王都で生まれ育っていたら、王国に仕えていたら・・・。
確実にシェナは若くして上位の魔法導師の地位に就きエリートとしての道を歩んでいただろう。
ユージーンがシェナの魔法の実力に無意識に息を呑む。
「『さてと、』」
「ッッ、」
ユージーンの視点のシェナの視界が揺れ、飛んだ。
「『円形結界魔法、展開』」
シェナがその場を飛び退き、新たにドーム型の結界を張り出し、エンシェントドラゴンとシェナを覆った。
「『これで、邪魔者は入って来なくなったよ』」
シェナがそう言いながら、振り向くと、
グルルルルッッ、
そこには、警戒心を露わにし、威嚇するようにコチラを睨むエンシェント・ドラゴンが居た。
真紅に染まったドラゴンの眼とドラゴンを見上げるシェナの視線が重なる。
「『うわぁ、めちゃくちゃ怒ってる』」
「当たり前だろ」
他人事のように呟く記憶の中のシェナに思わずツッコむユージーン。
だが、シェナは臆する事無く、真っ直ぐ、怒れるゴブリン達を見据える。
「『でも、垂涎もののご馳走を目の前にして悪いんだけど、そこのドラゴンをアナタ達に食べさせる訳にはいかないのよ』」
次の瞬間、シェナの纏う雰囲気が変わった。
「『強い魔力を持つ魔物を食べる事は身体的、能力的強さに直結する。そして、アナタ達がそれを本能で欲している事も承知の上よ。
だけど、アナタ達がそこのドラゴンを食べて混合魔獣『キメラ』になったら、大変な事になるのよ』」
「ッッ」
混合魔獣『キメラ』
レベルが強すぎる他種族の魔物を捕食や何らかの形で取り込んだ魔獣は、魔力の強い拒絶反応を引き起こし、突然変異で凶暴化し混合魔獣『キメラ』に変貌する事がある。
キメラになった魔獣の多くは自我を無くして暴走し、凶暴性と危険性が高くなる。
故にキメラは国で第1級危険魔獣の一種に指定され、多くのキメラは討伐対象にされている。
「『キメラになって暴走すれば他の種族を見境なく襲い喰らい尽し、やがて、それはただの食欲では無くなる。
血肉を欲し、魔力を欲し、殺戮に欲を満たしたがる。その脅威は私達の街にまで及びかね無い。そうなると、本当に、迷惑で厄介なのよ』」
アギャギャ!!
アギャギャ!!
シェナの言葉に反論し返す様に奇声を上げるゴブリン達。
緊張感が張り詰め重々しい雰囲気。
ゴブリン達は地団駄を踏むように激しく足踏みをし、いつでもシェナに飛び付けるように臨戦態勢をとる。
「『・・・・もう、あんな光景、見たく無いの』」
怒れるゴブリン達には届かない、小さくか細く呟くシェナの声がユージーンの耳に微かに届いた。
それは、今までのシェナから聞いた事が無い程、弱々しい声だった。
「・・・・・」
「『だから、そこのドラゴンをアナタ達に食べさせる訳にはいかないよ』」
だがすぐにシェナはすぐに自身の拳を構えた。
「『円形結界魔法、展開』」
シェナを中心にドーム型の結界が広がる。
「ッッ!?」
ギギギギ!?
ギギ!?
「『幻影魔法、分身、ジェミニ』」
目の前の景色が揺らめいたと思ったら、眼前にもう一人のシェナの後ろ姿が立っていた。
「『悪いけど、時間稼ぎ、よろしく』」
「『了解』」
シェナが目の前の分身のシェナに声をかけ、分身のシェナの隣に立つ。
「『光よ、水よ』」
「『闇よ、火よ』」
分身のシェナの右手に光の玉が左手に水の玉が現れた。
ユージーンの視点のシェナの右手に闇の玉が、左手に火の玉が現れた。
「「『『淡く煌めく陽炎、水泡に消える幻。逃げ惑い反発するは光の粒、惑わせる色彩の影』』」」
二人のシェナの古代魔法詠唱を唱える声が重なる。
「「『『姿を映す水泡。影と光の操り人。姿惑わす幻影の鼓動。
迷わせろ、欺け、合わせ鏡の水霧』』」」
二人のシェナが手に持つ光、水、闇、火の玉を同時に放った。
アギャギャ!?
