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第2章勇者と聖剣編
22生存本能らしい
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午後は歴史の授業だ。前回は魔族の歴史を教わったが、今日は人間の国の歴史らしい。
「今日は魔族と対立する人類最大の国家、クラリシス王国についてです」
教科書を見ながら淡々と読み上げるのは、ジゼ。吸血鬼で、ちょっと毒舌な黒髪赤目の美形だ。日光に弱い。
「前回少しお話ししましたが、クラリシス王国は中央大陸に拠点を置いています。聖剣という神族の創り出す剣を召喚して加護されています」
「へぇ、聖剣を召喚して戦うのか?」
「いいえ、聖剣は一度その力を使うと消滅します」
「え、それって使う意味あるの?」
「まぁ、諸刃の剣ではありますが聖剣は持つだけで魔力を打ち消す力もあるので我々も容易には近付けません」
「なるほど。召喚って魔法陣とか儀式みたいなので呪文唱えてするのかな」
「私はその辺りは詳しくはないです」
持つだけで全能力値マックスとか、無敵のアイテムとは言い難いが聖剣はやはり魔族と相性は悪いようだ。
「あ、そういえば・・・聖剣を壊すためにアディが街一つ消したって話だったよな?聖剣が召喚されたら、魔力打ち消されちゃうのに壊せたわけ?」
「正確には召喚途中で破壊した、と言うべきでしょうか」
「そうなんだ。アディってやっぱりすごいんだな」
「そうですね。魔族の頂点に立つお方ですから。・・・・あの、セナ」
「ん?」
「・・・傷跡は・・その、どうですか。痛みませんか」
ジゼは、セナの首筋をチラチラ気にしながら具合を聞いてきた。以前初めて首筋から吸血され、吸血跡が残ってしまったのだ。吸血鬼の噛み跡は治せないらしい。
それが原因で取り決めた魔族の掟を破ったジゼは、魔王の断罪を受けるはずだったがセナが庇ってお咎めなしになったのだ。それ以来ジゼは、セナに対していくぶんか丸くなった気はする。
「あぁ、大丈夫だ。男だし傷の一つや二つ、大した事ないよ」
「ーーーーッ、セナ」
ジゼはセナの男前な発言に感動したのか、そっと手を取り甲に何度もキスを送る。ジゼの親愛の証なのかもしれない。あまりにもしつこいので、手を引っ込めた。
「おーい、ジゼ。授業の続きしろよ」
「はい、あぁ、申し訳ありません。私とした事が・・・では次は・・」
あのままだと、ジゼにまた噛み付かれそうなので授業に集中させる事にした。
「そういえばあの時噛む前に、俺に何かした?途中から・・・すごい事になってたから」
「そうですね・・・吸血鬼は暗示能力の魔力も使えるのです」
「暗示、なんかズルくない?」
「吸血鬼は他の魔族ほど頑丈な肉体を持ち合わせないので、身を守るための生存本能が働くのですよ」
「なるほど」
「してみますか?」
「えっ」
「セナ、私の目を見て下さい」
セナは言われるままに、ジゼの赤い瞳を見つめた。魔族の瞳孔は縦なんだなとマジマジと観察していたら、口が触れそうなほど間近に居るのに気付いて慌てて身を引いた。
「うわっ」
「・・・と、この様に相手を封じる手段にも使えます」
「ぇ・・・」
「まったくセナは騙されやすいというか、・・・少しは疑う事も知りなさい」
ジゼはセナの手を取ると、その甲に口付けてまた教鞭を取るのだった。
「今日は魔族と対立する人類最大の国家、クラリシス王国についてです」
教科書を見ながら淡々と読み上げるのは、ジゼ。吸血鬼で、ちょっと毒舌な黒髪赤目の美形だ。日光に弱い。
「前回少しお話ししましたが、クラリシス王国は中央大陸に拠点を置いています。聖剣という神族の創り出す剣を召喚して加護されています」
「へぇ、聖剣を召喚して戦うのか?」
「いいえ、聖剣は一度その力を使うと消滅します」
「え、それって使う意味あるの?」
「まぁ、諸刃の剣ではありますが聖剣は持つだけで魔力を打ち消す力もあるので我々も容易には近付けません」
「なるほど。召喚って魔法陣とか儀式みたいなので呪文唱えてするのかな」
「私はその辺りは詳しくはないです」
持つだけで全能力値マックスとか、無敵のアイテムとは言い難いが聖剣はやはり魔族と相性は悪いようだ。
「あ、そういえば・・・聖剣を壊すためにアディが街一つ消したって話だったよな?聖剣が召喚されたら、魔力打ち消されちゃうのに壊せたわけ?」
「正確には召喚途中で破壊した、と言うべきでしょうか」
「そうなんだ。アディってやっぱりすごいんだな」
「そうですね。魔族の頂点に立つお方ですから。・・・・あの、セナ」
「ん?」
「・・・傷跡は・・その、どうですか。痛みませんか」
ジゼは、セナの首筋をチラチラ気にしながら具合を聞いてきた。以前初めて首筋から吸血され、吸血跡が残ってしまったのだ。吸血鬼の噛み跡は治せないらしい。
それが原因で取り決めた魔族の掟を破ったジゼは、魔王の断罪を受けるはずだったがセナが庇ってお咎めなしになったのだ。それ以来ジゼは、セナに対していくぶんか丸くなった気はする。
「あぁ、大丈夫だ。男だし傷の一つや二つ、大した事ないよ」
「ーーーーッ、セナ」
ジゼはセナの男前な発言に感動したのか、そっと手を取り甲に何度もキスを送る。ジゼの親愛の証なのかもしれない。あまりにもしつこいので、手を引っ込めた。
「おーい、ジゼ。授業の続きしろよ」
「はい、あぁ、申し訳ありません。私とした事が・・・では次は・・」
あのままだと、ジゼにまた噛み付かれそうなので授業に集中させる事にした。
「そういえばあの時噛む前に、俺に何かした?途中から・・・すごい事になってたから」
「そうですね・・・吸血鬼は暗示能力の魔力も使えるのです」
「暗示、なんかズルくない?」
「吸血鬼は他の魔族ほど頑丈な肉体を持ち合わせないので、身を守るための生存本能が働くのですよ」
「なるほど」
「してみますか?」
「えっ」
「セナ、私の目を見て下さい」
セナは言われるままに、ジゼの赤い瞳を見つめた。魔族の瞳孔は縦なんだなとマジマジと観察していたら、口が触れそうなほど間近に居るのに気付いて慌てて身を引いた。
「うわっ」
「・・・と、この様に相手を封じる手段にも使えます」
「ぇ・・・」
「まったくセナは騙されやすいというか、・・・少しは疑う事も知りなさい」
ジゼはセナの手を取ると、その甲に口付けてまた教鞭を取るのだった。
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