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3 月のネックレス
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大あくびをしながら、お兄ちゃんは家の方に入っていった。
私の目の前には黙ったままの男子が一人。
コナラの木の方をずっと向いたまま。
なんだろう? 怒ってるのかな。
「あのぅ、志信? 話ってなに?」
おずおずきいてみると、志信がゆっくり振り返った。
「……ちゃんと帰ってこられたんだな」
「えっ、なな、なんのこと?」
「過去から」
「ええっ、なんで志信が知ってるの?」
はっ。もしかして。
さっき、お兄ちゃんの言ってたこと……
「もしかして、きのうお兄ちゃんに伝えにきたのって……」
「うん。おれだよ」
「な、なんでっ……」
絶句する私に、志信は無表情に言う。
「時間移動機はおれと和都くんの共同開発だよ」
「どえええっ? キョードーカイハツ!」
「じゃ、じゃあ、もしかして志信はライカさんのこと知ってるの?」
「うん。おれは時間移動協会の会員ではないけどね。事情は知ってる」
えええ。私が知らないところで、お兄ちゃんと志信は時間移動機を作ってて、ライカさんともすでに知り合いで……
ダメだ。頭がついてこない。
「きのう、武道館の裏に未央が現れただろ? おかしいなと思ったんだ」
「どうして?」
きくと、志信は「それ」と私の首元を指さした。
「おれが渡すはずのネックレスを未央がしてたから」
「ネックレス? ……あっ、そうか!」
志信からネックレスをもらったのは、十月二十六日の火曜日の朝。
つまり、今日の朝だったんだ。
なのに、きのう武道場に現れた私がすでにネックレスをしていた。
そりゃ、志信がおかしいって思うよね。
「いろいろ考えたよ。もしかしたら他のヤツが同じデザインのネックレスを未央にプレゼントしたのか、それとも未央が自分で買ったのかもしれないって」
うんうんとうなずきながら、志信の話を聞く。
「でも、店員さんが一点ものだって言ってたこと、職員室に行ったはずの未央がすぐに武道場に来るはずがないこと、時間移動機を未央がつけていたこと。それらを考えて、未来から来た未央だって考えた」
志信の言葉に私は頭をおさえる。
ええと、職員室にいた私は二十五日の私で、武道場裏に現れたのは二十六日の……つまり今の私で……
ふぇぇ! 脳がこんがらがる!
「そんなのよく分かったね……」
「一晩すっごく考えたよ。それで、あの時現れた未央がネックレスをしてたってことは、おれがちゃんと渡しておかないといけないって思った。でないと、またちがう過去と未来の世界ができてしまうからね」
ちがう過去と未来?
ううう、もう難しくてわかんなくなってきた。私の頭じゃ容量オーバーだよ。
でも、もし朝にネックレスをもらってなければ、私は志信に会いに行こうって思わなかったかもしれない。
あのまま公園で縮こまったまま、泣いてたかも。
そしたら、ちがう未来になってたってこと?
あああ~わからんっ。
私が頭をかかえてると、志信が静かにきいてきた。
「未央はどうして『きのう』に来てたんだ?」
「そ、それは……」
「どうして?」
志信の射るようなするどい視線。
さっきのお兄ちゃんといい、今の志信といい、本気で怒ったらこわいんだよね。
「いや~あの、荒木さん? じゃなくてっ。だ、誰かが武道館の方に行ってたって聞いたから……その、確かめたいことがあって……」
しどろもどろ言うと、志信は首を傾けた。
「荒木? 荒木は来なかったよ。クッキーくれたあと、生徒会の人に呼ばれて体育館へ行った。委員長だからハロウィン会の片付けしてたんじゃないか?」
「えっ? そうなの?」
荒木さんは武道場に来ていない。
じゃあ、だれかが志信に告白したってウワサはなんだったの?
私の目の前には黙ったままの男子が一人。
コナラの木の方をずっと向いたまま。
なんだろう? 怒ってるのかな。
「あのぅ、志信? 話ってなに?」
おずおずきいてみると、志信がゆっくり振り返った。
「……ちゃんと帰ってこられたんだな」
「えっ、なな、なんのこと?」
「過去から」
「ええっ、なんで志信が知ってるの?」
はっ。もしかして。
さっき、お兄ちゃんの言ってたこと……
「もしかして、きのうお兄ちゃんに伝えにきたのって……」
「うん。おれだよ」
「な、なんでっ……」
絶句する私に、志信は無表情に言う。
「時間移動機はおれと和都くんの共同開発だよ」
「どえええっ? キョードーカイハツ!」
「じゃ、じゃあ、もしかして志信はライカさんのこと知ってるの?」
「うん。おれは時間移動協会の会員ではないけどね。事情は知ってる」
えええ。私が知らないところで、お兄ちゃんと志信は時間移動機を作ってて、ライカさんともすでに知り合いで……
ダメだ。頭がついてこない。
「きのう、武道館の裏に未央が現れただろ? おかしいなと思ったんだ」
「どうして?」
きくと、志信は「それ」と私の首元を指さした。
「おれが渡すはずのネックレスを未央がしてたから」
「ネックレス? ……あっ、そうか!」
志信からネックレスをもらったのは、十月二十六日の火曜日の朝。
つまり、今日の朝だったんだ。
なのに、きのう武道場に現れた私がすでにネックレスをしていた。
そりゃ、志信がおかしいって思うよね。
「いろいろ考えたよ。もしかしたら他のヤツが同じデザインのネックレスを未央にプレゼントしたのか、それとも未央が自分で買ったのかもしれないって」
うんうんとうなずきながら、志信の話を聞く。
「でも、店員さんが一点ものだって言ってたこと、職員室に行ったはずの未央がすぐに武道場に来るはずがないこと、時間移動機を未央がつけていたこと。それらを考えて、未来から来た未央だって考えた」
志信の言葉に私は頭をおさえる。
ええと、職員室にいた私は二十五日の私で、武道場裏に現れたのは二十六日の……つまり今の私で……
ふぇぇ! 脳がこんがらがる!
「そんなのよく分かったね……」
「一晩すっごく考えたよ。それで、あの時現れた未央がネックレスをしてたってことは、おれがちゃんと渡しておかないといけないって思った。でないと、またちがう過去と未来の世界ができてしまうからね」
ちがう過去と未来?
ううう、もう難しくてわかんなくなってきた。私の頭じゃ容量オーバーだよ。
でも、もし朝にネックレスをもらってなければ、私は志信に会いに行こうって思わなかったかもしれない。
あのまま公園で縮こまったまま、泣いてたかも。
そしたら、ちがう未来になってたってこと?
あああ~わからんっ。
私が頭をかかえてると、志信が静かにきいてきた。
「未央はどうして『きのう』に来てたんだ?」
「そ、それは……」
「どうして?」
志信の射るようなするどい視線。
さっきのお兄ちゃんといい、今の志信といい、本気で怒ったらこわいんだよね。
「いや~あの、荒木さん? じゃなくてっ。だ、誰かが武道館の方に行ってたって聞いたから……その、確かめたいことがあって……」
しどろもどろ言うと、志信は首を傾けた。
「荒木? 荒木は来なかったよ。クッキーくれたあと、生徒会の人に呼ばれて体育館へ行った。委員長だからハロウィン会の片付けしてたんじゃないか?」
「えっ? そうなの?」
荒木さんは武道場に来ていない。
じゃあ、だれかが志信に告白したってウワサはなんだったの?
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月芝
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