n.(R18・完結)

ちゃあき

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 手を引かれるまま、うらびれた宿屋へ入った。

 ノアさんが宿帳に書いたのは知らない名前だ。筆跡が思いのほか乱雑でげんなりした。

 雨に濡れた服がはりついてきもちわるい。
 せまい部屋にはいると、すぐに抱えられてベッドへころがされた。

 焦った手つきでブラウスのボタンを外される。肌にふれる指先がつめたくて身震いした。

「寒いか?」
「なんでもないです」

 早口につぶやくと、ノアさんは何かいいたげな顔をする。でも追求せずそのままブラウスを脱がされた。

 裸の胸がこぼれる。手が冷たいからやっぱり鳥肌がたつ。

「……ぅ」
「ナナ」

 顎を持ち上げられてキスをした。冷たいてのひらが乳房を揉む。
 舌だけがあたたかい。強引に上顎を舐められるのが、今日はなんだか不快な気分にさせる。

 胸の飾りをつままれて指先でくりくりところがされる。そこからじんとした痺れが広がってこわくなった。

「ん、んんっ……」
「急に私から離れないでくれ」
「だって……あ……!」

 両手が胸の飾りを摘む。身体が彼の手をおぼえてしまっていた。冷たい人だと分かったのに、そうされると奥からじわりと蜜がにじんでくる。

 ノアさんの青い瞳がすがるように見つめてくる。
 卑怯者のくせに、よくそんな悲しい顔ができるものだ。

「……ひ、ひどいです……ノアさんは……」
「なぜ?」
「カーリンも、他の恋人もいるのに……」
「でも好きなのはナナだよ」

 支離滅裂だ。なぜその理屈が通ると思うのだろう。今までそれを通していた私も私だ。
 ようやく目が醒めてきた。同時に……ずいぶん深い所まできていたことにも気がついた。

 彼の手が太ももを撫でる。今までどおり、そのあわいに掌が忍び込んでいく。

「あ、ぁあ……うぅ……」

 花弁の入り口を指が開いた。もう濡れてぐちゅりと音がする。ノアさんはにやりと笑う。
 浅いところを円を描くように広げられて、目尻に涙がたまっていく。

「や、や……ぁあ、あ……っ……」
「今日は機嫌が悪いと思ったけど」
「なに? ……ん、んぅ……」
「こっちはいつも通りだな」

 中には入らず、入り口ばかりをぐちぐちと擦られる。もどかしい刺激に愛液がにじんで、入口からだらだらと垂れシーツにシミが広がっていく。
 ノアさんの手つきにいつもの余裕がもどってくる……。

「あ、ぁあぁ……ノアさ……ノアさんっ……」
「電話に出てくれ」
「で、でも……カーリンが、カーリンのこと世界で一番って……」
「サーカスの帰りのことか? それを気にして拗ねてたのか?」

 そんな簡単な話じゃない。でも形勢はどんどんノアさんのほうへかたむいていく。

「ぁ、あーーっ……!」

 入り口をぬるぬるといじめていた指が、ふいに中へと突き入れられた。
 ぐちと音を立てて一気に奥まで入ってきた。その衝撃に高まった性感がはじけて、指のすきまからぴゅと潮が飛び出る。

 ノアさんは目を細めてそのまま指を抜き差した。そのたびぽたぽたと潮が垂れて腰が痙攣した。
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