スパイラル・ワープ!

森野ゆら

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2章

5 未来からの訪問者

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 リゼという男子は、やわらかい笑顔で私の返事を待ってる。
 パートナー。
 パートーナーになって……って。どういうこと?

「お前、だれだ?」

 瑞希が警戒したように尋ねると、男子はフフッと笑った。

「ぼくは時間修復士のリゼ。仕事でこの時代に来たんだ」

「時間……修復?」

 聞きなれない言葉に、私は瑞希と顔を見合わせる。

「って言っても、この時代の君たちには分かんないよね。それより……」

 軽く笑みを浮かべながら、リゼっていう人が私の方に向き直った。

「ひなり……だったね。さっきから見てたけど、君はスパイラルがある所が分かるの?」

「スパイラル?」

「これ」

 リゼがクルクルまわってる渦を指さした。

「これってスパイラルっていうの?」

「うん。正確にはタイムスパイラル。時間のひずみのことだよ」

 リゼが渦を見下ろしながら、答えた。

「時間のひずみ……ひずみって何?」

「ひずみって、ゆがみのことや物体の変化のことを言うけど……もしかして時間のゆがみってことか?」

 私と瑞希が立て続けにきくと、リゼは腰に手を当ててニヤリとした。

「教えてほしい? だけど普通はこの時代の人間に、教えられないんだけど」

「ええっ。なんで? 教えてよ」

 ワクワクしながらリゼにつめよると、瑞希が私の袖を引っ張って、リゼから引き離した。

「さっきからこの時代、この時代って言ってるけど、お前、どこから来たんだ? 何者だ?」

 瑞希がきくと、リゼは自分の手首につけている腕時計みたいなものをトンとたたいた。

「君たちから見れば、遠い未来から」

「未来……」

 思ってもない言葉が出てきて、私と瑞希はぽかんとする。

 そんな私たちを見て、リゼはフフッと笑った。

「って、言っても信じられないよね。まぁ。この時代の人間にこんなこと話したら、普通は記憶を消さなきゃいけないんだけど」

「きっ、記憶を消す?」

 急にコワイこと言い始めた!

 あわてて距離を取ると、リゼは銀色の前髪を優雅にかきあげた。

「この時代の君たちは、知っちゃいけないことだからね」

「ちょ、ちょっと待って。そんなのやだよ。どの辺の記憶から消すの? まさか、今日のことぜーんぶ消しちゃうの?」

 そんなことされたら、せっかくやった調べ学習のことも忘れちゃうし、なんで図書館に来たかも忘れちゃうし、自転車乗って帰るの忘れそうだし……

 頭を両手で抱えると、瑞希が私の肩をポンとたたいた。

「落ち着け。ひなり。たぶんコイツは今すぐおれたちの記憶を消す気はない」

「え? どういうこと?」

「『普通は』記憶を消さなきゃいけない。でも、今は普通に当てはまらないんだろ? それにわざわざ時間修復士って名乗ってるってことは、おれたちの記憶を消す気はない」

 瑞希が言うと、リゼがほほえんだ。

「君、分かってるね。うん。消さないよ。ただし条件がある」

「条件? なになにっ?」

 食いつくようにきくと、リゼがぴっと人差し指を立てた。

「最初に言ったけど……。ひなり、君がぼくのパートナーになること」

「わ、私が? リゼのパートナー?」

「何言ってるんだ、お前」

 あわわっと口を押える私の横で、瑞希が眉をつりあげる。

「はっ。ま、まさか結婚しろとかそういうこと?」

 後ずさりすると、リゼがブハッとふき出した。

「結婚か。あははっ。ちがうよ。仕事のパートナー」

 あ、そっか。仕事のパートナーか。早とちりしちゃった。
 ほっとして、胸をなでおろしたけど、ん? 待って。仕事?

「仕事……って?」

「時間修復の仕事だよ。さっき、言っただろ? ぼくは時間修復士だって。ま。見てもらった方が早いかな?」
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