Ωにしちゃってゴメンナサイ

三日月

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8 食堂

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 とは言え、鋼の中で群れのメンバーとその他大勢とは、千里とそれ以外ほどではないが線引きされている。胡麻でコレで済んでいるということは、群れに入っていない人間はどんな目にあうことになるのか。鋼の目の前で起これば、流血必須。目の前で起こらなくても、群れへの侵略行為とみなし、上位の穂高ナンバーズが見せしめのために相手の牙さえ折る報復を命じられるのが最低ラインかもしれない。そうなったときの制裁役は、今転がっている胡麻だ。自分がヤラれた今の攻撃を基準に実行すれば、これまた流血沙汰になりかねない。群れの中の調整役である漆戸は、勘弁してくれと天を仰いだ。
 群れの警備役には、それを予防する意味でこれまでより更に事前に動くことが望まれる。何故なら、学園の平穏な生活を保っていた群れが、暴力上等の真逆行動に出れば混乱の極みを招くからだ。千里に触れた、ただそれだけで、学園全体にどんな変化がもたらされるか想像がつかない。
 ゴクリッ
 漆戸は無意識に喉を鳴らし、この緊急事態に心身を引き締めた。表立った生徒会活動も終わり、あとはゆるーく卒業を待つだけだ、などと腑抜けていた自分には3月まで戻る暇はないだろう。6年間で、色々痛い目に合ってきたのだ。この冷血帝への警戒を忘れてはならない。
「おい、鋼、やりすぎだろう。肩から手を離せ」
 ひとり状況をわかっていない千里は、椅子から立ち上がり胡麻に手を貸したそうだ。それをさせないために、鋼が千里から手を離し胡麻に手を貸す。攻撃されたリーダーに手を貸されるなんて・・・コワーッと、漆戸も葛籠も身震い。胡麻の顔からは血の気が失せ、鋼の手を取る指先は震えていた。胡麻に同情しつつ、漆戸は冷静に分析を続ける。
(なるほど、なるほど。相変わらず、穂高さんは蚊帳の外に置くわけね)
 それならば、やることは基本変わらず、だ。千里のガードをもっと固めれば良いなと、漆戸は今後の算段を始めた。千里の周囲は、鋼の従属フェロモンに濃厚な庇護フェロモンが混じりあって漂っている。これを見れば、上位ナンバーズが動かずとも弱いαは近寄れない。問題は、最後に下剋上を狙う編入組の一年生か。夕方報告した生徒は鋼に任せるとして、水面下の動きを見せている生徒は芽吹く前に摘み取るとしよう。
「まぁまぁ、冷めないうちに頂きましょう。胡麻は、顔洗って来たら?」
「・・・そうする」
 漆戸は、雰囲気を変えるためにわざと明るく振る舞う。念の為避けていた丸テーブルを、葛籠と元の位置に戻せば鋼も気が済んだのか大人しく着席した。フラフラ足元の覚束ない胡麻には見向きもせず、千里に向かって「ちーちゃん、何食べる?」と優しく尋ねている。
 漆戸は、葛籠に視線で胡麻のフォローに行くよう指示を出す。漆戸は、穂高がリーダーと思われているナンバーズでは第3位だが、鋼をリーダーとする群れでは第2位。つまり、副リーダーだ。葛籠は、心得たと頷いて胡麻に肩を貸し食堂から連れ出した。
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