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30 舞台
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会場に向かって手を振っていたヤマを見習い、俺も振ってみる。
ランウェイは、長い。
いつまでも、協力しない、どころか妨害ばかりしている訳にはいかないしな。
好意的な視線が多いし、俺にも振り返してくれる人もいるのがまだ救いだ。
「まさか、俺までとは・・・」
「ごめんな、カナ。
姉貴が兄貴をノセてさ」
後ろから両腕を腰に回して、完全に俺の真後ろについたヤマ。
顔は笑顔だが、声は疲労でどんより曇っている。
ヤマも、昨日のリハーサルからずっと飛鳥さんと清人さんの間に入りモデル以外の役割が・・・あったしな。
歩きにくいが、ヤマの身体の盾にもなるからそのままにしておく。
頭の上から降ってくる溜め息は弱り果てたもので、腰に回された腕の力は必要以上に強い。
俺までモデルに仕立てあげられたこの状況が、ヤマにとっても不本意なものだと伝えてくる。
「遥馬さんがいなくなってから、兄貴が注意の仕方とか全く容赦しなくなってさ。
目付きも人殺しそうなくらいで、ちょっとのミスがまるで遥馬さんとの再会時間を遅らせる呪いぐらいに許さねぇし。
皆、ビビって酷かった・・・
コレクション終了まで離しておくのは、姉貴もヤバイってわかっていたらしくって。
ショーの途中にかっさらって、遥馬さんに誰も手出しが出来ないようについでに示してきなさい、なんて、言い出してさ」
それで、アレ、か。
ランウェイを突っ切り、遥馬さんの前に柵を飛び越えてやって来た清人さん。
冷たい微笑を雪解けどころか、別人のように甘く蕩ける笑顔に変えて、遥馬さんの手を取る姿が大画面に映し出された。
その驚愕の変貌に、会場はどよめき建物が揺れていたぞ。
ランウェイは、長い。
いつまでも、協力しない、どころか妨害ばかりしている訳にはいかないしな。
好意的な視線が多いし、俺にも振り返してくれる人もいるのがまだ救いだ。
「まさか、俺までとは・・・」
「ごめんな、カナ。
姉貴が兄貴をノセてさ」
後ろから両腕を腰に回して、完全に俺の真後ろについたヤマ。
顔は笑顔だが、声は疲労でどんより曇っている。
ヤマも、昨日のリハーサルからずっと飛鳥さんと清人さんの間に入りモデル以外の役割が・・・あったしな。
歩きにくいが、ヤマの身体の盾にもなるからそのままにしておく。
頭の上から降ってくる溜め息は弱り果てたもので、腰に回された腕の力は必要以上に強い。
俺までモデルに仕立てあげられたこの状況が、ヤマにとっても不本意なものだと伝えてくる。
「遥馬さんがいなくなってから、兄貴が注意の仕方とか全く容赦しなくなってさ。
目付きも人殺しそうなくらいで、ちょっとのミスがまるで遥馬さんとの再会時間を遅らせる呪いぐらいに許さねぇし。
皆、ビビって酷かった・・・
コレクション終了まで離しておくのは、姉貴もヤバイってわかっていたらしくって。
ショーの途中にかっさらって、遥馬さんに誰も手出しが出来ないようについでに示してきなさい、なんて、言い出してさ」
それで、アレ、か。
ランウェイを突っ切り、遥馬さんの前に柵を飛び越えてやって来た清人さん。
冷たい微笑を雪解けどころか、別人のように甘く蕩ける笑顔に変えて、遥馬さんの手を取る姿が大画面に映し出された。
その驚愕の変貌に、会場はどよめき建物が揺れていたぞ。
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