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2 いつもの朝
しおりを挟む朝6時。目が覚める。
いつも通り、憂鬱な気分で登校の準備をする。
学校に行くの、嫌だな。
どうせ僕なんか休んでも何の影響もないし…。
そんな事を思いながらも、登校の時間は刻一刻と迫ってくる。
家を出て行きざまに、ちょうど起きてきた妹にはちあわせた。
「お兄ちゃん、もう学校?行ってらっしゃい」
「……いって、きます……」
妹、咲妃は5年生だ。
僕より年下でありながらも、僕よりしっかりしている。皆からの信頼も厚く、生徒会のような存在である児童会に入っているらしい。
思ったことははっきりいうが、人の心を気遣うことが出来る、優しい子だ。
差別なんかもしないから、こんなだめだめな兄にもちゃんと接してくれる。
こんな兄でごめんね。
家から出ると、僕の家の塀に寄りかかっている長身の男子が目に入る。
幼なじみであり生徒会長の、西園寺悠だ。
「さく、おはよう」
「おはよう、悠」
「うん。さくは今日も早いね。一緒行こう」
「……うん」
ワンテンポ置いて返事をする僕に、イラつかずにちゃんと会話してくれる悠は、本当に優しいと思う。
なんで学校ではあんなに冷たい人間として過ごしているのか、疑問だな。
僕の名前は花園朔太。
『さく』というのは、悠が僕につけたあだ名。
小さい頃はお互いに『ゆうちゃん』『さくちゃん』と呼んでいたが、小学校では『悠』、中学に上がってからは『西園寺』と苗字呼びに変わっていった。
というのも、小学校の頃から悠の人気は絶大で、一時期はみんな悠のことを名前呼びしていたが、悠は「馴れ馴れしく名前で呼ぶな、不快」と怒ってしまってから、僕含め苗字呼びに変わった。
だけど、僕だけは何故か、名前呼びを許してくれたんだ。
それで周りの反感を買ってしまって、ちょっといじめられたりもしてたっけ。
そんな僕を知ってか知らずか、悠は僕と仲良くするからいじめは酷くなっていって。
僕は悠と絡むのも嫌になり、また『西園寺』呼びに戻ってしまった。
西園寺、と、呼んだ時の、彼の顔。
酷く悲しそうな、でもどこか怒ってもいた表情を一瞬見せたあと、すぐに目に涙を溜めて
「俺のこと、嫌いになったの?」
とか言い出して。
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