幽霊フォトコラージュ!

森野ゆら

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7章

異変

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「はぁぁ。ひどいわ。もう試験は来月なのに、この模試の結果!」

 お母さんが大きな声を出したから、取ろうとしていた卵焼きが皿から転げ落ちた。
 び、びっくりした。こんな近くで言われたら、自分のことかと思ったよ。
 卵焼きを救出してたら、お父さんが読んでいた新聞から顔を出した。

「もう受験はいいんじゃないか? 実莉もつらいだろう」

「何言ってるの? ここまできて。親のわたしたちがあきらめてどうするのよ!」

 お母さんのキンキンした声に、お父さんの眉間にしわがよる。

「まぁまぁ。朝から大声はダメだ。落ち着いて。実莉はどうしたんだ?」

「散歩に行ったわ。わたしが強く言ったから、家にいづらくなったんでしょ」

 お姉ちゃん、朝っぱらからお母さんのお説教くらったのかぁ。
 きのうから、お母さん、ピリピリしてるもんね。
 はぁ。これはリビングにいれる状況じゃないな。
 いつ火の粉が自分に落ちてくるか分かんない。
 これは避難しておこうっと。
 リビングをそっと出て、自分の部屋へ戻ったらびっくりした。
 ベッドの上にコンがちょこんと座ってる!

「よっ」

「わ、なんか久しぶりじゃない? どこに行ってたの?」

「なんだ? オレ様がいなかったから、さみしかったのか?」

 コンがニヤっと口角を上げる。

「いや、そういうわけじゃないけど。あれ? 太った?」

「な、何を言う! 気のせいだろ! それより、なんだ? あの実莉は」

「え? お姉ちゃん?」

「公園で見かけた。あれだけの悪霊をひきつれてるなんて、おどろいたぞ」

「え……悪霊?」

 ひゅんと心臓が沈む。
 ひきつれてるって……いっぱいいるってこと?

「気づかなかったのか? まぁ、オレ様が留守の間、この家に悪霊が入ってこられないよう、薬をまいておいたからな。家での実莉には悪霊がついてなかっただろうが」

「じゃ、じゃあ、今、お姉ちゃんに……」

「あの悪霊の量、今の蒼生にはらえるかな? どうだろう?」

 コンがなぜかゆかいそうにフフッと笑う。
 蒼生くんがはらえないくらい……ってどれくらいよ!

「じゃ、じゃあコンがのみこんじゃってよ!」

「ばかやろ。あんなまずいもの、大量に食べられるか! とりあえず実莉をさがしにいったほうがいいぞ」

「分かった。コンもいっしょに来て!」

「フン。オレ様は眠いんだ。一人で行け」

 コンはベッドに寝転び、そっぽを向く。
 くう~。このハムスター! いや、タヌキ!
 血も涙もないんだから!

「コンのバカっ!」

 コートを着て、家を飛び出した。
 どくんとイヤな予感が心臓で鳴る。
 あぁ、コンにバカって言ったけど、本当のバカはわたしだ。
 しばらく前からお姉ちゃんの様子がおかしいって思ってたのに。
 お姉ちゃんに、幽霊の気配を感じた気がしてたのに。
 どうして、悪霊に気がつかなかったの!
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