豆柴彼女。

ちゃあき

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5話 あいつ

2.失恋

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□□□


「あつし飲んでなくないウォウウォウ」
「うるせぇだまれ」


 酔っ払いの燐はあつしにグーパンされた。
 かまわれて嬉しそうだ。

 居酒屋で飲みついでに飯を食うことにしたのだ。

 黒髪にパープルの差し色が入ったあつしと、白金に珍しい水色のイヤリングカラーをぶら下げた燐は鮮やかに酔拳を繰り広げてる。

 個室でよかった。

「ところで燐ちゃんなんかあった?」
「……うん。俺ね、フラれた」
「お前いつもじゃねぇの?」

 燐は女の子が大好きだ。
 よく城と兵士に例えられるけど、城とみたらあとさき考えずに攻め込んでいく蛮勇だ。

 城に攻められてるあつしとは真逆である。

 ……僕が知るかぎり高校のころからそうだった。
 よくフったフられた切った貼ったをしてたけど本人が気に病むことは少ない。

 よっぽど好きな子にフられたのかも知れない。
 その証拠に燐は急にしゅんとした。

「学校の子?」
「いやそれがアイドルなんだけど」
「地下?」
「それが違くて……」

 燐はボソリと女の子の名前を言った。
 聞き覚えがある。あつしもそうみたいでしばし固まった。

 燐は友達経由で繋がったその子に恋してたらしい。
 本人は彼氏のつもりだったけど、彼女にとってはそういう友達の1人にすぎなかったみたいだ。

「いっそ暴露は?」
「あの感じだとそのうち自滅すると思う」

 彼女のイメージは清楚なのに実相は分からないものだ。

 燐はマヂむり、リスカしょと言って頭をかいた。


□□□


「えっ!? あずきって犬なの!?」

 僕の家に向かう車中であずき(犬)の写真を見せると燐は驚愕した。

 女の子を探しに行こうという彼を、あずきがいるからと言いくるめて電車に乗せたのだ。

「あれ? でもこの子って………」
「見せた事あったっけ?」

 燐はいや……と口籠もったがやっぱりなんでもなかったと言う。

 あずきを飼いはじめてから燐には会ってない。

 でもなんだか妙な顔をしてた。
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