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再会

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その後佐伯拓海は県外の大学に進学したがどこにも就職せず実家に戻ってきて周囲を唖然とさせた。
「お前何やってんだよ」
長谷川にまで呆れられて佐伯は無職の肩身狭さを実感する。
「あんたらのせいで勉強出来ない頭になった」
「大学まで行っておいて何言ってんだ」
高校卒業後就職してすぐに独立し、いくつかの飲食店を経営している長谷川がこんなに眩しく見えることになるとは予想できなかった。
「とりあえず面倒みてやるから俺の店の店長でもやっとけ。名ばかりだけど肩書があったほうがいいだろう?嫌になったら辞めればいいから」
今も長谷川が経営するレストランで顔つき合わせて話している。

腹の中で脳筋と罵っていた相手がまさか経営の才能があるとは思わなかった。神様は理不尽だ。
「話は早いほうがいい。行くぞ」
どこへ、と尋ねる間もなく強引に高級料亭に連れていかれて商工会のお偉いさんと顔合わせする事になった。スーツ姿の長谷川と違って大学生にしか見えないラフなジーンズ姿の佐伯は場違いな所に緊張してしまう。
奥の間に通されると目力の強い和服姿の老人がテーブルの向こうに座っていた。一瞬ヤクザの組長かと思ったがそうではないらしい。

「知らない顔だな」
腹に響く低い声でじろりと睨まれた。
「佐伯拓海、高校の後輩で〇〇大学を卒業した秀才です。起業したくて地元に帰ってきたそうです。会長にお見知りおきをと思いまして。よろしくお願いします」
よくもまあ嘘をぺらぺら喋れるな、詐欺師のほうが向いてるんじゃないかと佐伯は心の中で笑ってしまう。

会長と呼ばれる男の部下と思われる人間が後ろの襖を開けると豪華な布団を引かれていた。
そういう事か、うまい話はそうそう転がっていないと佐伯は妙に納得する。
背後で襖が閉まる一瞬の間に、今いた部屋に水森たち先輩連中が入ってくるのが見えた。
高校時代凌辱された記憶がフラッシュバックする。
「服を脱げ」
長谷川たちの商売を円滑にするために捧げられた献上品、佐伯は自分の立場を理解してうつむきながら服を脱いで全裸になり布団に横たわった。
「綺麗な体だ…」
先程までの威厳を捨てて、ただのスケベ爺になった会長が覆いかぶさってくる。

「…あ…」
皺だらけの指で全身を撫でられる。老人と侮っていたがゴムをつけたソレは力強く勃起して佐伯の体を貫き続けた。
「あ…、あぁ…ん…ふっ……」
隣の部屋に長谷川たちがいるが声を我慢できずに佐伯は喘ぎ声をあげる。今さら聞かれてもどうでもいいが、もしかして知らない人も混ざっているかもしれないと思った瞬間恥ずかしくなって中を締めてしまう。

行灯のような間接照明に照らされて二人の体が交わる。
「長谷川くんの献上品はさすがだな」
どうしてこんなに同性愛者が多いんだよ。年寄りだから女を一周して男に走ったのだろうか。
「あんっ…は…ぁ…ん……」
「いい声だ。もっと鳴け」
「やっ…恥ずかし…い…です」
「それがいいんだよ」
「…っああ!」
ズン、と強く突き上げられて佐伯は悲鳴のような嬌声を上げた。

「すごくいい」
老人の下に組み敷かれて力強く突かれるたび声が漏れる。
「…あ…、あ…すごっ…」
「世辞も一人前か?」
「あんっ…!」
佐伯の体がしなり、アーチ型の影を作った。
「あぁ…」
絶頂をむかえた老人がモノを抜く。ゴムをつけているので中に直接精液を出される事はなく布団を汚すことはない。
佐伯自身が放った白い液が自分の腹を汚した。

「今月の定例会はにぎやかですね」
隣の部屋では何食わぬ顔をして各店舗の経営者が会食している。聞こえてくる声に誰かが呟いた。
「上物が入荷したので会長に差し上げました」
「それはそれは」
斜め向かいに座る水森が何か言いたそうな顔をしているが長谷川は気づかないふりをしている。
狭い繁華街で佐伯を弄んでいた連中がそれぞれ店を出しているが、狙ったわけではなく自然と集まってきた。そこに佐伯が戻ってきたのだから会長のおこぼれにあやかろうと上級生たちの期待は膨らむ。
「それで夏祭りの件ですが…」
長谷川の腹の底がわからないままイベントの詳細をまとめる会議は続いた。

淡い照明の中、射精する度老人はゴムを結んでゴミ箱に捨てる。
「もう許して…」
老人のくせにどれだけ体力あるんだ。それくらいでないと街の魑魅魍魎たちをまとめる力はないか。
佐伯自身も何度も絶頂に達して思考に霞がかかって何も考えられなくなっている。
一箱全部使い切るつもりかと諦めた時体がそっと離れた。
「少し休んでいけ」
綺麗な所作で着物を着直して会長は廊下に続く障子を開けて部屋を後にした。
いきなり一人にされて素肌をさらしたまま布団の上で佐伯はぼうっと座っている。寝心地のいい布団に吸い込まれるように横になって、これでよかったのか思い直す。

「終わったか?」
突然襖を開けられて明るい光に佐伯は目を細めた。
そこには長谷川と、街の商工会に所属している経営者連中と思われる人間が興味津々で自分を見ている。
「佐伯拓海くんです。これからよろしくお願いしますね」
長谷川から新品のゴムの箱を渡された男たちが佐伯の体に群がった。学生時代初めて体験した輪姦を思い出してしまう。
「あ…っ!はぁ…ん…や…あ!」
次々に穴に突っ込まれる男の欲望を受け止めながら佐伯が喘ぐ。
「う…ん……ふ…」
足を肩に担がれ上半身を起こされて胸の突起をいじられながら佐伯は唾液を流している口に誰かのモノを咥えさせられる。
「んん…ふ…」
あの時と同じ扱いをされながら、長谷川に調教された体は拒否せず受け入れてしまう。
「佐伯…、えっと名前なんだっけ?」
「…たくみ」
「よろしくね。僕は…」

こんな状況で自己紹介されても覚えている自信はない。
ただ気持ちよくしてくれて、さっさと帰ってくれればいい。
見知らぬ男たちに犯されている佐伯を、長谷川と水森が襖によりかかり腕を組んで眺めている。
「おめーは混ざんないの?」
「そのうちな」
「欲しそうな顔してるぞ」
長谷川の一言が癇に障ったのか、水森はじろりと一瞥してその場を後にした。









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