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6話 地鏡の女神さま
4.イケメン、女神を凌駕する
しおりを挟む「こっちです。右手の方、これが探してた子です」
バレッタのあずきの手をはなし、枝が刺さったあずきを指さした。
木陰の女の人はわかったわとうなずいた。
「……ひどいです」
「え?」
「どうしてわたしじゃだめなんですかっ。そいつばっかりずるいですっ! もともとそいつが……」
女の人が近寄ってそっとバレッタのあずきの肩を抱いた。
「間違えなかったからかえらせてあげるわ」
右利きのあずきは不服そうだがもうなにもいわない。
目があうとなんだか傷ついた顔をしてるようだ。
理由はわからないがすこし胸が痛むような…………。
…………——「だれ?あんた」
「「えっ?」」
ハッと気がつくとまたあの夏日の路上にいた。
水たまりに外人の女の人がいる。むかいに立った熱士くんが彼女にガンをつけていた。
「えっ……あの……」
「名前は?」
「る、ルミラージュ」
「なにしてる人なの?」
「女神です……この地鏡の」
沙○さんはただの外人さんではなく女神さまらしい。
熱士くんにジロジロ見られて赤面しはじめた。
「美人ですね」
「……え!?」
「背も高いし、オシャレだし。これオートクチュール? 見たことないようなレースの生地使ってるけど」
「そ、そうです。素敵だったから自分で選んで……」
「そうなの? センスいいですね」
「あ、ありがとう」
熱士くんはみたことないくらいぐいぐい女神さまにLI○EIDを聞いてた。
女神さまはスマホをもってないらしい。
必要だから契約するようにといわれ、素直にうなずいてた。
押し売りとか大丈夫かなこの人……。
「じゃあ契約したら連絡ください」
「は、はい」
熱士くんはショップカードの裏にIDをかいた。
女神さまは受け取ってそろそろと水たまりの中に引っこんでしまう。
すべて消え、あとにはもうかわいて焼けた路面がのこるだけだった。
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