豆柴彼女。

ちゃあき

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5話 あいつ

3.縁

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□□□


「ヒャン!」
「え~~可愛い。なに? 俺のこと好き?」
「あずきから離れろ悪魔」

 ピーは巣に篭ってたけど、あずきは起きててくれた。

 友達を連れて帰るから犬でいてねと電話しておいたのだ。

「京、チャーハンかなんか食べたい」
「たしかに……作ろうかなあ」

 卵も冷凍ご飯も冷蔵庫にある。
 一年の頃よくきてた燐は、この家のことを大体把握してる。いそいそと冷蔵庫にむかった。

 料理なんて微塵もできないあつしくんはソファに寝そべってあずきと遊びはじめた。

「この厚揚げ焼いてもいい? お金払うから」
「そんなん好きにしていーよ」

 好物を発見した燐はご機嫌でグリルにそれを突っ込み、リビングに帰っていく。

 ……そういえば、つまみに厚揚げを買うようになったのは燐の好物だったからだ。

 去年まではそれだけずっと一緒にいた。今その位置にいるのはあつしだけど。

 なぜ縁は解けたんだろう……?

 不思議な気分になってリビングを見た。
 パープルのちらつく黒髪とブルーの揺れる金髪がお互いをののしりながら犬を取り合っていた。





「俺がちゅーしたからあずきは俺の~~」
「馬鹿いえ俺がこの前先にした」
「……それ以上俺の犬に触るな」

 あずきをとりあげて、チャーハンの皿を置いた。
 燐に取り皿と厚揚げを持ってくるように言うと席を立った。

「あいつお前の家にくわしすぎん?」
「まぁ、去年はいつも来てたしね」

 あつしはふぅんと鼻を鳴らした。




 あまったレタスをあずきにあげた。
 食べるのがヘタで、レタスを追って部屋を移動してる。

「犬も可愛いけど、あつしくんをエサにしたらどんな爆乳でも連れて帰れたのになぁ」
「……怖っ」

 なにが怖いの? という燐にあつしは黙った。
 燐の天国はあつしの地獄だ。

「でもほんとはあの子がよかったのに……」
「アイドルちゃん?」

 そうと答えて燐はまたヘラりはじめた。

 チューハイの缶をテーブルに戻すと脱力して僕の膝に頭を置いた。

 好きだったんだねというとうんと言う。

 燐は派手にやり散らかす割にたまに繊細な傷付きかたをする。

 そうやって周りを振り回す分、女の子に振り回されてるのだと思えば自業自得だ。

 でも僕はそんなところも含めて、彼のことが嫌いじゃない。




 燐は高校の頃からこうだった。

 高一ではじめて同じクラスになった時、彼はすでに噂のお騒がせやろうだった。

 今みたいに冗談も言わないし、口悪いし最悪手も出るし僕も正直燐にビビってた。
 真面目高校だったからむしろなんで燐がいるの?という空気だった。

 しかし、きっかけは忘れたけどある時彼とインコの話をしたのだ。

 誰も真には受けないインコに恋してる話を、燐はふんふん頷いて聞いた。

 そして俺もどうしても女好きだから気持ちわかると言った。

 今思えばお互いに自分の話しかしてない。

 でもそれがきっかけで高校時代は燐とチャリでジュブナイルしてた。


 ……——解けた縁もなかなか切れないのは燐にはそういう所があるからだ。

 彼にはある種の居心地の良さがある。そこが好きな所だ。
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