スパイラル・ワープ!

森野ゆら

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3章

2 忘れ物同士

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「よーし、授業始めるぞ~」

 チャイムと同時に教室に入ってきたのは、担任の大地先生。
 助かった! ナイスだよ、大地先生!

「じゃ、また後で教えてね♡」

 紫央ちゃんがちょっと残念そうに、自分の席へと戻っていった。
 はー。次の休み時間は紫央ちゃんの質問攻めにあいそうだなぁ。
 でも、スパイラルのことじゃなくて、瑞希との関係悪化だってカンちがいしてくれてるみたいで良かった……

「さぁて。今日は先週出してた宿題を……と、その前に。みんな、きのうテレビでやっていたアニメ、みたか? タイムトリップする話!」

 大地先生がドンッと教卓に両手をついて、目をキラキラさせた。
 あー。また始まった。
 大地先生は自他ともに認めるアニメオタク。
 特にタイムトリップとかタイムマシンの話が好きみたいで、今放送されてる「タイムトリップペンギン」っていう  アニメにハマってるみたい。
 大地先生は二十代後半らしいけど、身振り手振りをつけて楽しそうにアニメを語る姿は、完全に小学生男子だ。

 やった。
 このままアニメの話で授業がつぶれて、調べ学習の宿題忘れが発覚しないといいな。
 なーんて思いながら窓の方をふと見たら、瑞希と目が合った。
 ジロリとにらんだら、瑞希があわてて顔をそむけた。
 ふーんだ。瑞希のバカ。
 幼なじみだからって、いつまでも瑞希の思い通りにならないからね。
 私、今日からリゼと一緒にスパイラル探しを始めるんだから。
 早速、放課後に公園でリゼと待ち合わせすることになってるし!

 ……スパイラル探しかぁ。

 クルクルと机に指で渦巻きを描いてみる。
 私にスパイラルを見つける能力があるなんて。
 それが世界を救うことにつながるなんて。

 ……すっごく、ワクワクするよ‼

「……おっと。しゃべりすぎちゃったな。それじゃあ、この前出した調べ学習宿題! 前に出してきて」

 げっ。やばいっ。
 アニメの話、意外と早く終了しちゃった!
 みんな、次々に立ち上がり、ノートや画用紙に書いたものを教卓の方まで持っていく。
 うわー。これ、提出忘れ、私だけじゃない?
 変な汗がダラダラでてくる。どうしよう……

「これで全部かな? 出してない人、手を挙げて」

 大地先生の声に、仕方なくゆるゆると手を挙げる。

「せんせー……忘れました……」 

「……ひなり。後ろの黒板にも書いてたのに、見てなかったのか?」

「見てましたけど……忘れました」

「しょうがないな。今日は大目に見てやるから、今日の放課後、先生のお手伝いをしてくれ。……あれ?」

 大地先生が窓際の方に視線をやって、意外そうな顔をする。
 見ると、河本さんが無表情で手を挙げていた。

「河本も忘れたのか?」

 大地先生がきくと、河本さんは静かにうなずいた。

「それじゃ、ひなりと河本は放課後、理科準備室へ来てくれ。資料を作るの手伝ってもらうから」

「……はーい」

 しょんぼり返事したら、瑞希があきれた目を向けてきた。
 なによ。半分は瑞希のせいなんだからね。
 瑞希があんな風に怒って行っちゃうから。
 プンと窓際の方へ顔をそむけると、河本さんは、特に思うこともないように窓の外を見ていた。
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