厄介な年下幼馴染が倍増しました。

三日月

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深夜のコンビニ

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大学の夏休み。
稼ぎ時だとコンビニの深夜シフトをこなした譲は、引継ぎも終わり更衣室に戻った。
壁際に並んだ細長いロッカーの他には、テーブルと椅子のみ。
全体的に殺風景だ。
譲はすぐには中に入らず、腕だけ部屋の中に差し入れ壁の照明スイッチを手探りでつけた。
見通しの良くなった部屋を隙間からそっと息を殺し伺う。

今は店長が棚出し中で、次に出勤してくるバイトは3時間後。
この時間帯に使用するのは譲だけだ。

譲は左右に何度も目を配り、念入りに無人であることを確認してから中へ入った。
(うんうん、今日は大丈夫だ)
気を抜いて、上に羽織っていた制服を脱ぎ始める。
腕を引き抜きながら持ち上げ、ちょうど視界がそれに遮断された途端、モニュッと両胸を掴まれた感触に凍りついた。
人間、恐ろしいときは咄嗟に声が出せないのだとここ数日の間に譲は実感していた。
譲が無抵抗なことを良いことに、モニュモニュ追加で揉まれたことでやっと我に返る。
そして、同じように実感してきた、相手が自分以外に見えず、騒いでも無駄だと言うことも頭を過ぎったのだが。


「お、お、お、お前ッ、来んなっていったのにっっ」


譲は、実感して学習していくら理解してもその無駄を繰り返してしまう。
瞬時に服を脱ぎきって、これ以上触られないよう服でガード。
目の前の、どう見てもホラーなのに慣れて受け入れてそれ自体には驚きを感じなくなった光景、ロッカーの中から生えているようにしか見えない突き出た半透明の腕とニマニマ笑う男の顔にむかって怒鳴っていた。

壁の向こうにも響く声で。

「なんか言ったぁ?」と聞いてくるバイト仲間に「ごめん、なんでもないっ」と返す。
のんびりしたその口調から、今は客が居ないようだと譲は安堵。
昨日も同じことをされ(そのときは、背後から尻を揉まれた)、飛んできた店長から「なんの騒ぎだ」と心配されたあと冷たい目を向けられた。

譲は、ロッカーの仕切りを文字通りすり抜け、自分の身体も通り抜け、背後のテーブルの上で浮いている半透明の作務衣姿の男を振り向き睨みつける。


『おぃおぃ、ユズちゃーん。
俺は他の人に見えてないのに、また騒いじゃって大丈夫ぅ?』


譲の3歳年下の幼馴染とそっくりな顔で、その兄で同い年の悪友よりも下卑た笑みを浮かべる半透明のナニカ。
譲は今まで心霊現象に縁遠く、コレへの対応の仕方がまるでわからない。
わからないなりに、コレが背後でニヤニヤ笑う中、ネットで調べ、塩を投げてみたり近所のお寺にお詣りに行ったりもしたがどれも効果が無かった。
なにせ、コレが自分にまとわりついて正確には3日、いや日をまたいだから既に4日経っているのにコレは相変わらず自分に付きまとって、いやこの場合取り憑いているといった方が良いのか?
ジト目で睨みつけても、ソレは気に介さずニヤニヤ嗤って宙を漂う。


『ほら、さっさとお家に帰らねぇとここでヤッちゃうよ?』


重力無視の軽やかな動きで顔が近付いてくると、避ける間もなくムニュと唇が重なりヌルッと生温かい舌に口内を弄られる。
こちらからは触れないのに、コレが触れたいときには生身の身体と変わらない感触で迫られる。


「や⋯め、んん」


譲は、心霊現象に比べれば知識があるこの手のことにもコレが相手だと全く太刀打ち出来ない。
自分からは一切触れることは出来ないに、相手に肩を強く押されるとよろけてしまう。
背中をロッカーに押し付けられたまま、相手が飽きるまで口の中も胸も尻も触られ放題の一方通行。
譲が抵抗しようと藻掻いても、その足は相手の身体をすり抜けるのに、頭の上で縫い付けられた拘束を解こうしても握られている掌はビクともしない。
されるがままになっていた譲の腰が抜け、ズルズルと床に崩れると、ソレは譲の下唇を舐めてから離れていった。
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