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どっちが肉食
1話
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そんな事があり何となく両思いになったっぽい私たち。
私の体調も戻り邪魔者も居なくなり。
週末になって男女がそういう雰囲気になるのはごく普通の話で。
体を重ねたあと、私と琥牙はベッドに横になっていた。
「……っん」
「真弥、大丈夫?」
「うん。 久しぶりだったから少し体がビックリしただけ」
「なら良かった」
うん良かった。
実際久し振りだったから痛いかな、なんて思ったけど彼はいつも通り優しかった。
それから以前に見た通り、細マッチョな体もとても素敵だった。
……けれども何かがおかしい。
最中から余り目を合わさないし、内容もやけにアッサリ。
今も終わったら早々に背中をこっちに向けちゃって。
逆に私が良くなかったとかしか思えないんですけど。
大体彼が最後まで出来たのかも不明。
若いからいっぱい出た? そんな事をサラリと訊ける雰囲気でもなく。
不審な思いを抱きつつ、私はこないだの伯斗さんの帰りがけの言葉を思い出していた。
『琥牙様が真弥どのに慎重だった理由』
それはいくつかあったらしい。
1. デキやすい(子供が)
2. 精力が強い(種族的に)
『……そんな私たちですから、きちんと気持ちの上で真弥どのに受け入れてくれるまで待っていたのでしょう。 それに私たちは人の様に、不特定多数に対して快楽のみを目的に交尾をしません。 あくまで生涯ただ一人と決めた相手にのみ、愛を交わすのです』
うん。 そんなのいいよ、全然大丈夫。
童貞でも教えてあげるしドンと来い。
使った事も無い種類の色んな避妊具購入して、冷蔵庫に食料と飲み物も溜め込んで。
琥牙が望むならと張り切って、今日はいっぱいする予定だったんだけど。
終わった後のキスも無かった。
もう眠ってしまったのか、規則的に上下に動き始めた彼の肩に触れかけて、何となくその手を引っ込めた。
もしかしたら
「前に少し喧嘩した時に触れてくれない、なんて私が言ったら形だけはした。 だけど実はあんまり乗り気じゃなかった」
とか?
そんななら、無理にしてくれなくっても良かったのに。
なんかもう泣きそう。
こんなに近くに居るのに寂しいなんて。
◆
その日以降、今度は琥牙が余所余所しくなった。
私が仕事を終えて家事をしたりお風呂から上がったりすると、その間にもうベッドに入ってる。
そんな状況を目にするにつけがっくりとうなだれる。
女としての自信無くなる。
私ってこんなにウエットな人間だったのかと我ながら驚いた。
週中に、とうとういたたまれなくなった私は気分転換に散歩でもしようと、寝てる琥牙を起こさないようそっとマンションを出た。
彼と同じ空間にいるのが辛かったから。
見上げると今晩は満月だった。
当てもなく上を向いて歩きながら夏は星が少ないなあなんて、半袖では少し肌寒かったので自分の体を抱きしめる。
もう人通りの少ない通りの家々からはテレビや家族の笑い声が響いてくる。
「……うーん」
やばい、とっても虚しい。
『桜井さんって今まで何ふり構わず人を好きになった事ないでしょ?』
以前言われたそんな言葉をぼんやり思い出しているとLineの振動に気付いた。
「あれ、高遠さん?」
以前食事の際にインスタに誘われてもいたけど、何となくそれは避けていた。
それでもあれからの彼の様子が気になってたので開いて内容を確認してみる。
『元気?』
『こないだは本当にすみませんでした。 腕は大丈夫でした?』
『やっぱり普通にヒビ入ってて。 今ギプス生活。 見かけによらず凄いね、彼』
あああああ、やっぱり。
思わず頭を抱えたくなった。
琥牙って人を人と思ってないのか。
きっと加減を知らないんだ。
『申し訳ございません。 でもあの、訴えたりはしないでいただけたら』
つい謝罪が社会人口調になった。
『そんな事しないよ。 既婚者が横恋慕して仕返しされたなんて言えないし。 罰でも当たったんだと思っとく』
返ってきた笑顔のスタンプにほっとした。
ありがとうございます、そう返したけどやっぱりこの人って悪い人じゃない。
『でも桜井さんにあんな熱烈な彼氏って意外だった』
高遠さんにはそう見えたらしい。
醒められたのかもしれないけど彼氏なんだろうな、一応。 そんな事を自嘲気味に思う。
『多分そのうち重くなるんじゃない?』
『重いのは私なんです』
そんな一文を打ってぱたんとスマホを閉じた。
正直、よく分からない。
思い起こすと高遠さんといた時にはあんなに怒ってた琥牙。
私の事をお姉さんとは違うって言ってた。
なのにそれらと今の彼の態度とがリンクしない。
・いざしてみると幻滅した。
・彼氏が突然よそよそしくなるのは冷めてしまったサイン。
そんなネットにあるあるな言葉が頭を巡る。
もう頭がごちゃごちゃしてうわあああああああって叫びたい。
それでも丸い月を眺めながら歩いてると適当に頭が冴えて落ち着いてきた。
うんうん悩むのにも飽きた私。
切り替えの速さは私の長所である。
