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痛かったら抜いてやる?※

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勇気を振り絞って涙で滲んだ目を向けるも、目の前の男性は私に腰をつけたまま微動だにしない。
ううん、これを男といっていいものか。
雄と形容した方がしっくりくる。

彼の容貌は人とも似ているが、狼や犬といったものに近い。
人間の他に、獣人や亜人と呼ばれている人種。

見上げるような身体は濃い灰色の被毛で覆われているし、目は鋭い金色に光っている。
ゴワゴワした毛の割に柔らかなその先が私の内腿を撫でていた。

「ず、ずるい……だって、五回だけ動、いて…痛かったら、止めてくれるって」

彼はある提案をし、苦痛から逃れるために私はそれを呑んだ。
だって私には選べるだけの選択がなかったから。
通常でも身長が三メートル前後もある、獣人の力や性器の大きさはゆうに人間を超える。

無理やり挿れられた瞬間、壊れてしまうかと思う苦痛に、私は大声で悲鳴をあげた。
今も入り口を割る異物感に、息を殺してやり過ごしている。

「まだ二回しか入れちゃいない。暴れるのはルール違反じゃないか?」

彼は余裕ありげに口の端をあげ、まるで人間みたいな表情をした。

「は……やく、してよ。こんな……」

声が震えた。

内にずっぽりと入り込んだ獣人のペニスが私の内部でドクドク拍動している。
着ていたシャツははだけ、ショーツは乱暴に破られてしまった。

私は彼らの土地で、今まさに凌辱されている最中だった。

「久々の雌だからなあ。  じっくり味わわないともったいねえだろ。  言っとくが、五回ってのは前後運動な」

「前後運動……」

伸ばした舌でベロリと口の周りを舐め、私の両腿が動かないよう手で広げて固定する。

「そら……分かるか? どんどん濡れてきた。そろそろナカの様子も変わってくる頃だ」

私の鼓動が大きく鳴った。
挿入されたまま動かないペニスは、明らかに私の膣内部から痛みを遠ざけつつあった。

代わりに、その奥からせりあがってくる何か。
脈を打つ剛直。
自分の胸の音。
奥の方がすぼまっていくのが分かる。
体の反応となって膣内壁がおののく。

「んう」

間もなくぐぐう、と内部のモノがさらに膨張し、私が視線を下げると、彼の性器を収めて膨れている下腹まで見えた。

「うああっ、いや…!」

怖さに首を横に振った私は身をよじりかけ、獣人は私の足首を掴んで大きく開いた。

「あっ!!」

「いやじゃねえな? 充血したまんこの入り口がヒクヒクしてるのが丸見えだ……綺麗なもんだな。くっついてるとこ、見たいか」

聞き慣れない下品な単語や会話の羅列。  
返事の代わりに顔を熱くした私は慌てて彼から目を逸らす。

「琴乃、お前は今まで合う雄はなかなかいなかったんだろ。 お前の飼い犬から話は聞いてる」

「か、飼い犬……って? シンのこと? ていうか、いい加減に、離してよ」

こんな恥ずかしい体勢をさせられて、仕返しをする方法なんて、彼のぶ厚い被毛を引っ掻くぐらいしか思いつかない。
けれどそんなことをしても、彼は表情さえ変えなかった。

獣人。

普通はまともに話が通じなく、野蛮な存在だと聞いている。

その割には……こんな行動の割には、彼はやけに冷静そうだ。
視姦を続ける彼は、卑猥な様子を絵でも眺めるみたいに、楽しんでいるようにさえ見える。

「ひゃっ」

指を伸ばした彼が、結合部の周りの恥肉を押す。
二本指全体を沿わせてむにむにとマッサージをする。
ギュッと寄せられると彼のモノが入り口の肌に当たって密着した。
ざわっ、と肌が粟立った。

「フゥン…こうするとクリトリスが飛び出るんだな。 なあ、お前のコレって小さくないか?」

「し、知らないっ!」

見ないで触んないで!

睨み付ける私の視線を受け、獣人がようやくその部分から目線をずらした。

「ま、後からでもいいっか……っと。 先っぽ入れただけで大袈裟に喚かれたからな。  一応、血でも出てるのかと見ただけだ。そういや、人間のチンポって形が独特だよな。カリで擦られるといいって聞くが、お前は?」

