スパイラル・ワープ!

森野ゆら

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2章

4 瑞希の気持ち

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 体が吸い込まれそうになってドキッとした時、急に後ろから誰かに抱き込まれた。

「ふあっ?」

 渦から引き離されるように、上半身を引っ張られて、誰かと一緒に後ろへドスンと尻もちをついた。

「いたた。な、なに?」

「バカ! 何やってんだ」

 いきなり、怒号がそばから飛んで来た。
 眉をつり上げて、おそろしい形相で私をにらんでいるのは……瑞希!

「瑞希! なんでここに」

「なんでって、ひなりが妙な顔して走っていくのを見たから、追いかけてきたんだよ。それより、何してんだ。またこの変な渦に巻き込まれたいのか! なんで手を出してるんだよ!」

「なんでって。この先、どうなってるのかな~って思って」

「バカッ!」

 大きな声に思わず両耳をふさぐ。
 むか。
 ちょっと待って。二回もバカって言った?
 なんだか腹が立ってきて、瑞希をにらみながら立ち上がった。

「なによ! 別にいいじゃん。私が何しようが勝手でしょ! だいたい瑞希はずっと私のこと見張ってるみたいでさ。こんな所まで追いかけてきて!」

「追いかけてきて正解だったよ」

 瑞希がはーっと息を吐きながら、立ちあがる。

「正解って……。なによそれ。別に来てくれなんて頼んでないよ!」

 べーっと舌を出して渦の方へ向き直ったら、瑞希が私の手首をつかんできた。

「離してよっ」

「何する気だよ!」

「私、この渦、ずっと気になってたの! 瑞希も覚えてるでしょ? 小1の時に見たあの渦と一緒だよ! 今なら何なのか分かるチャンスなんだ! ちょっと入って確かめてみる!」

「入って確かめるって……この先が何か知ってるのか? もし、宇宙とか異世界とかだったらどうするんだよ?」

「宇宙? 異世界?」 

 心躍る言葉に目を大きくさせると、瑞希は「しまった」って口を押える。

「うわー! もしかしたらアニメみたいな世界が広がってるかも!」

「バカ! 何も考えてないな、ひなりは!」

「あのねぇ、何も考えてないって……」

 言い返そうとして、ハッとした。
 今まで見たことないような瑞希の顔。
 眉間にしわをよせて、苦しそうな泣きそうな。
 な、なに? その顔。

「ど、どうしたのよ、瑞希……」

 うろたえる私の手を瑞希が握り直して、真っすぐに見つめてくる。

「絶対行かせない。おれは……もうあの時みたいな思いはしたくない」

「あの時……?」

 それって、私が渦に入っちゃった時のこと?

「そ、そりゃ、二日も行方不明だったから心配かけちゃったけどさ。でも、この渦の謎を解くには今しか……」

「謎なんて解かなくていい」

 瑞希は私の手をぎゅうっと握って離さない。
 力強いけど、あったかい瑞希の手。
 いつのまにこんなに大きくなったのか、私の手をすっぽり包んでしまう。
 でも……あれ? なんだろう? この感覚。前にもこんなことあった?
 何か、思い出しそうなんだけど……
 まばたきをしたその時、

「いや~驚いた。この時代にタイムスパイラルを見つける人間がいるなんて」

 どこからか低い声が聞こえてきて、私も瑞希もビクッと肩をふるわせた。

「だ、だれ?」

 辺りを見まわすけど誰もいない。そしたら、

 ザッ。

 緑の葉とともに、木の上から何かが降ってきた。
 ネコ? って思ったけどちがう。男の子だ! 
 男の子は地面に着地した後、ニッと笑ってゆっくり立ち上がった。
 茶色のジャケットに光沢のある黒いボトム。
 腰にはショルダーバッグがついていて、ジャラジャラ工具みたいなものがついてる。
 ほっそりした手首には、変わった形の腕時計。
 銀色の髪に紫の瞳。きゅっと締まったあごのライン。
 なんてきれいな男の子だろう。
 見とれていると、男子はじいっと私を見ながら近づいてきた。

「はじめまして。君、ひなりって言うの?」

「う、うん」

 戸惑いながら答えると、男子はにっこりほほえみ、私に恭しくお辞儀をした。

「ぼくはリゼ。突然だけど、ぼくのパートナーになってくれない?」

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