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21 カナ side 倭人
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ドクドクドクドク・・・
固く瞼を閉じた暗闇の中。
カナに深々突き刺した牙から、溢れるように。
カナを番にしたあの日からの出来事が、目まぐるしく頭の中を駆け抜けていく。
カナの発情フェロモンに酔ったまま、夢中で身体を重ねた時間。
食事をする間さえ惜しくて、手掴みで喰い散らかし。
言葉を無くして、脱水状態になりそうな身体にペットボトルの水をぶちまけて、互いの身体を舐めて喉の乾きを潤したあの時間。
まともな思考を取り戻しても、目の前の番への飢餓が果てしなくて。
いつもどこか触れてないと、不安で叫びそうなくらいに求めてた。
即席麺が出来上がる時間さえ待てなくて、作り直しても切りがないとわかってからは伸びきった麺を苦笑いで二人で食べたりもした。
一緒に風呂に入っても、喋っていても。
また欲しくなって、何度も何度も番を得た喜びを確かめた。
カナを中心に回り出した世界が楽しくて。
周りにどう思われようが関係なくて。
カナにしか興味が無くなっていて。
あの日、自分がフェロモンレイプに合う可能性を予測出来ず。
他のΩの発情フェロモンに抗い、一番大切にしていたカナの記憶を失ってしまった。
でも、今は。
腕の中に、カナを抱き締め。
カナの身体に包み込まれてる。
記憶の奔流を受け止めていた間、こわばっていた身体から。
解き放った熱と同様に、力が抜けていく。
乱れた呼吸を整えながら、無くした全てを取り戻した俺はゆっくりと目を開けた。
「・・・ん、わ・・・」
うわぁぁっ
視界に飛び込んできた、震える小さな頭からうなじへのなだらかであるべきライン。
その惨状に、思わず息をのんだ。
すでに牙は失せ、もとの平らな歯に戻っているけど・・・この傷なら、間違いなく俺の歯も血で染まってる・・・
ひくん、ひくんと。
細かく痙攣してるカナのうなじには、ポッカリ開いた孔が二ヵ所。
犬歯二本が深々突き刺さっていた場所からは、血がタラリと流れていて。
その周囲の歯形は、肉が盛り上がるほど強く跡を残していた。
「あ、ご、ごめんっ、カナ・・・」
俺、何てことをっ
後ろ抱きにして、間近に見てしまった自分が噛んだ跡に我を忘れて。
嫉妬に駆られ、力任せに荒らした身体。
記憶を無くした自分が何をしたかも覚えてる・・・
大切にしたい番なのに。
どっちも俺だと受け止めてくれたカナなのに。
カナに謝りたくて、顔も見たくて。
ズルズルとまだ余力を残しているぺニスをその身体から抜き、力を無くしてクタリと身を任せるカナをそっとソファーに寝かせた。
あぁ、首だけじゃない。
肩にまでこんな・・・強く握りしめた赤い指の跡と爪痕がくっきり残っていた。
身体中、傷と痣だらけ。
酷すぎる・・・なにやってるんだよ、俺。
固く瞼を閉じた暗闇の中。
カナに深々突き刺した牙から、溢れるように。
カナを番にしたあの日からの出来事が、目まぐるしく頭の中を駆け抜けていく。
カナの発情フェロモンに酔ったまま、夢中で身体を重ねた時間。
食事をする間さえ惜しくて、手掴みで喰い散らかし。
言葉を無くして、脱水状態になりそうな身体にペットボトルの水をぶちまけて、互いの身体を舐めて喉の乾きを潤したあの時間。
まともな思考を取り戻しても、目の前の番への飢餓が果てしなくて。
いつもどこか触れてないと、不安で叫びそうなくらいに求めてた。
即席麺が出来上がる時間さえ待てなくて、作り直しても切りがないとわかってからは伸びきった麺を苦笑いで二人で食べたりもした。
一緒に風呂に入っても、喋っていても。
また欲しくなって、何度も何度も番を得た喜びを確かめた。
カナを中心に回り出した世界が楽しくて。
周りにどう思われようが関係なくて。
カナにしか興味が無くなっていて。
あの日、自分がフェロモンレイプに合う可能性を予測出来ず。
他のΩの発情フェロモンに抗い、一番大切にしていたカナの記憶を失ってしまった。
でも、今は。
腕の中に、カナを抱き締め。
カナの身体に包み込まれてる。
記憶の奔流を受け止めていた間、こわばっていた身体から。
解き放った熱と同様に、力が抜けていく。
乱れた呼吸を整えながら、無くした全てを取り戻した俺はゆっくりと目を開けた。
「・・・ん、わ・・・」
うわぁぁっ
視界に飛び込んできた、震える小さな頭からうなじへのなだらかであるべきライン。
その惨状に、思わず息をのんだ。
すでに牙は失せ、もとの平らな歯に戻っているけど・・・この傷なら、間違いなく俺の歯も血で染まってる・・・
ひくん、ひくんと。
細かく痙攣してるカナのうなじには、ポッカリ開いた孔が二ヵ所。
犬歯二本が深々突き刺さっていた場所からは、血がタラリと流れていて。
その周囲の歯形は、肉が盛り上がるほど強く跡を残していた。
「あ、ご、ごめんっ、カナ・・・」
俺、何てことをっ
後ろ抱きにして、間近に見てしまった自分が噛んだ跡に我を忘れて。
嫉妬に駆られ、力任せに荒らした身体。
記憶を無くした自分が何をしたかも覚えてる・・・
大切にしたい番なのに。
どっちも俺だと受け止めてくれたカナなのに。
カナに謝りたくて、顔も見たくて。
ズルズルとまだ余力を残しているぺニスをその身体から抜き、力を無くしてクタリと身を任せるカナをそっとソファーに寝かせた。
あぁ、首だけじゃない。
肩にまでこんな・・・強く握りしめた赤い指の跡と爪痕がくっきり残っていた。
身体中、傷と痣だらけ。
酷すぎる・・・なにやってるんだよ、俺。
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