ヘタレαにつかまりまして

三日月

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SS(書き下ろし)

友達デート 23

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休憩も兼ねて、3階のカフェテリアに向かうことにした。
ちょうど、喉も乾いていたしな。
また手を繋いで歩き出したんだが、樟葉の口許はツンと尖ったままで機嫌が悪そうだ。
三枝も俺も、他に声をかけてくる人間がいないか心配だったんだが、カフェテリアまで誰にも絡まれることはなかった。

萩野は、あの警備員達が来るのを事前に察していたということなんだろうな。
自分が動くより、施設で対応して貰った方が他のΩが後から被害にあうことも防げる。
しかし、Ωコレクターなんて悪趣味だな。
Ωの人権が見直されても、まだ食い物にしようとするやつがいるなんて。

エスカレーターで3階まで上がり、通路を進むとカフェテリアの看板が見えてくる。
落ち着いた店内は、街角のカフェをイメージしているようだ。
入口は扉で遮られていて、通路からはカウンターと二人掛けのソファーや丸テーブルが幾つか見えているだけだ。
奥行きがあり、施設内の喧騒とは切り離されたデザインになっていた。

店内に入ろうとすると、女性スタッフの方から「樟葉様ですね。ご案内します」と先に笑顔で声をかけられた。
どうやら、あの男性が手配してくれていたようだ。
そうとわかった途端に、樟葉の頬はぷぅと膨れる。
よっぽど、先程名前を間違われたことを根んでいるのか?
何をされても気に入らないらしい。

リュウに、ミコト。
一文字も合ってないしな、


「あー!
かなちゃん、あれっ」


先に店内に入った三枝が、案内する店員の向こうに見える光景にポンポンと肩を叩いてくる。
なんだと、そちらをむくと・・・

6人掛のテーブルに座る二人の姿。
あっちも俺達に気付き、途端に罰の悪そうな顔をする。


「ヤマ・・・」

「ご、ごめんカナ」


後で迎えに来ると言っていたのに、帰っていなかったのか。


「けぇちゃん・・・」


向かいの席には、柴田が座っていた。
樟葉は予想がついていたようで、「やっぱり」と呟いている。
柴田は立ち上がると、店員でもないのに俺達のために椅子を引いてくれた。
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