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35 隔離の王子様
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「おーぃ、大丈夫か、ハルちゃん?」
「だ、だいじょーぶじゃないです...」
ぷしゅーと頭の上から湯気が出そうだよ。
息をゆっくり吸ったり、ゆっくり吐いたりして。
バックンバックン、乱打してる心臓の当たりに手を当てて、なんとか落ち着こうって頑張っていたらね。
陽太様が、俺の着てきた制服を持ってきてくれていた。
「ハルちゃん、これに着替えてくれる?
清人と向こうに行くからさ。
俺と二人でここに残れないしな」
そう言われて、あの誤解を解いてないことを思い出したよ!
確か、俺のことを変異種Ωって陽太様は言われていたよね!
俺、変異したときの特徴、まだ倒れちゃうくらいの高熱出してないし。
βのままですって言わないと!
でも、陽太様に持たせたままと言うわけにはいかないからね。
立ち上がって、先に制服を両手でお礼を言ってなら受け取ってね。
口を開いた。
「あ、あの、陽太様っ
俺、まだΩになってないし、清人様のつつつつが、番にもなってませんっ」
とにかく分かって欲しくて、気持ちは焦って滑って空回り。
すぐ目の前に陽太様はいるのに、隣の部屋にも聞こえるんじゃないかなって言うくらい、声が大きくなってしまった。
り、力みすぎたよ。
折角皺にならないように、陽太様が気を使って軽く畳んでくださっていた制服には、強く握り締めてしまって両端から皺が入ってしまった。
でも、必死なのは伝わったみたい。
陽太様は両耳を押さえながら、わかってる、って声は出されなかったけどね。
コクコク頷いてくださったから。
よ、よかった!
ここは、絶対に訂正しておかないと、とんでもないことが起こりそうなんだもん。
気持ちが楽になったから、今度は声を張らずに続けることが出来た。
「あの、ここ、噛まれたのは、その、清人様なんですけど。
俺、まだ熱出てないし、Ωにはなってないと思ってて。
だから、あの、番にはなってないんです」
「変異してないなら、それはただの傷だろう。
だから、ハルちゃんの考えであってると思うぜ?
ってか、もし本当に清人とセックスした直後だったら、この部屋に清人は俺達を入れないだろうし。
ハルちゃんも、こんな、立ち上がったり出来る余力はないって。
発情フェロモンにヤられたαは、加減なんて出来ねぇからな。
まぁ、飛鳥はソレ見てすっかり気が動転したのもあるんだろうけど、すっかり清人に騙されてるけどなぁ」
ニヤニヤ笑う陽太様に、なっと同意を求められたけど、それどころじゃなかったよ!
ひゃわぁっ
せ、せせせセセセックスッッ
何でもないことのように、陽太様はさらって言われたんだけど。
それに似たことはしちゃっているからね。
清人様と交わしていたキスとかっ
俺からねだっていたこととかっ
いっぱい触られてしまったこととかっ
一気に記憶が引きずり出され、思わず制服を抱き締めてしまう。
ふぁぁ、折角頭が冷えてきたのに、また沸騰しそうだよ!
「だ、だいじょーぶじゃないです...」
ぷしゅーと頭の上から湯気が出そうだよ。
息をゆっくり吸ったり、ゆっくり吐いたりして。
バックンバックン、乱打してる心臓の当たりに手を当てて、なんとか落ち着こうって頑張っていたらね。
陽太様が、俺の着てきた制服を持ってきてくれていた。
「ハルちゃん、これに着替えてくれる?
清人と向こうに行くからさ。
俺と二人でここに残れないしな」
そう言われて、あの誤解を解いてないことを思い出したよ!
確か、俺のことを変異種Ωって陽太様は言われていたよね!
俺、変異したときの特徴、まだ倒れちゃうくらいの高熱出してないし。
βのままですって言わないと!
でも、陽太様に持たせたままと言うわけにはいかないからね。
立ち上がって、先に制服を両手でお礼を言ってなら受け取ってね。
口を開いた。
「あ、あの、陽太様っ
俺、まだΩになってないし、清人様のつつつつが、番にもなってませんっ」
とにかく分かって欲しくて、気持ちは焦って滑って空回り。
すぐ目の前に陽太様はいるのに、隣の部屋にも聞こえるんじゃないかなって言うくらい、声が大きくなってしまった。
り、力みすぎたよ。
折角皺にならないように、陽太様が気を使って軽く畳んでくださっていた制服には、強く握り締めてしまって両端から皺が入ってしまった。
でも、必死なのは伝わったみたい。
陽太様は両耳を押さえながら、わかってる、って声は出されなかったけどね。
コクコク頷いてくださったから。
よ、よかった!
ここは、絶対に訂正しておかないと、とんでもないことが起こりそうなんだもん。
気持ちが楽になったから、今度は声を張らずに続けることが出来た。
「あの、ここ、噛まれたのは、その、清人様なんですけど。
俺、まだ熱出てないし、Ωにはなってないと思ってて。
だから、あの、番にはなってないんです」
「変異してないなら、それはただの傷だろう。
だから、ハルちゃんの考えであってると思うぜ?
ってか、もし本当に清人とセックスした直後だったら、この部屋に清人は俺達を入れないだろうし。
ハルちゃんも、こんな、立ち上がったり出来る余力はないって。
発情フェロモンにヤられたαは、加減なんて出来ねぇからな。
まぁ、飛鳥はソレ見てすっかり気が動転したのもあるんだろうけど、すっかり清人に騙されてるけどなぁ」
ニヤニヤ笑う陽太様に、なっと同意を求められたけど、それどころじゃなかったよ!
ひゃわぁっ
せ、せせせセセセックスッッ
何でもないことのように、陽太様はさらって言われたんだけど。
それに似たことはしちゃっているからね。
清人様と交わしていたキスとかっ
俺からねだっていたこととかっ
いっぱい触られてしまったこととかっ
一気に記憶が引きずり出され、思わず制服を抱き締めてしまう。
ふぁぁ、折角頭が冷えてきたのに、また沸騰しそうだよ!
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