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6話 地鏡の女神さま
5.RougeとNoir
しおりを挟む「熱士くん女神さまタイプだったの?」
「は? いや、あずきと一緒。あの人みたいなモデルが好きそうな人しってるから」
「怖くないの?」
「あの人みたいなのは話してて楽しそうだろ。センスいいから参考になるよ」
あくまで同じ趣味の友達としてしかみてないらしい。
しかしむこうは……?
「じゃあ僕もなんか参考になる?」
「…………お前のイヌはかわちいけど」
「クッソ」
その夜、三人で居酒屋でご飯を食べながら思い出していた。
チューリップのバレッタのあずきのことだ。
小枝を抜いたあずきは左手で箸をもって、冷奴のはしっこをおいかけてる。
「気がついたらまわりがぜんぶお花だったので走りまわってましたっ。そしたら京さんの声がしたからいそいできましたっ」
不思議な体験をきいた熱士くんはふぅんといった。
受容能力たかすぎない? しかし、疑うでもなく地鏡の中のできごとに耳をかたむけている。
チューリップのバレッタのあずきは、本当によくあずきに似てた。
犬もほとんどは右利きだという。
チューリップのあずきは言ってた。"もともとそいつが……"と。
僕の家のあずきのほうがかつては鏡のむこうのあずきだったのかもしれない。
それがいつのまにか反対になり、この子ばかりこちらで遊んでいるのが気に入らなかったんだろうか?
あの子は鏡のむこうでいつもなにをしてるんだろう。
あずきのふりをしてついてきたかったんだろうか。それともどこかへ連れていこうとしたのか……。
「気にしてるのか?」
「えっ?」
「もう一人ってやつ。ルミラージュが連絡くれたら聞いてみてやるよ」
「……熱士くんほんと頼りになるときはなるよね」
ならないときってなに? と聞かれたから巨乳と料理と答えた。否定されなかった。
「もう一人にもまた会ったら、黒豆って呼ぼうぜ」
腹黒そうじゃんと熱士はいう。
彼の名づけのセンスはややアレだ。
黒豆にまた会えたら、チューリップのバレッタはつかってほしいと伝えたい。
fin.
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