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26.失したもの
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ウリカはシノムの経験した親族間の争いについておしえてくれた。
「大奥さまが亡くなられたのはもうずっと先でした。
でも大旦那さまは三年前で、その頃まで仲のよかった傍流のご家族がいらっしゃったんです」
その家は現シノムの曽祖父の妹の子孫にあたる。
シューベルグの血統で長男以外が成人するのまれだ。
曽祖父は妹夫婦に財産をわけてやり、彼らはそれでいくらかの領地と邸宅をもっていた。
この家族は長いこと季節ごとに自邸と城とを行き来して暮らしていた。
「あちらのご家族はご姉妹ばかりお生まれでした。
旦那さまの曽祖叔母さまから二代先の現長姉はエディトさま、夫はヒューゴさまです。
このご夫婦はめずらしく男の子がお生まれで、ご長男は旦那さまより二歳上のラースさまとおっしゃいます」
このヒューゴという婿が欲深かった。
父を亡くしたシノムに家督をラースへゆずれと迫ったのだ。
しかし財産の管理者であった父の遺言があり、また、エディトとラースはシノムの味方で、この話に熱心なのはヒューゴ一人であった。
血の繋がった三人はもともと仲がよかったのだ。
「ところが、血迷われたのかラースさまはシノムさまを亡き者にされようとしたんです。猟銃で寝込みを襲うような真似をなさって。
結果的に気持ちがくじけたのか、それはなりませんでしたけど。
しかしおかしなことをおっしゃって……」
「どういうことを?」
ウリカがいうには、ヒューゴはシノムが彼をそそのかしたという旨の話を語ったそうだ。
やれるものならやってみろとその猟銃を与えてまで。
「猟銃……」
フィオナには心当たりがある。
直近に彼女にそれを向けた挑発的な男がいたからだ。
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