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なんちゃってコント【メランコレンジャーの憂鬱】
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正義のヒーロー・メランコレンジャーの中堅グリーンと新人ブルーの二人は車に乗って、怪人を倒しに向かっている。グリーンが運転しブルーは助手席に座っている。
グリーン「ブルーは研修終わって今日が初出動だよな。もしかして緊張してる? ソワソワしてるように見えるけど……」
ブルー「いえあの、ちょっと聞いてもいいですか?」
グリーン「何だ? 俺に答えられることなら何でも聞いてくれ」
ブルー「保険証ってどれくらいで出来るんですかね?」
グリーン「保険証か……どうだったかなぁ、一カ月も待たなかった気がするけど、何しろ俺が就職したのって七年前だからな……。総務に聞いてみたら?」
ブルー「でも総務課って人が複数いるから、誰に聞けばいいのか分からないし……」
グリーン「保険証のことで質問が有るんですがって誰でもいいから聞けばいいだろ」
ブルー「でも、この忙しい時にとか思われたら嫌だし……」
グリーン「総務はそれが仕事だからいいんだって」
ブルー「でも、そもそも僕新人だから、こいつ誰だよとか思われたり……本部に戻ったら一緒に聞きに行ってくれませんか?」
グリーン「あのなぁ、俺たちこれから怪人と戦うんだぞ。そんなメンタルでやっていけると思ってんの? ただでさえ今日はレッドが忌引き、イエローも悪人怪人取扱者の免許更新講習で人手が足りないんだから」
ブルー「怪人は全く怖くないんです。物理的にただやっつければいいんだから。怖いのは人間です。この仕事選んだのは、とにかく怪人をぶっ殺したかったからなんです」
グリーン「新人が超怖い……。つーか何で保険証のこと気にしてんの? すぐ病院に行く予定があるとか?」
ブルー「はい、僕ちょっとドライアイで、目薬がそろそろ切れそうなんです。ドラッグストアには売ってない目薬だから眼科に行かなきゃいけないんです」
グリーン「ならとりあえず全額払って、保険証ができたら払い戻して貰えばいいだろ」
ブルー「受付の人になんて言えばいいんですかね?」
グリーン「ありのままを話せばいいだけじゃないか」
ブルー「なんでこいつ保険証持ってないの? とか思われたらもう行きづらいです」
グリーン「別に珍しいことでもないだろ。受付の人もそんなこと考える程ヒマじゃ無いだろうし」
ブルー「そうでしょうか……」
グリーン「堂々と受診すればいいんだよ」
ブルー「あっ……」
グリーン「今度は何だ?」
ブルー「保険証って、勤め先が書いてますよね? 僕がメランコレンジャーだってバレるんじゃないですか? それは困ります。家にファンが押しかけて来たり……」
グリーン「お前、ネガティブなんだかポジティブなんだか分からんな。個人情報なんだからそんな心配はいらんだろ」
ブルー「そうだといいんですが……。それと、さっきから気になってるんですが……」
グリーン「何だ?」
ブルー「怪人との待ち合わせって、駅前広場に八時ですよね? なんか遠回りしてません? 本部出るのも早かったし……」
グリーン「あぁ、そのことか……すまんな、言ってなくて。俺んちに寄るんだよ」
ブルー「え? 忘れ物ですか?」
グリーン「ドアにちゃんと鍵かけたか確認すんの。俺の出動時のルーティンだから覚えといてね。上司にも許可取ってるから」
ブルー「お互い大変ですね……」
✴︎
グリーン「お待たせ」
ブルー「鍵、大丈夫でしたか?」
グリーン「おう。お陰様でな」
ブルー「鍵の確認だけにしては時間かかりましたね」
グリーン「お前の不安が移ったのかガスの元栓まで気になり出して、家の中まで入ってたんだよ」
ブルー「何かすみません……」
✴︎
グリーン「駅前に着いたぞ。待ち合わせ10分前か。お、今回の怪人は来るの早いな」
ブルー「野次馬の写真撮影に応じてるみたいですね。骨と皮ばっかりで弱そうです。僕一人でも充分駆逐出来そうな気がします」
グリーン「お前さ、一応言っとくけど怪人は物理攻撃しか仕掛けてこない訳じゃないから気をつけろよ。紅一点だったピンクな、あいつ今休職中だろ。攻撃中の力んで歪んだ顔を怪人に激写されてネットで拡散されて精神病んじまったんだよ」
ブルー「僕もその写真見ました。というか彼女、何でマスク外してたんですか?」
グリーン「その日の集合場所は人気のない雑木林だったし、暑くてマスクが蒸れたから外したそうだ」
ブルー「少しの気の緩みが命取りになるんですね」
グリーン「そう言うことだ。油断するなよ、行くぞ」
ブルー「はい!」
✴︎
ブルー「口ほどにも無かったですね」
グリーン「お前スゲェな……別人格が出現したのかと思ったよ。思わず己の存在意義について思いを馳せちまった。お前が怪人に馬乗りになってこっち見て、『保険証‼︎』って絶叫した時には脅迫されてる気分になったよ。何かゴメンな……そこまで保険証のことを思い詰めてるとは思わなかったから……」
ブルー「じゃあ、総務課に付いて来てくれるんですか⁈」
グリーン「あぁ。……その代わりと言っちゃ何だが、帰りにまた俺んち寄っていい? 」
ブルー「え? どうしてですか?」
グリーン「さっきガスの元栓確認して、その後鍵かけたか心配になってきたんだ」
ブルー「お安い御用です」
グリーン「お前とは、上手くやっていける気がするよ」
ブルー「僕もです。……僕たちの本当の敵は、怪人でもなく他人でもなく、自らの内にいるのかも知れませんね……」