「こんなデカ女に豊富な経験なんてないよ」

そんなことよりも、私は浅く早くなっていく呼吸を抑え、自分の家にいる中型犬を頭に思い浮かべた。

「ほかの女より拳一つか二つでかいぐらいでなあ。人間の男ってな、細かいこと気にすんのな」

自分の心の内を読まれたようで、私は顔を横に向けたままだった。

「偉そうに……貴方には関係ないし。それにシンは貴方の飼い犬なんかじゃない。私の家族なんだから」

すると意外にも、頭上の獣人がふっと笑った気配がした。

「本当の飼い主は俺らってことだ。あれは俺たちに合う雌を選別するために人間の元に住む」

「な、なに…を…あ」

私の足から手を外し、身を屈めた獣人が私の下着の隙間に指を入れ、ブラを上にずり上げる。

「馬鹿にしてる訳じゃないし、俺も奴のことは嫌いじゃねえ。 少なくとも見る目はあるらしい」

静かな声。
彼が私に理解出来ない話をする。
私の胸など片手で両方覆いそうな大きな手。
………そして、彼はそうする。

「だからお前が選ばれた。 さてと、続きだ」

毛深い親指と薬指で寄せた両胸の頂を、長く濡れた舌でねぶり回す。

「あ、いやあぁぁっ」

乱暴に私を組み敷いたくせに。
今は………今彼は、私を抱いている。

柔らかく圧する感覚が、弾かれる感触へと変化する。
勝手に硬さを持った芯を捏ねクリクリ乳首を転がす。
両脇に寄せた胸を器用に揉みしだく。

「れろれろ、れろれろ…ハア…たまんねえ。 俺の女だ」

「やめ…」

俺の女、そう聞こえた。
この獣は私に欲情しているだけじゃない………?

じゅるっ、じゅるる…ちゅぽっ! じゅる、

イヤらしい音が耳を焼く。
感度の上がった乳房も乳首も一緒くたに潰され、粘膜がはい回る。
甘い痺れが体に染み渡り、それは窮屈な腟奥をキュンと切なくさせた。

「あ…ぁっ」

悩ましい喘ぎは小さなものだった。
にもかかわらず、腟内部の彼がコツッと反応を返す。
肌に熱い息遣いを感じ、性感帯を一気に責められると私の背中が勝手に浮いた。

「……胸も弱いのか」

勃ち上がった粒を思いがけず彼の前に差し出す。
そんな私に、獣人が目を細めて見詰めてくる。
燃えるような瞳。
牙の隙間から垂れ落ちそうな唾液に身がすくむ。
無駄とは分かっていても再び身をよじろうと体を捻る。

「ち、違っ、もう…もう止めて……こんなこと…同じ獣人と……すればいいでしょう!?」

なのに彼は離さない。
分厚い舌から、猛る楔から逃れるのを許してくれない。
乳首の先端をすぼめた舌でチロチロつつき、鎖骨、首筋へと細く舐め上げていく。

「獣人に雌はいねえよ」

耳の近くで低い声が響いた。

「………え?」

「獣人は雄だけ。つまり、俺らの相手は人間の女だ」

突然、ズルルルル…と、下半身を埋めていたものが後退していく。
ほっとするよりも息が詰まる。
挿入っていた部分の熱さの名残りと空虚さに。
そんなにも馴染んでいたのかと驚き、内部がジンジンと疼く。
すると去っていくのと同じゆっくりとした速さで、また進んでくる。

「あああ、ああああ………」

悲鳴にしては甘い喘ぎが勝手に喉から漏れてしまう。

「三回目。いい声が出るようになったなあ?」

細く尖った切っ先が潜り込む直後に、太い陰茎が膣襞を擦りあげる。
改めて、膨大な圧迫感に口をぱくぱく開ける事しか出来ない。

「分かるか? 俺のに食いついて喜んでるだろう。これだけ慣らしたんだ」

さっきよりもさらに腰をせり出した彼に、私が仰け反って上へと逃げる。

「ひい…っ!」

獣人が私に覆いかぶさり、下着からプルンと全て飛び出た私の乳房を舐め上げながら、もどかしい程の速度でもう一往復をくれる。

「四回目」

逃げ場が無くなった私の、深い所を押し上げる。

「んぁあああああっ!」

怒張に最奥を小刻みに揺らされ喉を晒す。
ねちっこく掻き回し、休む間もなく感じる部分をグリグリ摩擦する。

「……俺の名はセイゲルだ」

今さらの自己紹介。
難関を突破して、この世界の門をくぐった私が初めて目にした獣人。

彼の、逞しい腰が私の足の間にある。

「どうだ、まだ痛むか」

「あ、はあっ…」

低く膝を折った彼が、ゆっくり腰を回す。
太いペニスに広げられた腟内は彼を阻んでない。
それどころか、憎々しい量の蜜をたたえて彼の形を覚えようとしている。
お腹側の壁に沿って押され、尿意に似た感覚にギュッと彼のペニスを引き絞る。

「そ、そこは…っ」

「痛いかと訊いてる。 人間の男の方がいいのか」

彼と較べるとずっと華奢で小さな人間の男性。

私は過去に、二人の男性と経験があった。
彼らとの行為をよく思い出せない。
なぜって彼らは、自分の快楽だけに夢中で、会話も視線さえもなかった。

これとは全然違う。

だからといって獣人に犯されていい理由にはならない。
ましてや快楽を感じることなんて許されない。

………彼らは、獣人とは、人間とは異なる劣った存在なのだから。
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