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出会い
夜の繁華街は比較的安全な表通りと、一歩外れると途端に治安が悪くなる地域がある。
「おい」
伊藤卓也が思わず声をかけたのは、狭い道の真ん中に突っ立っているのが少年だったからだった。
丸いシルエットの銀髪に、短いふわっとした白いコートのようなものを羽織っている少年が声のほうを向く。
「この辺は治安が悪いから来ないほうがいいぞ。てかそもそもお前未成年じゃねえの?」
お節介に声をかけてきた男を少年はじっと見る。
声の正体はひとりで、長くて黒いドレッドヘアの前髪を片方だけ前に垂らして残りは後ろで束ねている。上下革のジャケットにズボン。見た目は悪そうな男。
「僕は大人です」
少年にしか見えない男が運転免許証を見せてきた。
「なるほど、26歳ね。で?何でひとりでうろついてんの?」
その時すぐ横にある店のドアが勢いよく開いて派手な女性が飛び出してきた。
「ああよかった!お客さん、財布忘れてるわよ」
綺麗なネイルの手には小学生が持っていそうな可愛らしい財布が握られている。
「財布忘れた?何だよ見た目と同じくらいドジだな。普通記憶は無くしても財布は忘れないだろ」
ドレッドの男が肩を揺らして笑っている。
「…すみません。ありがとう」
「アミ、こいつは1人で飲んでたの?」
「うん。ふらっと来店してくれて。ああでも追いついてよかった。よかったらまた来てね。じゃあ」
アミと呼ばれた女が店に戻っていく。
最近働き出したヤツで伊藤卓也とは客とキャストという関係だった。
「危なっかしい奴」
白い青年は大事そうに両手で財布を胸の位置で握っていた。
「ごめんなさい」
「気をつけて帰れよ」
「待って!」
男が帰ろうとすると白い青年が大声で止める。
「何だよ」
「僕、いろんなお店に行ってみたいんです。でも本当はひとりで入るのって勇気がいるの」
「じゃ、もしまた会ったらどこか連れてってやるよ」
「本当ですか!?やったあ」
青年は大げさに喜んだ。
友達がいないのか飲み仲間が欲しかったのか、そこまでは聞かなかった。
「連絡先教えてもらってもいいですか?」
卓也の台詞を社交辞令と思わなかったのか青年は白いアウターのポケットからスマホを取り出した。
IDを交換して画面を確認する。
「えーっと。中野…なんて読むの?」
「はるとです」
「春に兎で春兎か。流行りのキラキラネーム?」
「さあ。僕が生まれた時に流行ってたかはわかんないですけど読みにくいのは確かですね」
「じゃあ片仮名のハルで登録しとくわ」
「僕も卓也さんをタクで登録します」
「これで俺たちはマブダチだ」
春兎がにこにこしてスマホ画面を見ている隙に、卓也はジッポーで煙草に火をつける。
「友達になる儀式だ」
思い切り吸い込んだ煙を、卓也は春兎の口を自分の唇でふさいで煙を吹き込んだ。
「ケホっ…なにこれ……」
いきなり煙を口移しで体内に流し込まれてむせる。
「どう?気分良くなってきた?」
「……」
普通の煙草じゃない。
正体を知ったときは遅かった。
視界がぐるぐると回る。気分はぼんやりするが悪くはない。むしろハッピーだ。
「タク…」
ふらつきながら春兎は卓也の革のジャケットを掴んだ。
「だから言ったろ?治安が悪いって」
にやにやしながら卓也が言う。
鋭い眼光にドレッド姿。全てがかすんで良く見えない。卓也は体に力が入らない春兎を支えながら自分がくわえていた煙草を春兎に吸わせた。
「これでお前もマリファナ仲間だ」
卓也の腕の中で抵抗できないまま巻き煙草を吸わされる。さらに頭の中がぼんやりしてきて、立っているのがやっとになってきた。
どんどん力が抜けていって腕をだらりと垂らす。
「寝るなよ。お楽しみはこれからだ」
目を閉じている春兎の体を軽々しく抱きかかえて、卓也は歩きだした。
どれくらい時間がたっただろう。
春兎が目を覚ますと知らない部屋のベッドに寝かされていた。
羽織っていた白いアウターはハンガーで壁にかけられて、白いシャツに短めの白いズボンはそのまま着せられていた。
