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21 夏休み side 倭人

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最後に遥馬さんが、実体験を話したんだけど。
すぐに番になってるのもあるし、βの頃から兄貴が通学の足をするくらい張り付いていたし。
どのバース性にも物怖じせずに接している三枝と、βの中にいても兄貴のせいで距離を置かれていたであろう遥馬さんとでは環境も違うし、勿論性格も違う。

それに、遥馬さんは一番気を付けるべきフリーのΩとして過ごした時間は殆どないようだ。
「俺の場合は、すぐに清人の番になってここで住むことになったから」と、複雑そうな表情で話していた。
遥馬さんの隣でそれを聞いていた兄貴は、後ろめたそうに見えたのは気のせいか?

三枝は、「ほう、ほう」と目を輝かせて話を聞いていたけど、遥馬さんの話で役に立ちそうなのは「いつ発情期が来るかわからないから、αの近くにはいない方がいいよ」くらいだった。
変異種Ω同士だからこそわかる話を聞きに来てたんじゃないのか?

当の三枝は、前回樟葉が寝込んでいる間に聞いていた二人の馴れ初めの続きを聞き出したくてウズウズしてるし。
極力関係ない質問をしないように、カナと連携しながら話の軌道修正をかけた。

兄貴がイラついたり、時間をかけすぎて遥馬さんを疲れさせたらフェロモンでギッタギタにされて叩き出されるしな。

俺がフェロモンを使って、三枝を力業で黙らせるのは簡単なんだけどな。
カナがαの特性を生かしたやり方を、あんまり好きじゃないの、知っているしな。
αのふりしてきたカナには、色々思うところがあるんだろう。

樟葉は、一番尊敬している父さんに前回会ったからだろうか。
この日は一度も倒れなかったので、復帰するまでの待ち時間もなく、三時間ほど続いた三度目のお茶会は今までで一番らしくなった。
樟葉は結局一言も話さずに、両手を組んで前のめり。
話よりも、俺と兄貴をチラチラ見ながら目を潤ませていただけだけどな。

まぁ、こんなにΩに感謝されることを、母さんや父さんはしていたんだなと改めて実感出来たし。
カナが未だに、俺とは別格なところで父さんを尊敬しているのも・・・少しは納得できるように、ん、なれるかも?
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