例えβに生まれても

三日月

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7 帰国の王子様

19

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『ごめんな、突然電話して。
高校に入学したんだな』

「はい」

『詰襟、似合ってるな。
俺は着たことないから、新鮮だった』

「はい」


あぁ、もっと気の聞いた返しが出来たらいいのにっ
みどりちゃんみたいな、頭の回転が欲しいっっ
清人様に「はい」しか返せないのが、すごく嫌だ。
こんなのじゃ、話がすぐ終わっちゃう。


『......ハル、元気でね』


「き、清人様っ」


あぁ、終わってしまうっ、切れてしまう。
やっと繋がった、清人様と俺を結ぶ線。
清人様との別れ際に、「またね」が入らないのは、遊園地のあの日と一緒。
清人様から連絡してくれないかもしれないと、ヒヤッと寒気がして。
蜘蛛の糸にすがるように、俺はこの線を最後にしたくなかった。
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