例えβに生まれても

三日月

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31 撮影の王子様

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「ハァル?
俺の楽しみを奪うなんて、酷いな。
ハルに時間が必要だなんて陽太さんに言われ、何年も画像と声だけ。
しかも、帰国したらあんなに可愛い姿を見せつけてくれていたのによそよそしいし、なかなか二人きりにもなれない」


顎に指を添えられ、強制的に清人様の顔と向かい合わせ。
キラキラと、エフェクトがかかって見えちゃう整ったお顔は、画面越しでちょっとは慣れたつもりだったんだけど、全然でした!
ビリビリと、見られてるだけで頭が痺れちゃうよ。

顔面偏差値が凄すぎます!
俺の周りはβばかりだから、こんなに綺麗な清人様を間近で見たら目がチカチカしてきちゃうよ!

しかも、清人様のフェロモンが、綿菓子みたいに甘く香りながら俺を包んでくれていて。
フワフワと、ここままどこか遠くに運ばれちゃいそうな危うい気持ちになってくる。
撮影とか忘れて、このまま二人で出掛けようって言われたら間違いなく頷いてしまいそう。


「ねぇ、ハル。
ハルから俺には触ってくれないの?」


首を傾げて、笑みを浮かべる清人様。
稀少な宝石を素手で触れと言われてるくらいに、自分にはハードルが高いしやっちゃいけないことだって及び腰になってしまう内容だよ。

でも、なんでかなぁ。
お願いされているはずなのに、されている俺の方が段々その言葉に従わないことが不安になってくる。
目が笑ってなくて、囁いてる声が何度も頭の中でこだまして......触らなきゃ、足元から崩れて地底に引きずり込まれるくらいの恐怖が襲ってくる。

そんなこと、起こるわけないってわかっているのに!
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