「起きたか?」
真っ暗な部屋に、隣の部屋から光が漏れてくる。その光に裸の卓也が逆光に浮かぶ。
筋肉質で男らしい体。彫刻のように美しいラインに目を奪われていると、横たわっている春兎の体にのしかかってきた。
まだ頭に霞がかかったようでぼんやりする。
「かわいいなお前。男とヤったことある?」
「……」
探るような卓也の言葉に、春兎は恥ずかしそうに目を閉じてかすかにうなづく。
「マジか。まあその顔だったら狙われるかもな」
「…卓也も…そうなの?」
「俺?俺はどっちもイケる」
言いながら卓也は白いトレーナーの中に手を入れて春兎の体をまさぐった。
「ん…ふっ…」
荒々しく服を脱がせると丸みを帯びた春兎の体がくねる。全身脱毛でもしたのかつるりとした体。違法ドラッグを使ったせいかすでに勃起していて、後ろの穴がひくついていた。
卓也は口角を上げて意地悪い笑みを浮かべる。
「ああっ…やだ…見ないで……」
「見なきゃ入れられないだろ」
子どものような体だが、調教済みの体は卓也を求めて欲望が体内をめぐって苦しそうだった。
「あ…ぁ…」
しばらく裏筋を親指でさするように刺激して、透明な液がとろとろ流れてくる所を執拗に責めた。
「ひっ…、ああ…も…欲し……」
我慢の限界に達したのか春兎は腰をくねらせておねだりしてきた。
膝立ちになって春兎の体を乱暴に引き寄せる。
「キメセクは初めてだろう?これ覚えたらやめられねーぞ」
一応忠告してから赤く色づく穴にゆっくり挿入していった。
「やあ!…あっ…あああ!……」
まだ入れただけなのに体が跳ねて首を激しくふっている。
動きを強めると欲の色に染まった喘ぎ声が止まらなかった。
「…やぁ…っあ!…タク……いっ……」
「あんな所にいなきゃよかったのにな。災難だなあ春兎」
「あ…あ………」
何も聞こえないのか、春兎は銀色の髪を振り乱して狂ったように腰を動かしている。卓也も激しく叩きつけて容赦はしなかったが、春兎の体は悦んでいる。
「…ふ…うっ…あぁ!……いい…ん……!」
甘い嬌声を聞きながら、今夜はいい拾い物をしたと卓也はほくそ笑む。
その下で蕩けている春兎が声をあげ続けた。
「おい」
伊藤卓也が思わず声をかけたのは、狭い道の真ん中に突っ立っているのが少年だったからだった。
丸いシルエットの銀髪に、短いふわっとした白いコートのようなものを羽織っている少年が声のほうを向く。
「この辺は治安が悪いから来ないほうがいいぞ。てかそもそもお前未成年じゃねえの?」
お節介に声をかけてきた男を少年はじっと見る。
声の正体はひとりで、長くて黒いドレッドヘアの前髪を片方だけ前に垂らして残りは後ろで束ねている。上下革のジャケットにズボン。見た目は悪そうな男。
「僕は大人です」
少年にしか見えない男が運転免許証を見せてきた。
「なるほど、26歳ね。で?何でひとりでうろついてんの?」
その時すぐ横にある店のドアが勢いよく開いて派手な女性が飛び出してきた。
「ああよかった!お客さん、財布忘れてるわよ」
綺麗なネイルの手には小学生が持っていそうな可愛らしい財布が握られている。
「財布忘れた?何だよ見た目と同じくらいドジだな。普通記憶は無くしても財布は忘れないだろ」
ドレッドの男が肩を揺らして笑っている。
「…すみません。ありがとう」
「アミ、こいつは1人で飲んでたの?」
「うん。ふらっと来店してくれて。ああでも追いついてよかった。よかったらまた来てね。じゃあ」
アミと呼ばれた女が店に戻っていく。
最近働き出したヤツで伊藤卓也とは客とキャストという関係だった。
「危なっかしい奴」
白い青年は大事そうに両手で財布を胸の位置で握っていた。
「ごめんなさい」
「気をつけて帰れよ」
「待って!」
男が帰ろうとすると白い青年が大声で止める。
「何だよ」
「僕、いろんなお店に行ってみたいんです。でも本当はひとりで入るのって勇気がいるの」
「じゃ、もしまた会ったらどこか連れてってやるよ」
「本当ですか!?やったあ」
青年は大げさに喜んだ。
友達がいないのか飲み仲間が欲しかったのか、そこまでは聞かなかった。
「連絡先教えてもらってもいいですか?」
卓也の台詞を社交辞令と思わなかったのか青年は白いアウターのポケットからスマホを取り出した。
IDを交換して画面を確認する。
「えーっと。中野…なんて読むの?」
「はるとです」
「春に兎で春兎か。流行りのキラキラネーム?」
「さあ。僕が生まれた時に流行ってたかはわかんないですけど読みにくいのは確かですね」
「じゃあ片仮名のハルで登録しとくわ」
「僕も卓也さんをタクで登録します」
「これで俺たちはマブダチだ」
春兎がにこにこしてスマホ画面を見ている隙に、卓也はジッポーで煙草に火をつける。
「友達になる儀式だ」
思い切り吸い込んだ煙を、卓也は春兎の口を自分の唇でふさいで煙を吹き込んだ。
「ケホっ…なにこれ……」
いきなり煙を口移しで体内に流し込まれてむせる。
「どう?気分良くなってきた?」
「……」
普通の煙草じゃない。
正体を知ったときは遅かった。
視界がぐるぐると回る。気分はぼんやりするが悪くはない。むしろハッピーだ。
「タク…」
ふらつきながら春兎は卓也の革のジャケットを掴んだ。
「だから言ったろ?治安が悪いって」
にやにやしながら卓也が言う。
鋭い眼光にドレッド姿。全てがかすんで良く見えない。卓也は体に力が入らない春兎を支えながら自分がくわえていた煙草を春兎に吸わせた。
「これでお前もマリファナ仲間だ」
卓也の腕の中で抵抗できないまま巻き煙草を吸わされる。さらに頭の中がぼんやりしてきて、立っているのがやっとになってきた。
どんどん力が抜けていって腕をだらりと垂らす。
「寝るなよ。お楽しみはこれからだ」
目を閉じている春兎の体を軽々しく抱きかかえて、卓也は歩きだした。
どれくらい時間がたっただろう。
春兎が目を覚ますと知らない部屋のベッドに寝かされていた。
羽織っていた白いアウターはハンガーで壁にかけられて、白いシャツに短めの白いズボンはそのまま着せられていた。
「起きたか?」
真っ暗な部屋に、隣の部屋から光が漏れてくる。その光に裸の卓也が逆光に浮かぶ。
筋肉質で男らしい体。彫刻のように美しいラインに目を奪われていると、横たわっている春兎の体にのしかかってきた。
まだ頭に霞がかかったようでぼんやりする。
「かわいいなお前。男とヤったことある?」
「……」
探るような卓也の言葉に、春兎は恥ずかしそうに目を閉じてかすかにうなづく。
「マジか。まあその顔だったら狙われるかもな」
「…卓也も…そうなの?」
「俺?俺はどっちもイケる」
言いながら卓也は白いトレーナーの中に手を入れて春兎の体をまさぐった。
「ん…ふっ…」
荒々しく服を脱がせると丸みを帯びた春兎の体がくねる。全身脱毛でもしたのかつるりとした体。違法ドラッグを使ったせいかすでに勃起していて、後ろの穴がひくついていた。
卓也は口角を上げて意地悪い笑みを浮かべる。
「ああっ…やだ…見ないで……」
「見なきゃ入れられないだろ」
子どものような体だが、調教済みの体は卓也を求めて欲望が体内をめぐって苦しそうだった。
「あ…ぁ…」
しばらく裏筋を親指でさするように刺激して、透明な液がとろとろ流れてくる所を執拗に責めた。
「ひっ…、ああ…も…欲し……」
我慢の限界に達したのか春兎は腰をくねらせておねだりしてきた。
膝立ちになって春兎の体を乱暴に引き寄せる。
「キメセクは初めてだろう?これ覚えたらやめられねーぞ」
一応忠告してから赤く色づく穴にゆっくり挿入していった。
「やあ!…あっ…あああ!……」
まだ入れただけなのに体が跳ねて首を激しくふっている。
動きを強めると欲の色に染まった喘ぎ声が止まらなかった。
「…やぁ…っあ!…タク……いっ……」
「あんな所にいなきゃよかったのにな。災難だなあ春兎」
「あ…あ………」
何も聞こえないのか、春兎は銀色の髪を振り乱して狂ったように腰を動かしている。卓也も激しく叩きつけて容赦はしなかったが、春兎の体は悦んでいる。
「…ふ…うっ…あぁ!……いい…ん……!」
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