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8章
和ごころの演奏
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準備コーナーを出て、壇の横にある階段を上がる。
ステージに上がると、ますますドキドキと心臓が鳴ってきた。
学園長たちはお茶席を立って、ミドリくんに中央のパイプ椅子に案内されてる。
いつの間に集まったのか、生徒の数も増えていた。
こんなところで、たくさんの人の前で弾くなんて初めてだ。
箏の前に座って、譜面台の楽譜の位置を整える。
調弦、さっきとったけど、大丈夫かな。ちゃんと合ってるかな。
「それでは、演奏を始めます。実は今から弾く曲は、曲名はありません。ですが、とてもきれいな曲なので、ゆるりとお楽しみください」
月都くんが紹介をしてくれてから、一礼をした。
はじめの一音はわたしに合わせてくれることになってる。
すうっと息を吸い込んで、吐くタイミングで六の音を鳴らした。
同時に早玖と桜宮さんも最初の音を絶妙のタイミングで入ってくれた。
一音、一音、大事に弾いてるうちに、ふるえてた指も、あったかくなってきた。
わたしと早玖の弾く音に、桜宮さんのメロディが風のように寄り添ってくれる。
表間のわたしの音、裏間を刻む早玖の音。今日は面白いほど、よくかみあう。
合わせ爪の音がずれたけど、フォローしてくれるみたいに二人の音がきれいに響く。
しばらく弾くうちに、「まちがえたらどうしよう」なんて気持ちはどこかへ飛んでいった。
音の余韻を残した後に入る一音目も、二人と気持ちがつながってるみたいにぴったり合った。
練習でよくまちがえてた細かい音の連なりがノーミスで弾けて、気持ちが上がる。
楽しい。弾いていて楽しい。
あ、そっか。
和の心を大切にするって、ぼんやりとしかイメージできなかったけど、「楽しい」って思うことでもいいのかな。
一音を楽しむこと。流れるような旋律を感じること。
早玖の音、桜宮さんの音色。絡み合う音が心地いい。
終わりたくない。終わっちゃうのがもったいない。
丘でじいちゃんと弾いてた時と同じ気持ちがふわっとよみがえってきた。
パチパチパチ……気がついたら、拍手が鳴り響いていた。
……あ、終わったんだ。
あわてて一礼をしてから、顔上げると、早玖と桜宮さんと目が合った。
思わず笑いあって、立ち上がり、壇上をおりる。
視察団の人たちがわたしたちのそばにやってきた。
「素敵な演奏だったよ。ありがとう」
メガネの男の人が言うと、みんながもう一度拍手をくれた。
「みんな、楽しそうに弾いてましたね。体育館だけの小さな文化祭ってきいてたのに、こんなに満足できる催しでびっくりしましたよ」
「そうですね。展示もよくできてましたし」
視察団の人たちがほめてくれるから、すっごくうれしくなってしまう。
でも、気をゆるませてる場合じゃない。
「あのっ、」
思い切って声をかけると、その場にいる全員がわたしを見た。
「お願いがあります! わたしたち、もっとこの学園を大切に楽しみたいと思ってます! だから、廃校は考え直してください!」
ステージに上がると、ますますドキドキと心臓が鳴ってきた。
学園長たちはお茶席を立って、ミドリくんに中央のパイプ椅子に案内されてる。
いつの間に集まったのか、生徒の数も増えていた。
こんなところで、たくさんの人の前で弾くなんて初めてだ。
箏の前に座って、譜面台の楽譜の位置を整える。
調弦、さっきとったけど、大丈夫かな。ちゃんと合ってるかな。
「それでは、演奏を始めます。実は今から弾く曲は、曲名はありません。ですが、とてもきれいな曲なので、ゆるりとお楽しみください」
月都くんが紹介をしてくれてから、一礼をした。
はじめの一音はわたしに合わせてくれることになってる。
すうっと息を吸い込んで、吐くタイミングで六の音を鳴らした。
同時に早玖と桜宮さんも最初の音を絶妙のタイミングで入ってくれた。
一音、一音、大事に弾いてるうちに、ふるえてた指も、あったかくなってきた。
わたしと早玖の弾く音に、桜宮さんのメロディが風のように寄り添ってくれる。
表間のわたしの音、裏間を刻む早玖の音。今日は面白いほど、よくかみあう。
合わせ爪の音がずれたけど、フォローしてくれるみたいに二人の音がきれいに響く。
しばらく弾くうちに、「まちがえたらどうしよう」なんて気持ちはどこかへ飛んでいった。
音の余韻を残した後に入る一音目も、二人と気持ちがつながってるみたいにぴったり合った。
練習でよくまちがえてた細かい音の連なりがノーミスで弾けて、気持ちが上がる。
楽しい。弾いていて楽しい。
あ、そっか。
和の心を大切にするって、ぼんやりとしかイメージできなかったけど、「楽しい」って思うことでもいいのかな。
一音を楽しむこと。流れるような旋律を感じること。
早玖の音、桜宮さんの音色。絡み合う音が心地いい。
終わりたくない。終わっちゃうのがもったいない。
丘でじいちゃんと弾いてた時と同じ気持ちがふわっとよみがえってきた。
パチパチパチ……気がついたら、拍手が鳴り響いていた。
……あ、終わったんだ。
あわてて一礼をしてから、顔上げると、早玖と桜宮さんと目が合った。
思わず笑いあって、立ち上がり、壇上をおりる。
視察団の人たちがわたしたちのそばにやってきた。
「素敵な演奏だったよ。ありがとう」
メガネの男の人が言うと、みんながもう一度拍手をくれた。
「みんな、楽しそうに弾いてましたね。体育館だけの小さな文化祭ってきいてたのに、こんなに満足できる催しでびっくりしましたよ」
「そうですね。展示もよくできてましたし」
視察団の人たちがほめてくれるから、すっごくうれしくなってしまう。
でも、気をゆるませてる場合じゃない。
「あのっ、」
思い切って声をかけると、その場にいる全員がわたしを見た。
「お願いがあります! わたしたち、もっとこの学園を大切に楽しみたいと思ってます! だから、廃校は考え直してください!」
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