47 / 53
8章
じいちゃんの宝はどこに?
しおりを挟む
「やぁ。おつかれさま」
片付けも終わりに近づいた頃、わたしと桜宮さんのそばにひょいと現れたのは、ボサボサ頭の男の人。
「優礼さん!」
呼ぶと、優礼さんは長い前髪の下でニヤッと笑った。
「優礼さんの書、すごく好評でしたよ!」
「……ありがと」
優礼さんはガリガリと頭をかいて、ソワソワしてる。
あれ? もしかして照れてるのかな。
もう看板はおろしちゃったけど、本当に素敵な書だったもんね。
優礼さんのあの字が成功を引き寄せてくれた、そんな感じがする。
「あー、優礼さんやん!」
ミドリくんと月都くん、それに早玖もかけよってきた。
優礼さんは、あらためてわたしたちを見てつぶやいた。
「文化祭よかったよ。演奏もよかった。……だから伝えにきた」
伝えにきたって……。も、もしかして。じいちゃんの宝のありかの……
「ヒント。知りたかったんだろ?」
優礼さんが一枚の紙をわたしに手渡してきた。
紙を開けると、流れるような字がそこにあった。
(律の調べ 風にのって遠くまで)
「これ、じいちゃんの字だ」
「うん。留五郎さんの道具入れに入ってたんだけどね。この書が宝の地図だって留五郎さんが言ってたことがあった。だからもしかしたら」
「りつのしらべって、何やろう?」
ミドリくんが言うと、桜宮さんがうーんと首を傾けた。
「それ、たぶん、『りち』って読むと思います。たしか、秋の季語だったような。秋らしい趣のことでしたっけ。それに、律は音楽の調子のことだったと思います」
「調子かぁ。箏にもあるよ。平調子とか楽調子とか」
「うーん。何のこっちゃわからへんな。地図でも書いてくれてたんかと思ったけど」
「分かる人には、分かるようにしてるとか?」
月都くんが言うと、「余計によう分からんな」とミドリくんが頭をかかえた。
うーん。秋らしい……。風にのって遠くまでいくもの? なんだろう?
「分かる人には……か」
早玖は天井をぼんやり見上げた後、わたしの方を向いた。
「るり、留五郎さんがよく言ってたこと、思い出さないか?」
「よく言ってた? 口癖とか? そんなのあったっけ?」
「いや。留五郎さんがよく言ってたじゃないか。『これは、風にのって遠くまでいく』って」
「あ……それって、ケヤキの木の葉っぱ?」
そうだ。思い出した。
丘で三人で演奏した時、よくケヤキの葉っぱを拾って遊んでたんだ。
種がついたケヤキの葉を探すのが楽しくて、見つけたら喜んでたっけ。
その時にいつも言ってたんだ。
「種がついてる葉っぱは枝つきじゃろ? 風にのって種を遠くまで飛ばしやすくするためじゃ。ケヤキのうまい戦略じゃね」って。
ハハハハッと笑うじいちゃんの声まで思い出した。
「ってことは、丘にあるケヤキの木のこと?」
「おおっ、そのケヤキの木の下に何か埋めとるとか?」
ミドリくんが声のトーンと張り上げる。
「よし。片付けを終わらせて、丘まで行こう」
早玖が言うと、みんながうなずいた。
片付けも終わりに近づいた頃、わたしと桜宮さんのそばにひょいと現れたのは、ボサボサ頭の男の人。
「優礼さん!」
呼ぶと、優礼さんは長い前髪の下でニヤッと笑った。
「優礼さんの書、すごく好評でしたよ!」
「……ありがと」
優礼さんはガリガリと頭をかいて、ソワソワしてる。
あれ? もしかして照れてるのかな。
もう看板はおろしちゃったけど、本当に素敵な書だったもんね。
優礼さんのあの字が成功を引き寄せてくれた、そんな感じがする。
「あー、優礼さんやん!」
ミドリくんと月都くん、それに早玖もかけよってきた。
優礼さんは、あらためてわたしたちを見てつぶやいた。
「文化祭よかったよ。演奏もよかった。……だから伝えにきた」
伝えにきたって……。も、もしかして。じいちゃんの宝のありかの……
「ヒント。知りたかったんだろ?」
優礼さんが一枚の紙をわたしに手渡してきた。
紙を開けると、流れるような字がそこにあった。
(律の調べ 風にのって遠くまで)
「これ、じいちゃんの字だ」
「うん。留五郎さんの道具入れに入ってたんだけどね。この書が宝の地図だって留五郎さんが言ってたことがあった。だからもしかしたら」
「りつのしらべって、何やろう?」
ミドリくんが言うと、桜宮さんがうーんと首を傾けた。
「それ、たぶん、『りち』って読むと思います。たしか、秋の季語だったような。秋らしい趣のことでしたっけ。それに、律は音楽の調子のことだったと思います」
「調子かぁ。箏にもあるよ。平調子とか楽調子とか」
「うーん。何のこっちゃわからへんな。地図でも書いてくれてたんかと思ったけど」
「分かる人には、分かるようにしてるとか?」
月都くんが言うと、「余計によう分からんな」とミドリくんが頭をかかえた。
うーん。秋らしい……。風にのって遠くまでいくもの? なんだろう?
