刷り込まれた記憶 ~性奴隷だった俺

希京

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本能

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後藤の部屋に卑猥な声が響く。
全身を駆け巡る快感に佐伯の心が追いつかない。
ソファの上に力なく横たわり、今自分を支配している後藤の意のままになっている人形だった。

刺激が欲しくて、大きく足を広げることも嬌声を上げることも抵抗がなくなっていく。
「ああ…ん、あ…ぁ…っ…!…すご……い…」
「気持ちいい?」
いつもより優しい声で囁かれる。
「う…」
一突きごとに、持ち上げられた足が揺れる。

「俺と一緒にいればいつでも抱いてあげる」
後藤の光る眼は『早く堕ちろ』と言っているようだった。
「…や……」
佐伯は最後の理性で抵抗するが、声に導かれるまま気持ちが揺れる。

「君は長谷川に捨てられたんだ。諦めろ」
そんなこと今はどうでもいい。
無意識に手が自分の性器にのびる。強く握って上下にしごくと白い液を吹き出した。
「あ…」
いつもならここで終わりなのにすぐに硬くなっていく。
「自分だけ気持ちいい事して逃げる気か?」
「…っあぁ!」
脳まで突き抜けるような快感が体を走り抜けて佐伯は悲鳴のような声をあげた。

「あ…、やっ……」
ビクビクと動いて中に放出されている感覚がする。
「いや…」
一旦抜いてゴムを外している後藤を止めようと佐伯は弱々しく腕を掴んだ。
「もっと欲しい?」
「うん…」
髪を片耳にかけながらソファに体重をかけて戻ってくる後藤に、快楽を求めて佐伯は足を開く。
蕩けた顔で求めてくる佐伯の顔を指でなぞる。それだけで甘い声が漏れた。

この程度で堕ちるなら長谷川も楽だったろうな。

「いや…ぁ…、あ…ん……」
指をゆっくり滑らせて胸で止まる。膨らみを潰すと佐伯は弱々しく首をふった。
「…あぁ…あん……」
指ではさんでしばらく弄んでじっくり鑑賞する。
物足りなそうな下半身が後藤の腹に当たった。

「まだ欲しいの?」
「…うん」
「俺の所へくればあげる」
「……」
佐伯は無言で頷いた。

「君はほんとに学習しないな」
後藤が指差す方向に、テーブルに立てられたスマホがある。

「今の所、録画したから。口約束じゃすまないぞ」
「……」
虚ろな目で佐伯はそれを見つめていた。
どうでもいい。
上書きされた快感は長谷川のそれなど簡単に吹き消した。
なぜここまで執着していたんだろう。自分でも不思議な気分になる。

「佐伯くんは誰のもの?」
わざとなのか録画されていた長谷川との応答と同じ質問を投げられた。
「…後藤さんの……もの…」
どこを見ているかわからない顔で佐伯が答える。
「あん…、あ…ん…!」
ひくつく穴を激しく責められて佐伯は大きく体をくねらせた。
「よく言えました。ご褒美だ」
「あ…あ…っ、やぁ…!…っ……」

容赦なく責められるが佐伯はそれを欲しがって締め付けてくる。
「ダメ…!またイッちゃうっ…あ…!…やだっ…!」
獣の叫びだ。
自分の嬌声を聞きながら世界が真っ暗になって消えていった。


いつもの時間になっても佐伯が姿を表さない。
店の奥にある事務室で黒部は首をかしげた。
電話をしてもつながらない。体調でも悪いんだろうかと最初は深く考えていなかったが、数日たっても音沙汰がないとさすがに不安になってきた。
同じ思いなのか珍しくオーナーの長谷川が部屋にやってきた。
「佐伯いるか?」
開口一番長谷川が言う。

「…ここ数日連絡が取れません」
てっきり長谷川の所にいると思っていた黒部は焦りを隠さないオーナーを見て考えが外れたと思った。
「ここにもいないか」
深いため息をついて長谷川が出ていく。
『ここにもいない』という事は部屋にもいないのか。
そこまで突っ込んで聞きたかったが、すぐに行ってしまった長谷川を引き止めることが出来なかった。

後藤の策にはめられて佐伯は離れられなくなり、彼の部屋でどんどん薬漬けになっていく。
意識が朦朧として正確な判断ができない。
「欲しい?」
と言われれば素直に頷いて体を預ける。

「俺のものになる?」
「……」
佐伯は無言で頷く。
「じゃあ証拠を見せろ」
ひざまずいて後藤のベルトをはずしてズボンを下ろし、何の躊躇もなく口に含むと、後藤は優しく頭を撫でる。
「いい子だ…」
最初からこうしていればよかった。説得すれば考え直すかと思って見ていたが長谷川の支配力が想像以上に強かった。
クスリ欲しさなのか目を閉じて夢中になってしゃぶっている佐伯を少しだけ哀れに思いながら、自分の外道ぶりを笑う。
「もういい」

佐伯の頭を掴んでゆっくり離すと、上目づかいで後藤を見た。
「口開けろ」
素直に開けた口の中に後藤は錠剤を入れて指でかきまわす。うっとりした顔でそれを味わう佐伯は崩壊寸前だった。
「どうして…、もっと…早く教えてくれなかったの?」
「え?」
「これ知ってたら、長谷川を早く忘れられたのに…」
「そう。ごめんね」

倒れそうな体を抱き上げて、佐伯をベッドに運んでうつ伏せに押し付ける。
「は…っ…」
ズボンの上から強い力で穴を刺激すると佐伯は甘いため息を漏らした。
長谷川の何がよかったのかもう忘れた。逆らえない束縛にむしろ自分から身を委ねて後藤の前に体をさらす。
「服が濡れるぞ」
垂れ流す透明な液が前を濡らすが佐伯は快楽を求める。

「入れて…ここ……」
「せかすな」
「…おねがい……」
ズボンを脱がされて肌に風が当たる。期待に震える佐伯はぎゅっとクッションを握った。

「ああ…」
ゆっくり入ってくる後藤の動きが物足りなくて腰を動かしてしまう。
「もっと…もっ…と…強くして…」
佐伯はもう自分が何を言っているかわかっていない。
数日この部屋から出ていない佐伯に、そろそろ長谷川も異変を感じて動き出しただろうか。
それとも、新しい恋人に夢中で佐伯の動向など関心がないか、どうだろう。
まともな判断力を奪われて、自分の下で気持ちよさそうに喘いでいる佐伯が哀れに感じて仕方なかった。






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