彼氏が最狂過ぎて困ります。

zakura

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ろくな目 

ろくな目 ※美緒

この鳳城学園にはルールがある。
「屋上には近づかないこと」
屋上にはこの学園の「王」がいるから。
一般の人が近づいていい人らじゃない。らしい。

ーーーーその屋上に現在いる俺ーーーあかつき 美緒は
一般人じゃないのだろうか。

俺はため息をつく。
ーーーーやはり外に出るとろくな目に遭わない。

もともと俺は引きこもり。
友達も三人しかいない。
でもそいつらがいれば十分だし、そいつらは俺の家に住んでいるから学校に行く目的も特になくなった。
だからといって、学園をやめればオッケーというわけにもいかず、今は一週間に一度学校に登校し課題をもらって自宅で学習するというスタイルになっている。

今日もその一日だった。
課題ももらったし帰ろうと靴箱に向かおうとしているところだった。

廊下の向かいに真っ黒なストレートヘアーの優しそうに笑う男の姿が見えた。
「あれ…今授業中じゃ…」なんていう考えは吹き飛んだ。
とりあえず

ガン無視。
足早にすれ違った。
すれ違ったのに。

「暇なら、ご一緒にどうです?」

謎の言葉をかけられた。
あきらかに俺だよね。
と感じるより早く、俺の体が浮いたのが分かった。

「!!!?」

姫抱きされていることがわかったが、抵抗するとさらにだるくなるような予感がして身を任せることにした。
どこに行くのだろうとぼーっと考えていたらいつの間にか

屋上についていた。
めったに学校に来ない俺でもわかる。
屋上はダメ。
入学当初に女子たちが屋上に行けることを嬉しそうに語っていたのを思い出した。
なんでも学園の王かその取り巻きの誰かに案内されたものしか入れない場所だった。
屋上に入る=学園の王たちの彼女
な感じなんだなという解釈をした。

…俺、男だ。
男が屋上に行けたなんて話聞いたことがない。
待って、学校行ってないから知らないだけ?
彼女とかの感じではなさそう…。
じゃあ、俺なんで連れてこられたの…
ほんとに暇つぶし…?
めぐりゆく思考を落ち着かせようと目の前を見ると
この学園の王 神田 凛。

その取り巻き 天谷 壮太朗。
       天海 大翔。
がいた。
では、俺を姫抱きして連れてきたのは
       白羽 九朗。
だと悟った。

ど…どうしよう。
コミュ障な俺が声を出せるわけもなく黙っていると
目の前の薄い茶色で猫っ気の男が俺を指さした。

「くろちゃん~、どしたん?この子」

俺の後ろから「ふふっ」と笑い声がした。
くろちゃん=白羽 九朗のことのようだ。
姫抱きを下ろされた。
ほっとしたのも束の間で、手を引かれ、白羽九朗とともに一人がけのソファに座らされた。
シートベルトのように後ろから手が伸びてきてお腹に回された。

「かわいいと思って連れてきちゃいました。」

そのままぎゅっと引き寄せられた。
カワイイトオモッテツレテキチャイマシタ…?
ぞっと鳥肌が立つのが分かった。
後輩的な意味で…だよね?
と思って少し距離をとろうとするが、強くて動けない。

「…」

金髪にピアスのいかつい男が俺の思いを察してくれたのか声をかけてくれた。

「顔、こわばってんじゃねえか」

「ああ…ごめんなさい。勝手に連れてきちゃって…怖かったですよね?」

怖すぎるんですが。
なんて言えない。
俺は首をぶんぶん振った。
もう帰して。

「俺は白羽九朗と言います。

実は…前々からあなたをねら…、んん、いやお話してみたいなと思っておりまして…」

ねら…!?
明らかに聞こえた怖いワードとこの緊張状態に耐えられなくなって俺はスマホを取り出した。
もう失礼とか関係ない。
早く、廉に連絡して帰る。
俺はラインを開き、幼馴染の一人である廉の名前を探す。
トークを開いて『れんたすけて』と打った。送信ボタンを押ー…

「俺といるのに、他の男とラインですか?」

ぐるっと体を回されて、白羽九朗と向かい合う形になった。
逃がさないとばかりに体を引き寄せられて、そのまま顔を両手で包まれる。
互いのおでこがこつんと当たった。
突然すぎて心臓がバクバク言っているのがわかる。
そのまま顔が近づいてくる…
これ以上近づくと…俺の手が唇を守ろうとする前に
「んんっ!!」
噛みつくように白羽九朗の唇が俺の唇をふさいだ。

うっそでしょ!!
行き場のなくなった俺の手は必死に白羽九朗を押し返す。
でもびくともしない。
唇同士が重なるときに声を出そうとしたため、舌の侵入を許してしまっている。
「んっ、んっ、」
顔を逸らしたくても顔をつかまれていて逸らせない。
せめて舌だけは、からませたくなくて動かすが…
「んんんぅ……」
すぐにからめとられてしまった。
息がしにくいからか、目がぼやけて力も抜けてくる。
自身の口からくちゅ…といやらしい音が響いた。

「んっ…ふう…ぅん、んん~っ」
くちゅっ、

涙が頬を伝ったのが分かった時、ゆっくりと唇が離された。
俺の唇と白羽九朗の唇とつなぐ銀の糸をぼーっと見つめている。
周りから「ひゅー」「くろちゃん大胆♡」という声を聴いて、顔が赤くなったのが分かった。

思わず下を向くと、白羽九朗の反り立ったモノが目に入る。
でかすぎるモノを見て、さあーっと熱が冷めていくのを感じる。
もういやだ…。
きゅっと目をつぶった。
俺をのぞき込む気配を感じた。
帰りたい。
どうしよう。
また唇が触れ合いそうなほど近くなっているのが分かった。
触れ合ったら、またさっきみたいになる。
そのまえに…俺は声を振り絞った。

「や…だ。」

白羽九朗が俺の腰に回した手がびくりと動いたのが分かった。

「…あーっと、あっぶな。止まらなくなるところだった。

…いきなり怖かったですよね?すいません。

今日はここまで。また会いたいのでお名前聞いてもよろしいですか?」

その答えはイエスしかないような気がする。
本当は名前なんか教えたくない。
でもいうまでは解放してくれなさそうだ。
早く帰りたい。
ラインをちらりと見ると廉から『美緒、どうした』と返ってきていた。
…。

俺は意を決して


「満欠 伊麻里」

と名乗った。


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