「分かる人には……か」
早玖は天井をぼんやり見上げた後、わたしの方を向いた。
「るり、留五郎さんがよく言ってたこと、思い出さないか?」
「よく言ってた? 口癖とか? そんなのあったっけ?」
「いや。留五郎さんがよく言ってたじゃないか。『これは、風にのって遠くまでいく』って」
「あ……それって、ケヤキの木の葉っぱ?」
そうだ。思い出した。
丘で三人で演奏した時、よくケヤキの葉っぱを拾って遊んでたんだ。
種がついたケヤキの葉を探すのが楽しくて、見つけたら喜んでたっけ。
その時にいつも言ってたんだ。
「種がついてる葉っぱは枝つきじゃろ? 風にのって種を遠くまで飛ばしやすくするためじゃ。ケヤキのうまい戦略じゃね」って。
ハハハハッと笑うじいちゃんの声まで思い出した。
「ってことは、丘にあるケヤキの木のこと?」
「おおっ、そのケヤキの木の下に何か埋めとるとか?」
ミドリくんが声のトーンと張り上げる。
「よし。片付けを終わらせて、丘まで行こう」
早玖が言うと、みんながうなずいた。
0
あなたにおすすめの小説
笑いの授業
ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。
文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。
それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。
伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。
追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
(also @ なろう)
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
未来スコープ ―キスした相手がわからないって、どういうこと!?―
米田悠由
児童書・童話
「あのね、すごいもの見つけちゃったの!」
平凡な女子高生・月島彩奈が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。
それは、未来を“見る”だけでなく、“課題を通して導く”装置だった。
恋の予感、見知らぬ男子とのキス、そして次々に提示される不可解な課題──
彩奈は、未来スコープを通して、自分の運命に深く関わる人物と出会っていく。
未来スコープが映し出すのは、甘いだけではない未来。
誰かを想う気持ち、誰かに選ばれない痛み、そしてそれでも誰かを支えたいという願い。
夢と現実が交錯する中で、彩奈は「自分の気持ちを信じること」の意味を知っていく。
この物語は、恋と選択、そしてすれ違う想いの中で、自分の軸を見つけていく少女たちの記録です。
感情の揺らぎと、未来への確信が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第2作。
読後、きっと「誰かを想うとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
【奨励賞】氷の王子は、私のスイーツでしか笑わない――魔法学園と恋のレシピ【完結】
旅する書斎(☆ほしい)
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞で奨励賞をいただきました】
魔法が学べる学園の「製菓科」で、お菓子づくりに夢中な少女・いちご。周囲からは“落ちこぼれ”扱いだけど、彼女には「食べた人を幸せにする」魔法菓子の力があった。
ある日、彼女は冷たく孤高な“氷の王子”レオンの秘密を知る。彼は誰にも言えない魔力不全に悩んでいた――。
「私のお菓子で、彼を笑顔にしたい!」
不器用だけど優しい彼の心を溶かすため、特別な魔法スイーツ作りが始まる。
甘くて切ない、学園魔法ラブストーリー!
中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP
じゅん
児童書・童話
【第1回「きずな児童書大賞」大賞 受賞👑】
悪霊のいる場所では、居合わせた人に「霊障」を可視化させる体質を持つ「霊感少女」のアカリ(中学1年生)。
「ユーチューバーになりたい」幼なじみと、「心霊スポットMAPを作りたい」友達に巻き込まれて、心霊現象を検証することになる。
いくつか心霊スポットを回るうちに、最近増えている心霊現象の原因は、霊を悪霊化させている「ボス」のせいだとわかり――
クスっと笑えながらも、ゾッとする連作短編。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる