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5 志信に会いたい
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もう夢中だった。
学校に向かって息が苦しいのも忘れるくらい走って、ひたすら走って。
時々、黒い服を着た人を見てドキリとしたり、建物の陰に隠れたりしながらやっと学校に着いた。
ハロウィン会、終わってるころだよね。
だれかに見られないようにしないと、ややこしくなる。
だって、この時間の私がいるもん。
私が二人? なんてことになったら大騒ぎだ。
校門を入ってテニスコートを横切る。
どこ? 志信は今、どこにいるんだろ?
「あれっ、未央ちゃん」
びくうっ!
おそるおそる振り返ると、生徒会の副会長さんが驚いたような顔で立っていた。
「未央ちゃん、さっき先生と一緒に職員室にいなかったっけ?」
副会長さんが首をかしげる。
あ、たぶんそれ、月曜日の私だ。って、そんなこと言えるわけない。
「えっと、あのっ、超スーパーダッシュでここまで来て……」
「そうなんだ? まぁ、ちょうどよかった。帰ったら和都に伝えておいてくれる? ハロウィン会無事に終わったよって。あいつ、生徒会の仕事残ってるのに自分が早退するの気にしてたから」
「は、はいっ。分かりました」
じゃあ。と副会長さんが校舎の方へ去っていった。
……よかったぁ。警官隊とかいう人たちじゃなくて。
つかまっちゃうかと思ったよ。
ほっとしながら、また走り出す。
体育館の奥を通って、武道場を横切ろうとした時、
ブンッ……
空気を切るような音がした。
何回も何回も響いてくるこの音……
……もしかして。
武道場の裏へとまわって、壁からこっそりのぞいてみる。
……いた!
やっぱり素振りの音だった!
竹刀を振っている志信の姿を見て、胸の奥がふわあっと熱くなってくる。
「志信!」
振り返った志信は、ゼイゼイ息を切らしている私にびっくりした顔する。
観察するように私を見たあと、眉間にしわをよせた。
「あのっ、あのっ……」
なにを言おう?
息を整えながら必死に頭をめぐらせる。
走ってきたせいか、心臓が暴れ出しそう。
志信と会うのはこれが最後かもしれないのに、伝えたいことはいっぱいあるのに、うまく言葉が出てこない。
「あのねっ、志信……」
ビーッ、ビーッ……
またこの音!
手首につけた時間移動機から、再びけたたましい音が鳴り始めた。
思わず、サッと右手を後ろにまわして隠す。
「この音……」
志信がいぶかしげに眉をひそめる。
あぁ、どうしよう。
この音を聞きつけて、警官隊がやってくるかもしれない。
早く、早く!
私が一番伝えたいこと……
決心して、志信の袖をぐっとつかんで引き寄せた。
「私、志信が好きだからっ。ずっとずーっと好きだから!」
突然の私の言葉に、志信は黒い瞳を大きくした。
そのまま固まったように表情が動かない。
「今までありがとねっ、志信」
胸がきゅうっとしめつけられて、涙がこみあげてくる。
その間も時間移動機からの音は鳴りやまない。
このままじゃ、見つかるのも時間の問題だ。
志信を巻き込むわけにはいかない。
早くここから立ち去らないと!
「じゃあねっ!」
くるっと志信に背を向けて、全速力で校門へと走った。
学校に向かって息が苦しいのも忘れるくらい走って、ひたすら走って。
時々、黒い服を着た人を見てドキリとしたり、建物の陰に隠れたりしながらやっと学校に着いた。
ハロウィン会、終わってるころだよね。
だれかに見られないようにしないと、ややこしくなる。
だって、この時間の私がいるもん。
私が二人? なんてことになったら大騒ぎだ。
校門を入ってテニスコートを横切る。
どこ? 志信は今、どこにいるんだろ?
「あれっ、未央ちゃん」
びくうっ!
おそるおそる振り返ると、生徒会の副会長さんが驚いたような顔で立っていた。
「未央ちゃん、さっき先生と一緒に職員室にいなかったっけ?」
副会長さんが首をかしげる。
あ、たぶんそれ、月曜日の私だ。って、そんなこと言えるわけない。
「えっと、あのっ、超スーパーダッシュでここまで来て……」
「そうなんだ? まぁ、ちょうどよかった。帰ったら和都に伝えておいてくれる? ハロウィン会無事に終わったよって。あいつ、生徒会の仕事残ってるのに自分が早退するの気にしてたから」
「は、はいっ。分かりました」
じゃあ。と副会長さんが校舎の方へ去っていった。
……よかったぁ。警官隊とかいう人たちじゃなくて。
つかまっちゃうかと思ったよ。
ほっとしながら、また走り出す。
体育館の奥を通って、武道場を横切ろうとした時、
ブンッ……
空気を切るような音がした。
何回も何回も響いてくるこの音……
……もしかして。
武道場の裏へとまわって、壁からこっそりのぞいてみる。
……いた!
やっぱり素振りの音だった!
竹刀を振っている志信の姿を見て、胸の奥がふわあっと熱くなってくる。
「志信!」
振り返った志信は、ゼイゼイ息を切らしている私にびっくりした顔する。
観察するように私を見たあと、眉間にしわをよせた。
「あのっ、あのっ……」
なにを言おう?
息を整えながら必死に頭をめぐらせる。
走ってきたせいか、心臓が暴れ出しそう。
志信と会うのはこれが最後かもしれないのに、伝えたいことはいっぱいあるのに、うまく言葉が出てこない。
「あのねっ、志信……」
ビーッ、ビーッ……
またこの音!
手首につけた時間移動機から、再びけたたましい音が鳴り始めた。
思わず、サッと右手を後ろにまわして隠す。
「この音……」
志信がいぶかしげに眉をひそめる。
あぁ、どうしよう。
この音を聞きつけて、警官隊がやってくるかもしれない。
早く、早く!
私が一番伝えたいこと……
決心して、志信の袖をぐっとつかんで引き寄せた。
「私、志信が好きだからっ。ずっとずーっと好きだから!」
突然の私の言葉に、志信は黒い瞳を大きくした。
そのまま固まったように表情が動かない。
「今までありがとねっ、志信」
胸がきゅうっとしめつけられて、涙がこみあげてくる。
その間も時間移動機からの音は鳴りやまない。
このままじゃ、見つかるのも時間の問題だ。
志信を巻き込むわけにはいかない。
早くここから立ち去らないと!
「じゃあねっ!」
くるっと志信に背を向けて、全速力で校門へと走った。
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