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16 ノエルさんの部下
しおりを挟む門をくぐり、城の中へ1歩踏み入れる俺たち。…あ、ノエルさんの足な?
お昼すぎだからか、天井に電灯はついているけれども電気はついていない。
石畳と石の壁に包まれた、薄暗い廊下を俺たちは歩いていく。
時たま通り過ぎる人達は俺を訝しげに見て、ノエルさんに頭を下げていく。そうだよねどう見ても俺不審者だよね…。
「あの、ノエルさん。自分で歩けますから下ろしてください」
俺のその言葉をどう受けとったのか知らないが、にっこり笑ったノエルさん。
「この城は廊下が入り組んでいてな。下手に歩くと迷子になるからこのまま行こう」
…いや別に下ろされたからといって、ひゃっほーい!ってどこそこ走り回るとかしないんですけど。むしろ怖いからノエルさんの傍は離れないんですけど。
俺の不満が顔に出ていたのかノエルさんは軽く笑い、「もう少しで到着するから」と宥めるように言った。
しばらく歩くと、どこからか騒ぎ声が聞こえてきた。
どこかの部屋から漏れ出ている声らしい。
突然、バンッ!と右側の扉が開け放たれた。突然のことに俺の体は竦むしノエルさんも俺を抱える腕に力を込める。
扉から飛び出してきたのは、紺色の服を着た短髪茶髪のお兄さんだった。
「だから、もう待ってられねーっすよ!ただでさえ上から早くしろって言われてんのに副団長の行方もわからねーし!オレ、探しに行くっす!」
と扉の中に叫び顔を前に向けて……目の前にいたノエルさんと抱えられた俺と目が合った。
そのまま目をぱちくり…して、
「あっっっっ帰ってきたっっっっっ」
と思わずと言ったふうに声を上げた。
この人声でかい…超廊下に響いてる……。
「…カイ、声が大きいぞ」
「あ、さーせん。ていうか副団長、今までどこいたんですか!?呼び出し受けてるのにずーっと副団長いなくて、責められたのオレたちなんすから!」
「すまない。特別な用事だったものでな」
「上からの用事以上に優先すべき特別な用事とかどこに……て、あれ?その腕の中の子…」
ノエルさんとの言い合いの中でようやく俺の存在をしっかり認識した、カイ(?)さん。
俺と目が合ったと思った瞬間、瞳孔が徐々に大きくなっていく。
「ふ、ふふふふ副団長……まさかその子、あの時の……!?!?エェッ!?誘拐してきちゃったんですか、ついに!」
口に手を当てて、悲劇のヒロインのような顔をするカイさんに俺は困惑しっぱなし。
『あの時』?『ついに』?何の話だろう。今日以外にノエルさんと会ったことってあったっけ?
困惑をそのままにノエルさんを見上げると、俺の視線に気づいてこっちを向いて、ちょっと苦笑する。
「イオリ、こいつの言うことはあんまり真に受けちゃだめだよ。聞かない聞かない」
「ヒドッッ!!ていうかなんなんすかそのキャラ変!副団長そんな言い方も出来たんすね」
「貴様は余計なことしか言えないのか。俺たちは今から大臣の元に顔を出してくるから、要件があるならその後にしろ。いいな」
「エッちょっと待ってくださいよー!」
カイさんの叫び声に背を向け、また俺たちは前へと進み出す。
カイさんの言葉の節々に気になる要素があったけれど、ノエルさんは真に受けちゃだめだっていうし。でも気になるしいつか聞いちゃおうか…などと思っていると、ノエルさんがこちらを向く。
「騒がしくしてごめんね。あいつは俺直属の部下なんだ。あいつの発言全部気にしないでねお願いだから」
「はぁ…」
「…あんまり納得いってなさそうだね…。ほら、そこの大きな扉見えるでしょ?あそこの中にいる大臣と今から話すんだ」
目線を前に向けると、今までの扉たちとは違う、両開きで模様入りの木の扉。
威厳がひしひしと伝わってきて俺の胃が痛いよ。
「大丈夫。事前に連絡はしてあるし、イオリに害を与えないことを誓うよ」
にっこり完璧スマイルでそう言うノエルさん。
いや、害を与える与えないの問題じゃないんだってば。そもそもなんで大臣に会わなきゃいけないのか分かってすらないのに、会うのは緊張するよ……。
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