ヘタレαにつかまりまして

三日月

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18 巡回

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「これ、笹部君に。
他の人には秘密やで?」


配膳を終えた三枝は、周りをこそこそ気にしながら笹部の横に寄り添って立つと。
持っていたお盆で隠すようにして、フリルのついた白いエプロンのポケットから掌サイズのジャックオランタンを取り出した。
オレンジ色のアルミホイルに包まれているのは、チョコか?

受け取った笹部にむかって、三枝は口元に人差し指をたてて「しーっ」と秘密ポーズ。


「先輩らが買って来はったハロウィンのお菓子にな、シークレットチョコが入っててもろてん。
笹部君、甘いもん好きやろ?
今日一日の埋め合わせにもならんけど、良かったら食べて?」

「おっ、貰っとく、貰っとく。
あんま余裕がなかったから、今朝メシ抜きなんだ」


笹部は、早速開けて一口かじる。
よっぽど空腹だったのか、表情が一気に和らいだ。
普段は周りを威嚇する三白眼を細めて、更に一口。
笹部が甘いもの好きなんて、初めて知ったな。
ヤマは、幼馴染だから当然知っているか。
チラッとヤマを見たら、三枝が置いた皿やカップの位置を調整してくれていた。

三枝は笹部の様子を嬉しげにニコニコ見ていたが、準備室から名前を呼ばれたのが聞こえてくる。
「ごゆっくり」とお辞儀をして、三枝は準備室に走っていった。
俺達が来て安心したのか、幾分足取りが軽く見える。
頭の上では、ピョコピョコウサミミも揺れていた。
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