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しおりを挟む手を引かれるまま、うらびれた宿屋へ入った。
ノアさんが宿帳に書いたのは知らない名前だ。筆跡が思いのほか乱雑でげんなりした。
雨に濡れた服がはりついてきもちわるい。
せまい部屋にはいると、すぐに抱えられてベッドへころがされた。
焦った手つきでブラウスのボタンを外される。肌にふれる指先がつめたくて身震いした。
「寒いか?」
「なんでもないです」
早口につぶやくと、ノアさんは何かいいたげな顔をする。でも追求せずそのままブラウスを脱がされた。
裸の胸がこぼれる。手が冷たいからやっぱり鳥肌がたつ。
「……ぅ」
「ナナ」
顎を持ち上げられてキスをした。冷たいてのひらが乳房を揉む。
舌だけがあたたかい。強引に上顎を舐められるのが、今日はなんだか不快な気分にさせる。
胸の飾りをつままれて指先でくりくりところがされる。そこからじんとした痺れが広がってこわくなった。
「ん、んんっ……」
「急に私から離れないでくれ」
「だって……あ……!」
両手が胸の飾りを摘む。身体が彼の手をおぼえてしまっていた。冷たい人だと分かったのに、そうされると奥からじわりと蜜がにじんでくる。
ノアさんの青い瞳がすがるように見つめてくる。
卑怯者のくせに、よくそんな悲しい顔ができるものだ。
「……ひ、ひどいです……ノアさんは……」
「なぜ?」
「カーリンも、他の恋人もいるのに……」
「でも好きなのはナナだよ」
支離滅裂だ。なぜその理屈が通ると思うのだろう。今までそれを通していた私も私だ。
ようやく目が醒めてきた。同時に……ずいぶん深い所まできていたことにも気がついた。
彼の手が太ももを撫でる。今までどおり、そのあわいに掌が忍び込んでいく。
「あ、ぁあ……うぅ……」
花弁の入り口を指が開いた。もう濡れてぐちゅりと音がする。ノアさんはにやりと笑う。
浅いところを円を描くように広げられて、目尻に涙がたまっていく。
「や、や……ぁあ、あ……っ……」
「今日は機嫌が悪いと思ったけど」
「なに? ……ん、んぅ……」
「こっちはいつも通りだな」
中には入らず、入り口ばかりをぐちぐちと擦られる。もどかしい刺激に愛液がにじんで、入口からだらだらと垂れシーツにシミが広がっていく。
ノアさんの手つきにいつもの余裕がもどってくる……。
「あ、ぁあぁ……ノアさ……ノアさんっ……」
「電話に出てくれ」
「で、でも……カーリンが、カーリンのこと世界で一番って……」
「サーカスの帰りのことか? それを気にして拗ねてたのか?」
そんな簡単な話じゃない。でも形勢はどんどんノアさんのほうへかたむいていく。
「ぁ、あーーっ……!」
入り口をぬるぬるといじめていた指が、ふいに中へと突き入れられた。
ぐちと音を立てて一気に奥まで入ってきた。その衝撃に高まった性感がはじけて、指のすきまからぴゅと潮が飛び出る。
ノアさんは目を細めてそのまま指を抜き差した。そのたびぽたぽたと潮が垂れて腰が痙攣した。
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