ひもにーと

のるむ

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サクラッキーのぽいぽい祭り

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「たった今1人釣れた。」

俺はそう答えた。

「それってあたしのこと?。」

彼女はケラケラと笑う素振りを見せると、ひよこ色でサラサラな髪を翻し,首をかしげた。

「お兄さん。クワガタみたいなにおいするね。服着替えてるの。」

と屈託のない笑顔をこちらに向けてくる。
俺は、すぐに助けてほしいというべきところであるのにもかかわらず、少し意地を張ってこう答えた。

「俺はただの気楽な旅ガラスさ。ほおっておいてくれると助かる。」

んーなに言ってんですかねえー。
なんだろうこの懐かしい気持ち、子供の時地中に埋めて久しく忘れ去っていたタイムカプセルを、ふと思い出して掘りだし、
中身に入っていた「未来の僕へ。」の手紙を読み返したときぐらい恥ずかしかった。
そんな恥の余韻に少々浸った後、本題を切り出した。

「すまん、助けてくれないか。俺は………。」

ことの一部始終を説明することにした。
俺が突然意識を失い、この世界に転生したこと。
テント付近の空間から外に出られないこと。
このテントのなかで、サバイバルもどき生活を初めて一週間くらいたったこと。
もちろん信じてもらえるとは考えていなかった。
しかし、いっそのこと頭おかしいと思ってもらって、お慈悲で助けてもらうしかないな考えていた。
話をしている最中に、一つ引っかかることがあった。
彼女はどうやってこの場所に入ってこれたのか。
あの名状しがたい、壁のようなものは内からは反発力を生じるけれども、外から入ることにはたやすい構造になっているとでもいうのであろうか。コロンブスの卵というものなのか。
とりあえずあの壁を「ウォールマリア」と名付けよう。
俺の活動領域は「ウォールローゼ」まで後退していた。
彼女は「ウォールマリア」、「ウォールローゼ」まで突破してきた。
つまり彼女は巨神だった…。
なんて、妄想を頭の中でしていた時期もありましたわ。
彼女はそう、

「ははは、あたしさくらっていうんだ。お兄さん連れてきたの、あたし。壁作ったのも、あたし。お兄さんここに閉じ込めて放置飼いしたのも、全部あたし。」

真性の鬼畜娘ちゃんであった。

 夕暮れの青が毛筆で重ね塗りされるように一段と濃くなっていく。
見渡せば、街頭に彩られた、ほのかな夜の世界。
異世界ものかと思いきや、そうでないらしい。
ただ、道行く人々がラジコンで操られているアシモのような感じがした。
俺は彼女に連れられて、閑静な住宅街に来ていた。
駅近と異なり、騒音などに悩まされることはなく、周辺はもの静かとなっており、空気の味も良くゆったりとした生活をすることができそうで、俺がもと住んでいたところと比較にならないほどええと思いました。はい。
何しろ彼女に、似つかわしくない。
この彼女は見えないオーラを発している。
彼女を住宅街に例えれば、岡本たろぉ先生の月光の塔を何本もおったてた場所に、ムンフの叫びをモチーフにしたモニュメントを置き、そこに犬小屋があるような狂気ぷりである。
優しいか、優しくないのか。
彼女は弁当を俺に持ってきてくれていた。
内容は省略するが、見た目そこそこ、味そこそこ、割と飢えて苦しんでいた俺にとってはどんな高級料理店のフルコースよりも美味しくいただけた。
そんなこともあって俺は気力、精力ともに復活し、いつものキモオタニートと成っていた。
そのため狂気などどうでもよくなっていたのだ。
とりあえず、俺と年が近いくらいの美少女とこうして、歩いているだけで、いろいろなステータスが上昇している感があったのだ。

「一緒にーねーてーくてくすすむのー。」
「お兄さん。気持ち悪いよ。ははは。」

ここにきてぽいってぽいってしないでほしいな、そう思いつつ、見捨てられることもなく。
ついていった先にあったのは、庭付きの1戸建ての、新築のような家であった。









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