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30.幸不幸の秤
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フィオナはアンネースへ孫のシノムは元気でとてもやさしく尊敬すべき人物だとつたえた。
それから妹アドリアナは薄命だったが、アイリーンは100歳を超え一族をしたがえ幸せに暮らしていると。
その子孫が自分の兄のような人で彼にはいつも助けられるとはなした。
継母に見知らぬシノムとの縁談をすすめられたときも押取刀で駆けつけてくれたであろうことも。
「フィオナ。貴女はいまの暮らしが幸せ? ……ほかに好きな人はいなかったの?」
アンネースはすこし思案してそうたずねた。
「過去にはいました。でもそれはもう過去です。わたしはいま幸せです」
フィオナはアンネースに貴女は? とたずねた。
アンネースは好きな人はシノムだったと答えた。それはいまも変わらない。
しかし幸せかとたずねられれば、必ずしも期待どおりではなかった……——だがフィオナの姿を見てたしかに報われた思いだと語ってくれた。
通りすぎた過去は二度ともどらない。
選択のちがいが不思議なちがいを積みかさね生み出す結果を変えていく。
少しのちがいを願うことははかない後悔にすぎず……しかし選択は必ずなにかしらの成果をあげることをフィオナもアンネースももうしっている。
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