グリーン「ブルーは研修終わって今日が初出動だよな。もしかして緊張してる? ソワソワしてるように見えるけど……」
ブルー「いえあの、ちょっと聞いてもいいですか?」
グリーン「何だ? 俺に答えられることなら何でも聞いてくれ」
ブルー「保険証ってどれくらいで出来るんですかね?」
グリーン「保険証か……どうだったかなぁ、一カ月も待たなかった気がするけど、何しろ俺が就職したのって七年前だからな……。総務に聞いてみたら?」
ブルー「でも総務課って人が複数いるから、誰に聞けばいいのか分からないし……」
グリーン「保険証のことで質問が有るんですがって誰でもいいから聞けばいいだろ」
ブルー「でも、この忙しい時にとか思われたら嫌だし……」
グリーン「総務はそれが仕事だからいいんだって」
ブルー「でも、そもそも僕新人だから、こいつ誰だよとか思われたり……本部に戻ったら一緒に聞きに行ってくれませんか?」
グリーン「あのなぁ、俺たちこれから怪人と戦うんだぞ。そんなメンタルでやっていけると思ってんの? ただでさえ今日はレッドが忌引き、イエローも悪人怪人取扱者の免許更新講習で人手が足りないんだから」
ブルー「怪人は全く怖くないんです。物理的にただやっつければいいんだから。怖いのは人間です。この仕事選んだのは、とにかく怪人をぶっ殺したかったからなんです」
グリーン「新人が超怖い……。つーか何で保険証のこと気にしてんの? すぐ病院に行く予定があるとか?」
ブルー「はい、僕ちょっとドライアイで、目薬がそろそろ切れそうなんです。ドラッグストアには売ってない目薬だから眼科に行かなきゃいけないんです」
グリーン「ならとりあえず全額払って、保険証ができたら払い戻して貰えばいいだろ」
ブルー「受付の人になんて言えばいいんですかね?」
グリーン「ありのままを話せばいいだけじゃないか」
ブルー「なんでこいつ保険証持ってないの? とか思われたらもう行きづらいです」
グリーン「別に珍しいことでもないだろ。受付の人もそんなこと考える程ヒマじゃ無いだろうし」
ブルー「そうでしょうか……」
グリーン「堂々と受診すればいいんだよ」
ブルー「あっ……」
グリーン「今度は何だ?」
ブルー「保険証って、勤め先が書いてますよね? 僕がメランコレンジャーだってバレるんじゃないですか? それは困ります。家にファンが押しかけて来たり……」
グリーン「お前、ネガティブなんだかポジティブなんだか分からんな。個人情報なんだからそんな心配はいらんだろ」
ブルー「そうだといいんですが……。それと、さっきから気になってるんですが……」
グリーン「何だ?」
ブルー「怪人との待ち合わせって、駅前広場に八時ですよね? なんか遠回りしてません? 本部出るのも早かったし……」
グリーン「あぁ、そのことか……すまんな、言ってなくて。俺んちに寄るんだよ」
ブルー「え? 忘れ物ですか?」
グリーン「ドアにちゃんと鍵かけたか確認すんの。俺の出動時のルーティンだから覚えといてね。上司にも許可取ってるから」
ブルー「お互い大変ですね……」
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グリーン「お待たせ」
ブルー「鍵、大丈夫でしたか?」
グリーン「おう。お陰様でな」
ブルー「鍵の確認だけにしては時間かかりましたね」
グリーン「お前の不安が移ったのかガスの元栓まで気になり出して、家の中まで入ってたんだよ」
ブルー「何かすみません……」
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グリーン「駅前に着いたぞ。待ち合わせ10分前か。お、今回の怪人は来るの早いな」
ブルー「野次馬の写真撮影に応じてるみたいですね。骨と皮ばっかりで弱そうです。僕一人でも充分駆逐出来そうな気がします」
グリーン「お前さ、一応言っとくけど怪人は物理攻撃しか仕掛けてこない訳じゃないから気をつけろよ。紅一点だったピンクな、あいつ今休職中だろ。攻撃中の力んで歪んだ顔を怪人に激写されてネットで拡散されて精神病んじまったんだよ」
ブルー「僕もその写真見ました。というか彼女、何でマスク外してたんですか?」
グリーン「その日の集合場所は人気のない雑木林だったし、暑くてマスクが蒸れたから外したそうだ」
ブルー「少しの気の緩みが命取りになるんですね」
グリーン「そう言うことだ。油断するなよ、行くぞ」
ブルー「はい!」
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ブルー「口ほどにも無かったですね」
グリーン「お前スゲェな……別人格が出現したのかと思ったよ。思わず己の存在意義について思いを馳せちまった。お前が怪人に馬乗りになってこっち見て、『保険証‼︎』って絶叫した時には脅迫されてる気分になったよ。何かゴメンな……そこまで保険証のことを思い詰めてるとは思わなかったから……」
ブルー「じゃあ、総務課に付いて来てくれるんですか⁈」
グリーン「あぁ。……その代わりと言っちゃ何だが、帰りにまた俺んち寄っていい? 」
ブルー「え? どうしてですか?」
グリーン「さっきガスの元栓確認して、その後鍵かけたか心配になってきたんだ」
ブルー「お安い御用です」
グリーン「お前とは、上手くやっていける気がするよ」
ブルー「僕もです。……僕たちの本当の敵は、怪人でもなく他人でもなく、自らの内にいるのかも知れませんね……」
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