ギャギャ!!
「「『『幻影魔法、水鏡幻影(ミラージュ・ファントム)』』」」
4色の玉が打つかり、交わり、白い霧が爆発する。
白い霧は瞬く間に、ドーム型の結界の中で充満した。
「ッッ!?」
アギャギャ!?!?
アギャギャ!!!
ギギギギ!?
突然現れた霧にゴブリン達が騒めき、警戒する。
自身の手まで白く霞む程の濃霧で周りが見えず、すぐに声を上げ、仲間と連結を取ろうとする。
すると、分身のシェナが霧の中へ飛び込んで行く。
「な、何を!?」
分身のシェナは本物のシェナと同じ服装。
頭に青いターバン、両手にグローブ。肩に肩掛けの鞄。
つまり、武器を持っていない。良くて両手に装備しているグローブくらいだ。
そんな、装備で怒り狂うゴブリンの群れに飛び込むのは自殺行為だった。
だが、次の瞬間、
ギャアー!!
ギャ!!
ギ、ギャアー!!
聞こえたのは金切り声のゴブリン達の悲鳴だった。
「なにが、起こっているんだ?」
ただ見ている事しか出来ないユージーンは困惑する。
「簡単に言うと、霧の幻影魔法を作ってゴブリン達に自分達の姿をした私に騙し討ちされている」
「・・・・、簡単に言っているが、君は、複合魔法を一人でやったのか?」
複数の魔法を合わせる複合魔法は一人じゃ、成り立たない。
シェナは結界魔法に分身の幻影魔法と霧を生み出す魔法と敵を欺く幻影魔法。
しかも、分身の幻影魔法には意思を持たせて、自立させている。
上位魔法を同時に発動させたシェナに驚愕するユージーン。
「もう一人の私が居るから一人じゃ無いでしょ」
「いや、普通は無理だぞ」
然も、分身を当たり前と言う風に言うシェナにユージーンは戸惑う。
「分身の幻影魔法に術者本人の意識を持たせる事も大変な事なんだぞ?なのに、分身に意識を持たせ、その上、分身と幻影魔法の複合魔法を発動させるなんて、」
「だって、私一人じゃ、この魔法は出来なかったから」
「いや、そうでは無くて・・・・」
あたかも当たり前だろ、と呆れるシェナにユージーンは頭を抱えたくなる。
本当に今の状況に頭が混乱しそうだ。
魔法が同時に発動出来るのは単発魔法を二つまでが通常。
だが、単発魔法の複数の発動で生み出される複合魔法は上位魔法の分類に入る。
ユージーンも3種までの魔法なら同時に発動は出来るがコントロールが効きにくくなり、失敗する確率が高くなり、あまりやろうとはしない。
だが、シェナはこの景色を見るだけでも、結界、分身の幻影。更に分身と共に別々の単発魔法を発動。更に高度な複合魔法である幻影魔法を発動させ、それを成功させている。
異常なまでの魔法のコントロール。
彼女がハーフエルフだからなのか。
だが、もし、彼女が由緒正しい家柄で王都で生まれ育っていたら、王国に仕えていたら・・・。
確実にシェナは若くして上位の魔法導師の地位に就きエリートとしての道を歩んでいただろう。
ユージーンがシェナの魔法の実力に無意識に息を呑む。
「『さてと、』」
「ッッ、」
ユージーンの視点のシェナの視界が揺れ、飛んだ。
「『円形結界魔法、展開』」
シェナがその場を飛び退き、新たにドーム型の結界を張り出し、エンシェントドラゴンとシェナを覆った。
「『これで、邪魔者は入って来なくなったよ』」
シェナがそう言いながら、振り向くと、
グルルルルッッ、
そこには、警戒心を露わにし、威嚇するようにコチラを睨むエンシェント・ドラゴンが居た。
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