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27 学園祭準備

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梛木委員長は人差し指を立てると、横を向いて迷い無く自分のお尻のある一点に触れた。
女子生徒のお尻なんてジロジロ見るのは失礼だし、目を逸らそうとしたんだが。


「かな姫も、渡君も、みこたんも。
自分の尾てい骨に触れて!」

「「「???」」」


真面目な顔で言われ、梛木委員長がどうやら先に見本を示してくれていることに気付く。
なんで、尾てい骨なんだ?
尾てい骨って、ここだろう?
割れ目の上の、この辺り。
俺と三枝は、すぐに。
樟葉は、見よう見まねで迷いながら。
自分のお尻に指を当てると、梛木委員長は満足げにうんうんと頷いた。


「このボタンをね。
下着のその位置につけてきて欲しいの・・・って、みこたん、上過ぎない?」

「え、あのぉ、そのぉ~
び、びていこつって、よくわからなくてぇ」

「お尻から背中に指を上げてくと、ポコッてなってるとこよ?」

「ん、ん?
こ、このへんかなぁ」


片手より両手の方がわかるかなぁと、モゾモゾと後ろに回した手で自分のお尻を撫で上げたり、指を動かす樟葉。
周りにいた女子生徒達が息を潜め、顔を赤らめ、見守る・・・なんだ、この状況は。


「芝浦が教えてやればいいだろう」


本気でわからないらしく、首を傾げている樟葉を見かね、突っ立っていた芝浦に振る。
番がいるんだ。
俺がでしゃばらなくてもいいだろう。


「え、俺?
桜宮が近いんだし、教えてやって」 


芝浦から、あっさりと任されてしまった。
まぁ、Ω同士だし、気にしないのか??
仕方ないなと、樟葉に声を掛けてから俺より小さいお尻の尾てい骨の位置に見当をつけ指を伸ばした。

ふにっ

ちょうど割れ目の間に入ったらしい。
柔らかい感触に指が僅かに埋もれる。
お、見た目より肉がついてるな。
ん?
背中に生暖かい視線を感じるんだが、気のせいか?
顔をあげると、数人の女子生徒と目が合う。
わざとらしく瞬きをしたり、ファイルに目を落としたり、なんなんだ、さっきから?


「か、かなちゃん、もしかして、僕って、その、びていこつがないのかなぁ?」


いつまでも指が動かないので、不安にさせたようだ。
「そんなことはない」と言いながら上に指を滑らせると、コツンと固い手応えがあった。


「ん?」


樟葉にもわかったらしく、位置を確認したかったのか身を捩ろうとして失敗。


「ふぇっ」

「うわぁっ」


バランスを崩した樟葉が俺に向かって倒れてきた。
衝撃に備えて受け身、とか、そんな余裕がある距離じゃ・・・ストンッ


「大丈夫か、カナ?」

「大丈夫ですか、みこ?」


咄嗟の出来事だったと思うんだが、床に崩れるより先に俺はヤマの腕に受け止められ、樟葉は柴田に支えられていた。
芝浦も動こうとしたのか、さっきの立ち位置よりこちらに近づいていた。
でも、柴田の方が早かったんだろう。
ヤマの背中越しに、空を切った手を握りしめ、他の皆が俺達に目を向けてる間に戻っていくのが見えた。
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