そこで、コンビニに軽く寄って琥牙の好きなアイスなどを買ってから足早で帰途に向かった。
私の体調も戻り邪魔者も居なくなり。
週末になって男女がそういう雰囲気になるのはごく普通の話で。
体を重ねたあと、私と琥牙はベッドに横になっていた。
「……っん」
「真弥、大丈夫?」
「うん。 久しぶりだったから少し体がビックリしただけ」
「なら良かった」
うん良かった。
実際久し振りだったから痛いかな、なんて思ったけど彼はいつも通り優しかった。
それから以前に見た通り、細マッチョな体もとても素敵だった。
……けれども何かがおかしい。
最中から余り目を合わさないし、内容もやけにアッサリ。
今も終わったら早々に背中をこっちに向けちゃって。
逆に私が良くなかったとかしか思えないんですけど。
大体彼が最後まで出来たのかも不明。
若いからいっぱい出た? そんな事をサラリと訊ける雰囲気でもなく。
不審な思いを抱きつつ、私はこないだの伯斗さんの帰りがけの言葉を思い出していた。
『琥牙様が真弥どのに慎重だった理由』
それはいくつかあったらしい。
1. デキやすい(子供が)
2. 精力が強い(種族的に)
『……そんな私たちですから、きちんと気持ちの上で真弥どのに受け入れてくれるまで待っていたのでしょう。 それに私たちは人の様に、不特定多数に対して快楽のみを目的に交尾をしません。 あくまで生涯ただ一人と決めた相手にのみ、愛を交わすのです』
うん。 そんなのいいよ、全然大丈夫。
童貞でも教えてあげるしドンと来い。
使った事も無い種類の色んな避妊具購入して、冷蔵庫に食料と飲み物も溜め込んで。
琥牙が望むならと張り切って、今日はいっぱいする予定だったんだけど。
終わった後のキスも無かった。
もう眠ってしまったのか、規則的に上下に動き始めた彼の肩に触れかけて、何となくその手を引っ込めた。
もしかしたら
「前に少し喧嘩した時に触れてくれない、なんて私が言ったら形だけはした。 だけど実はあんまり乗り気じゃなかった」
とか?
そんななら、無理にしてくれなくっても良かったのに。
なんかもう泣きそう。
こんなに近くに居るのに寂しいなんて。
◆
その日以降、今度は琥牙が余所余所しくなった。
私が仕事を終えて家事をしたりお風呂から上がったりすると、その間にもうベッドに入ってる。
そんな状況を目にするにつけがっくりとうなだれる。
女としての自信無くなる。
私ってこんなにウエットな人間だったのかと我ながら驚いた。
週中に、とうとういたたまれなくなった私は気分転換に散歩でもしようと、寝てる琥牙を起こさないようそっとマンションを出た。
彼と同じ空間にいるのが辛かったから。
見上げると今晩は満月だった。
当てもなく上を向いて歩きながら夏は星が少ないなあなんて、半袖では少し肌寒かったので自分の体を抱きしめる。
もう人通りの少ない通りの家々からはテレビや家族の笑い声が響いてくる。
「……うーん」
やばい、とっても虚しい。
『桜井さんって今まで何ふり構わず人を好きになった事ないでしょ?』
以前言われたそんな言葉をぼんやり思い出しているとLineの振動に気付いた。
「あれ、高遠さん?」
以前食事の際にインスタに誘われてもいたけど、何となくそれは避けていた。
それでもあれからの彼の様子が気になってたので開いて内容を確認してみる。
『元気?』
『こないだは本当にすみませんでした。 腕は大丈夫でした?』
『やっぱり普通にヒビ入ってて。 今ギプス生活。 見かけによらず凄いね、彼』
あああああ、やっぱり。
思わず頭を抱えたくなった。
琥牙って人を人と思ってないのか。
きっと加減を知らないんだ。
『申し訳ございません。 でもあの、訴えたりはしないでいただけたら』
つい謝罪が社会人口調になった。
『そんな事しないよ。 既婚者が横恋慕して仕返しされたなんて言えないし。 罰でも当たったんだと思っとく』
返ってきた笑顔のスタンプにほっとした。
ありがとうございます、そう返したけどやっぱりこの人って悪い人じゃない。
『でも桜井さんにあんな熱烈な彼氏って意外だった』
高遠さんにはそう見えたらしい。
醒められたのかもしれないけど彼氏なんだろうな、一応。 そんな事を自嘲気味に思う。
『多分そのうち重くなるんじゃない?』
『重いのは私なんです』
そんな一文を打ってぱたんとスマホを閉じた。
正直、よく分からない。
思い起こすと高遠さんといた時にはあんなに怒ってた琥牙。
私の事をお姉さんとは違うって言ってた。
なのにそれらと今の彼の態度とがリンクしない。
・いざしてみると幻滅した。
・彼氏が突然よそよそしくなるのは冷めてしまったサイン。
そんなネットにあるあるな言葉が頭を巡る。
もう頭がごちゃごちゃしてうわあああああああって叫びたい。
それでも丸い月を眺めながら歩いてると適当に頭が冴えて落ち着いてきた。
うんうん悩むのにも飽きた私。
切り替えの速さは私の長所である。
そこで、コンビニに軽く寄って琥牙の好きなアイスなどを買ってから足早で帰途に向かった。
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