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19 夏休み side 陸

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「お前もソレつけんだな」

「あ、これ?
うん、は、流行りなんやて。
かなちゃんとな、みこちゃんともな、お揃いやねん」


流行り、ねぇ。
俺にはよくわかんねーな。
ハッと思わず笑うと、三枝の表情が固くなった。
・・・また、誤解させたのか?

顔をあげた三枝は、ドギマギこちらの機嫌を伺いながら言い訳。
別に、それをバカにしたわけじゃねーんだけどな。

それにしても、コイツらどこまで仲が良いんだ・・・Ωと本気で友達になってんだな。
つーか、あいつらが着けて意味ってあんのか?
番持ちで、かなちゃんなんか大々的にΩで菊川の婚約者ってことまで報道されてたろ?
あの、親のフェロモンまみれの桜宮財閥のお坊っちゃんが、まさかΩで菊川の番になるなんて思ってもみなかったけどな。

時間が経てば気に止めなくなるんじゃねーかと思ってたが、三枝の表情は戻らない。
チラチラ俺のことを見てくる。
どう言えば良いのかすぐにわからず、前髪をかきあげ唸った、が、出てこねー

毎回、すぐにプールに入るからな。
俺も三枝も、ここで会うときは整髪料の類いは着けていない。
人工香料の匂いがしねーし、三枝の日だまりみたいな匂いは鼻につかない。

けど、珍しいな。
今日はサラサラ流れる前髪を、海や空でもつけそうにないウサギのヘアピンで留めていた。
男でもこんなんつけんのか。
俺は、言葉を考えるのを諦めウサギの頭を指で弾いた。


「お前、ウサギが相変わらず好きだな」


パーッと一気に三枝の表情が明るくなった。
おっ、これは正解だったか。
まぁ、好きなもんを話題にされてイヤなやつはいねーよな。
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